第69話-クリスマスの悲劇-
“お前は成宮さんに逆らった。死ね”
体が下へ吸い込まれていく。死ぬ……………………………………………………………………
「うぁぁ!!」
はぁ…はぁ…
夢か…。なんて目覚めの悪い夢だ。
冬休みに入って、2日目。今日は12月25日、クリスマスだ。
そのことを思い出し、嫌な夢のことを忘れ、クリスマスを楽しもうとドアを開ける。
廊下に出た瞬間、強烈な寒さが体を襲う。さすがに12月も後半になると寒さは厳しいものになっている。
「おはよう。起きるの早かったんじゃない?」
リビングに行くと母さんがいた。時計を見てみる。6時30分。
確かに早く起きてしまったようだ。でも、あれだけ嫌な夢を見たんだ当たり前か。
朝食を食べ、練習へ向かう。クリスマスだというのに、部活はあるらしい。
でも、それぐらいしなければ勝てはしないだろう。
「ねぇ、陸上部でクリスマス会しない?」
言い出したのは詩織。
「全員で?さすがに多すぎないか?」
疑問を唱えたのは浩太。
「う〜ん、じゃあ、二年生でやっちゃう?」
という詩織の言葉からクリスマス会は開かれることとなった。
信士にとってもクリスマスを楽しむにはとても面白そうだと楽しみに思う。
このクリスマス会でなにがおきるかなんてこのときは知らなかったから。
「せっかく陸上部なんだしさ、鬼ごっこしよ〜!」
近くの広い公園。練習後結局集められた陸上部の二年生達。その大半はこの寒さで乗り気ではなかった。
が、しかし、始まってしまえば関係なしに広い公園を陸上部メンバーが走り回る。
なんだかんだ言っても、始まって30分でみんな寒さすら感じていない様子。
しかし、楽しかったのはここまで。
「浩太、タッチ!」
「あぁ!後ろから!!」
どうやら、浩太が不意をつかれて鬼になったようだ。
と、ここで浩太は
「信士、覚悟〜!!」
なぜか、信士だけを追い始める。
みんなは反対側に一斉に離れ、もはや見えないような位置に。
必死に逃げる信士。だが、やはり800を走る浩太には勢いの差でどんどん詰められていく。
「タッチ!!」
浩太が信士にタッチしようとしたこの瞬間。それと同時に凄まじい銃声が鳴り響いた。
銃弾は信士の肩をかすり、後ろへ。
一瞬の出来事。2人から離れていた、他のメンバー達は音にしか気づいてはいない。
なんだ……。今、一体何が。
わけもわからず、銃弾がかすった肩を押さえる信士。
「と、とりあえず隠れるぞ!」
浩太がそうとう焦った声で言う。
信士の頭の中は何が起きたのかとただ、パニックに陥っていた。