第77話-恐怖心-
…な、なんだ!?
信士の様子に戸惑う鈴木。まさか…また、記憶を失った…?いや、この症状は違う。
なら、これは…?
「…こないで…こないで……」
うずくまり、震えている信士。
「…大丈夫だよ。Crowは捕まったし、もう…」
…Crow……?
「うあぁぁぁぁ!!」
「信士君!?」
急に叫びだし、荒い呼吸をする信士に鈴木は慌てて駆け寄る。
「…嫌だ……嫌だ!あ…ぁぁぁ…ぼ…ぼくは……」
「お前が成宮か…。学生なんか集ってなんのつもりだったんだ?」
Crowが取り押さえられた夜。すぐに取り調べが行われていた。
「あんたら大人には分かりゃしねーよ」
「んだと!!」
警察はてこずっていた。取り調べにたいしてCrowの学生達は全員だんまりを決め込んできたからだ。捕まえた学生達は大体は高校生と大学生。しかし、中学生が多少いたことに警察ではとくに驚いた。
そして、この成宮は高校二年生。
なんなんだ、こいつらは。と、警察が頭を悩ませていたとき。トントンとドアを叩く音が聞こえてきた。
「なんだ?」
「今、病院から連絡がありまして……………」
「なんだと!?」
「おい…お前、なにをした…?」
「何って、なんだよ」
とぼけたような声で答える、成宮。
「伊達信士になにをしたと聞いているんだ!!」
「…クックックッ………」
不気味に笑い出す、成宮。その姿をみて警察官たちは軽く恐怖を覚える。
「なにをしたって…?別に本当のことを言っただけだけど?お前はオレ達の仲間、Crowのメンバーだってな」
そのあとも笑い続ける成宮の姿に警察官たちはその言葉の意味に気づくのに時間がかかった。
なんだと…?
伊達さんの息子がCrowのメンバー!?
「…で、でまかせを言うな!」
「嘘じゃあ、ねぇよ」
口元を笑わせながら、言う成宮の言葉に警察内では間に受ける者も出ていた。
『最後かも』ってなんだよ。そして、なんで返信してくれねぇんだ。信士…。
次の日の朝。昨日、信士から来たメールを見ながら頭を悩ませる浩太。
あの日から信士には一度も会っていない。いや、会えないらしい。
なんで今まで黙ってたんだともふざけんなとも思った。でも、すぐに気づいた。信士の方が辛い思いをしてるんだってことに。
そして、昨日のこのメール。もっと、信士の辛さが分かった。
信士なら、あの銃声にみんなを巻き込んでしまったこと。鷹谷中の生徒が襲われてしまったことに責任感じてるに決まってる。信士はなにも悪い事はしてないのに…。
くっそ!やっぱり、ふざけんな!!
浩太は自転車に飛び乗り、漕ぎ出した。