第56話-闘いの火蓋-
「信士、やっぱりさ、浩太最近変だよ…」
あの出来事から5日、陸上部の練習が終わり帰るときに詩織に言われた。
「…分かってる。でも、ぼくらは今、争っているんだ」
「辛いけど…今だけは、ダメなんだ…」
詩織は少し、悲しそうな顔をしながら、
「それでも…変なもんは変だよ」
「浩太が元気ないのも、もちろんのことだし…柊君まで最近、余計おどおどするようになったじゃん…」
確かにそれは信士も感じるところではあった。
「それに、3人が一緒にいないなんておかしいよ…」
「………」
分かってる。
分かってることなのに…
どうしても、争わなくちゃならない。
それぞれに負けたくない想いがあるから。
次の日
昼休みの時間、柊は立ち上がり、浩太が座っている机の前に立った。
「浩太君…僕はもう、こんなのやだよ…」
「浩太君と信士君と一緒に笑っていたい…だから、僕は降りる。もう…耐えらんないんだ…」
その瞬間、
「ガタン!」と椅子が倒れる音が鳴り響き、浩太は柊の頬を思い切り殴った。
あまりの強さで、柊はそのまましりもちをついてしまっている。
「ふざけてんじゃねぇ!!」
この状態に教室にいた全員が困惑し、どうしたらいいか分からなくなっている。
「もう耐えられない?ふざけたこと言ってんじゃねーよ!お前の思いがそんなもんなわけないだろ!」
「いらねぇ情をかけんなよ!!」
「いいか、見とけ。絶対にオレはお前らに勝つ!勝って、絶対にリベンジしてやるんだ!!」
そう言い、浩太は教室を出て行ってしまった。
柊は殴られた頬を抑え、俯いている。
信士は慌てて柊に駆け寄る。
「だ、大丈夫!?」
「うん…大丈夫だよ…」
「いてて…」
殴られた頬はとても痛そうだ。
「信士君…」
「やっぱり、浩太君は浩太君だったね。浩太君には嘘をつききれないや…」
やはり、嘘だったのか…。
「でも、3人でいたいのは本当だよ…でも、浩太君が言った通り試合には絶対に出たい!」
「信士君、悪いけど…君にも負けないつもりで頑張るよ」
「臨むところだよ…」
これこそが、真の闘いの火蓋が切って落とされた瞬間だったんだ。
あと、2週間ちょっと。
全てをかけて闘いに挑む!!
すいません
テスト近いんでちょっと休みます
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