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第79話-大晦日-


自転車を止め、入り口まで歩みを進める浩太と詩織。


「浩太…そういえば、なんで今日は柊君のこと誘ってないの?」


「あぁ…いや、誘ってはみたんだけど…やっぱ、今日大晦日だから忙しいみたいでさ…」


「ふーん、そうなんだ…」


少し、つまらなそうに口を尖らせる詩織。


「つか、お前は大丈夫なのかよ?大晦日に」


「まぁ…、午前中ぐらいならね…」


そんなことを言っている間に2人は入り口の前に。


入り口には警官が2人。さっき、裏にも何人かいた。前に信士のお見舞いに来ていた頃はこんなにいなかったことを思い出し、詩織は改めてクリスマスの日のことを思い出す。


病院内に入っても、警官の数は増える一方。


病院に来ても信士に会わせてはもらえないことは、聞かされていた。


でも、今はそれどころじゃない。あのメールはどう考えても異常だ。


「とりあえず、鈴木先生に無理やりにでも入れてもらうしかないか…」


隣で浩太が呟いた。詩織も頷く。


詩織がケータイを開こうとした瞬間、遠くに鈴木先生の姿が見えた。


すぐさま2人は鈴木先生のもとへ駆け寄る。


「君達…」


鈴木先生は驚いた表情を浮かべたが、すぐに顔をしかめ、


「信士君には会いに来ては駄目だと言っただろう」


「それどころじゃ、ねぇんだよ!!」


浩太が強く言い放つ。と、すぐにケータイを開きあのメールを鈴木先生に見せながら続ける。


「信士がこんなメールをオレに送らなきゃいけないぐらい苦しいことってなんなんだよ…」


「お願いします、鈴木先生…信士になにがあったのか、知っているなら教えて下さい…」


詩織も続けて言う。


鈴木はメールの日にちを確認し、おとり作戦のときのだと分かった。


「…分かった。君達には話そう。ただし…会わせることだけはできない。いや…会わせられる状態じゃないんだ…」


「それって、どうゆう…?」


「とにかく、ここでは駄目だ。場所を移そう」


ついていった先は会議室。鈴木先生は誰もいないことを確認したあと椅子を引き、ゆっくりと座った。


「君達も座って。信士君が入院してからのことを話す。その代わり、これから僕が話すことは絶対に誰にも言わないこと。いいね?」


「…はい」


鈴木先生の口から話されたことは、2人にとって信じられないことばかりだった。


Crowという学生集団に命を狙われていたこと。

そして、鷹谷中の生徒が襲われたところから、信士がおとりとして作戦に駆り出されたこと。

しかし、作戦は失敗してしまい、Crowに囚われてしまったこと。

そして今、助け出された信士はCrowに仲間だと言われ、ショックで精神が不安定になっていること…。


言葉を失う2人。その姿を見て、鈴木は話を続ける。


「君達は…信士君がCrowの仲間だったと思うかい?」


「そんなはず、ないでしょう!!そのCrowとかいうグループは最低ですよ!!」


浩太が興奮気味に答える。


「あぁ…、僕も信士君がCrowの仲間だったとはとても思えない…。ただ…、警察のなかで本当のことじゃないか?という声が出ているんだ…」




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