第5話-意識-
「信士!信士!」
声が聞こえる。
しんじ?一体誰のことを言っているのだろうか?
目を少しずつ開けてみる。
その時、
「ズキッ」
体中が痛んだ。
分からない。何があったのだろう?
光が見え始め、目が慣れると白い天井が見えた。
と、視界に髪の長い少女が飛び込んできた。
「信士!大丈夫!?」
あぁ、信士ってぼくのことか。
「…あなたは誰ですか?」
聞いてみる。
少女は急にびっくりしたような悲しそうな顔をして、少し黙った。
少しの沈黙の後、
「本当に…分からないの?」
目にいっぱいに涙を溜めて聞いてくる。
「…ごめんなさい」
少女の目から、涙がこぼれた。
泣いている少女の姿を見て、
何をすればいいのか分からなくなった。
そのまま、時間がたち、誰かが入ってきた。
おばさんと言えるような人と、優しい目が特徴的な白衣を着た男。
「信士!!」
おばさんが嬉しそうに言ってきた。
(この人なら何か分かるかもしれない)
「ここは何処なんですか?」
「何故、僕は此処にいるんですか?」
「本当に、分からないのかい?」
逆に聞かれた。
その後、意識がもうろうとするままいくつかの質問をされ、
3人は、病室を出て行った。
(何だってんだよ…)
天井を見たまま僕は悩んだ。