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第74話-決意の朝に-


“つらいときつらいと言えたらいいのにな”


決意の朝に。iPodから流れる音楽に耳を傾けながら、信士は支度を始める。


全く…。今のぼくにぴったりの唄だ。


出発は午後1時。それまで過ごす時間は憂鬱だ。


怖い。寂しい。死にたくない。逃げ出したい。


そんな感情が信士の頭の中を行ったり来たりする。


でも、病室の外には警察官達が沢山立ちはだかっている。もう、病室は鳥小屋のようで…。


ふと、ケータイが目に入る。寂しい。その思いがこらえられなくなり。


『さよなら


今日で最後になるかも しれないからさ


今までありがとう

そして迷惑かけてばっ かりごめん』


メッセージを残し、送信ボタンを押す。


メールの宛先は浩太。送信ボタンを押してから約3秒ぐらいで『送信完了』と表示された。


「はぁ…」と信士はため息をつく。そして、そのままベッドに倒れ込む。


永井さんから聞いた作戦をもう一度思い出す。


永井さんの運転する車に乗せられて広山東公園へ向かう。公園の周りは警察官達が見張っているらしい。


あとは、あっちの出方次第…。


横になっているうちに意識が遠くなり信士は眠りについた。



「信士」


この声は母さんだ。まだ眠い。おそらく、最近あまり眠れていなかったからだろう。


起き上がってみるとそこには永井さんもいた。


「そろそろ時間だ。行こうか」


時計を見てみると12時45分。信士は永井についていく。


車の前。あと1時間程度でぼくは敵の前に立つことになる。


「信士」


また、母さんに名前を呼ばれた。母さんは泣きそうな顔を浮かべたまま立っている。


「大丈夫だよ」


本当は不安なくせに笑顔を作って、平気なふりして嘘をついた。


「そろそろ、行こう」


車に乗り込む信士。運転席には知らない人。助手席には永井さんが座っている。


車は走り出した。車内は静かだ。


車が走りだしてから少したったころ、信士はふとケータイを見てみた。


メール1件入ってる…。


多分、浩太からだろうと思い、開こうとした瞬間。


「バンッ」という鈍い音がしたかと思いきや、車は激しくスリップした。


それとほぼ同時に「伏せろ!!」という永井さんの声が聞こえる。


しかし、それよりも前に信士は見てしまった。


車の周りを多くの覆面を被った『やつら』に囲まれてしまっているのを…。




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