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第63話-裏の顔-



びっくりした様子の2人に対して、ノエルは


「ヤッパリ!駅伝大会での活躍みまシタ。あの走りは本当にスゴイとオモいマス」


明るく喋るノエル。東條から聞いていたコンクリートの上は走らないとか言う人にはとても見えない。


信士がそんなことを思いながら、ノエルの話しを聞いていると、少しだけ気がかりな言葉を残した。


「ヒトリだけデス、日本人でスゴイとオモッタのは」


と、ここで柊が肘で信士を軽くつつきながら、


「信士君凄いよ、認められてんじゃん」


どうやら、柊は凄いと思った1人の日本人をぼくだと思っているようだ。


しかし、


「それで、ドチラなんですか?Mr.ヒイラギは」


2人は顔を見合わせ、柊は慌てて「ぼ…僕です」と答える。


信士はさっき柊がやってきたように肘でつっつき返した。


「オオーキミでしたか!」


ノエルは目的の人物を見つけられてとても嬉しそうだ。


「で、でも…なんで僕なんですか?他に僕より速い人ならいるんじゃ」


「北星中の水時さんとか…」


水時。この名前を出したことが柊のこの日の最大の失敗だった。


「あのヒトはダメです」


水時が駄目…?


「ワザワザ、足に悪いコンクリートの上をムリヤリ走って、ケガをするなんてバカだとオモイマス」


水時がバカ、だと?

水時が駅伝をどんな思いで走ったかこいつに分かるのか。


「それに比べてMr.ヒイラギの走りにはレイセイさをカンじまシタ」


「それに比べればカンジョウ的になってハシッテケガしたミズトキはバカです」


違う。水時は過去の自分の失敗を取り戻すために、仲間のためにケガを押して走ったんだ。こいつはそれを…。


もう、これ以上水時が汚されるのを信士は耐えられなかった。


「水時はバカなんかじゃない…」


「ン?」


「そうなるのを分かっていてそれでも、それでも…仲間のために走ったんだ!」


「…クックククッ」


なぜか、ノエルは笑い出す。


「それは、ナオサラバカですね」


なにを笑ってんだ。

かっこいいじゃんか、ケガを押してまで因縁を晴らして。


それをなぜ、笑う!


「笑うな!!」


気づいたときにはノエルに向かって叫んでいた。

でも、水時をあざ笑ったことはどうしても信士にとって許せない。


「お前に水時の何が分かるっていうんだ!水時はな…」


続けようとしたところで、


「Shut up!!(黙れ!!)」


凄い血相でノエルは信士を睨めつけてきた。しかし、信士も負けじと睨み返している。


ノエルはさっきまでとは違う、恐ろしい笑みを浮かべ言った。


「コウカイすんナヨ…」


そう、言い残しどこかに歩いて行ってしまったのだった…。




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