第35話-トランプ-
-合宿2日目-
この日の練習は全員室内練習。
やはり、昨日の雨で外で練習するのは無理だった。
しかし、さっきから筋トレばかり。
「外で練習の方が楽なんじゃねぇか?」
浩太もそう言うほどだった。
朝のことが気にかかり、水時をふと見てみる。
(……すごい!!)
周りを圧巻するスピード。
腕立ての時に見えた腕は男のぼくが見ても惚れ惚れするほどに筋肉が引き締まっていた。
やっぱり、水時は凄い。
それにしても、キッツ!
「あ~やっと終わった~」
つらい練習が終わり、民宿に戻った。
ふたつの学校の生徒が集まって泊まっているのだからこの民宿もある意味凄いと思う。
その日の夜
「おう、来たな」
ぼくと浩太がいる部屋に来たのは東條君だった。
昨日、仲良くなり今日の練習の終わりに誘っていた。
「昨日は本当にありがとう」
「いやいや、どーいたしまして」
頭をかく浩太。
おそらく、君に言ってるんじゃないと思うんですけど。
「それにしても、水時今日、練習してたけど大丈夫だったの?」
ぼくが、気を取り直して言った。
「本人いわく、何ともないって」
「でも、本当に昨日の信士君はすごかったよ~」
「そんなことないよ~」
と、浩太が言う。
……頼むから黙っててもらえないだろうか?
「急に信士君がぼくが運ぶって言ったときは本当に助かったよ。沢村先生も感謝してたし」
「いや、…」
本当に昨日は大変だった。雨は強く、地面のぬかるみ方も凄まじく普通に下るのも困難な状況で人を一人担いで下ったのだから自分でもびっくりする。
その疲れで昨日の夜は即寝てしまったのだが。
「そんな話よりさ、今夜は楽しく語り明かそうよ」
浩太がトランプを取り出しながら言う。
「そいや、水時は来ないの?」
「誘ってはみたんだけど、寝るって言ってた」
確かに水時らしい答えだった。
「おっ、トランプ!?」
詩織が男子部屋にも関わらず普通に入ってきた。
「変わってるな…お前……」
なんだかんだと楽しく喋りながらぼく達はトランプを楽しんだ。
2日目終了