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第4話-沈黙-



「ブゥ~ブゥ~」


ケータイが鳴った。


「はい?」


「詩織です…」


なぜか泣いている詩織の声。


「信士の意識が戻ったんです…でも、でも…記憶が…」


(信士の意識が戻った!?)


それを聞いた瞬間、信士の母、久美子には詩織が泣いていることも、言っていることもそれ以外どうでもよくなってしまった。


「ピッ!」


ケータイを切り、久美子は走り出した。


と、そこに丁度良く信士の担当をしてくれている、鈴木先生がいた。


「先生!信士の意識が戻ったんです!!」


「はい、今インターホンから連絡がありました」


「急ぎましょう」


病室につくと―


イスに座ったまま、手で顔を隠し泣いている詩織の姿があった。


それでも、久美子はただ、信士が目覚めたことだけが嬉しくてそれどころではなくなっていた。


「信士!!」


息子の名前を呼ぶ。


信士は今までとはまるで違う、うつろな目を久美子に向け、


「ここは、何処なんですか?」


明らかに今までの信士とは思えない口調。


「何故、僕は此処にいるんですか?」


久美子は言葉を失った。


「本当に…分からないのかい?」


鈴木先生が聞いた。


「はい…」


「この人達が、誰なのかも?」


信士は小さく頷いた。


「記憶喪失…」


鈴木先生が静かに呟いた。


「い、今なんて?」


「ちょっと、病室を出ましょう」


鈴木先生はドアを静かに閉め、言った。


「落ち着いて聞いて下さい。」


「信士君は…記憶喪失かと思われます。」


「その、記憶喪失がどれほどのものなのか今調べるので、ちょっと待っていて下さい。」


「そんな…記憶喪失なんて‥‥」


急なことに、戸惑う久美子とただ涙を流している詩織の間に沈黙が過ぎていった‥‥



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