第31話-合宿の始まり-
-合宿1日目-
着いたのは、なんてことのない普通の民宿だった。
「よろしくお願いします!」
民宿の人に挨拶した後、
「よし、じゃあ早速練習行くぞ」
「はい!!」
そこは、ちょっとだけ古い、400メートルトラックのある、陸上競技場だった。
「おぉ、意外と立派じゃん!」
浩太も声を上げて喜ぶほどだ。
「ここは、北星中と合同で使うからな、来たら挨拶すること、分かったな?」
「はい!!」
「ランニング!」
アップから、ぼく達はテンションが上がりっぱなしだった。
「次、ブロック!」
「長距離はそっちの山で山登りだ」
山登り……?
「うお、ワクワクする~~♪」
浩太はノリ気だ。
しかし、あのでかい山を登れと。
迷うな。
信士の心によぎった、このメンバーで山登りは危険すぎる。
「まぁ、ちゃんとした道はあったはずだから頑張れ」
はずって……?
「よっしゃっ、行こーぜ」
浩太がノリノリで走っていった。
「待てよ、浩太ー」
しょうがなく山登りに行くことになった。
……その10分後
「おい、あれ!」
ついに、北星中の生徒達が来た。
九条先生が慌てて、北星中の顧問、沢村先生に挨拶に行く。
北星中陸上部は競技場入り口に一列に並び、
鷹谷中陸上部も急いで一列に並んだ。
鷹谷中部長、市原 哲と
北星中部長、水時 走が数秒間無言で睨みあう。
緊張感の中、水時が先に挨拶をした。
「よろしくお願いします!」
「しまーす!!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「しまーす!!」
これが、合宿の本当の幕開けだった。