第3話-傷跡-
-事件から3日後-
病室の前。ここは信士がいる病室である。詩織は病人の名前を確認し入ろうとした瞬間、
「ガラッ」
信士のお母さんが出てきた。
「あっこんにちは」
「あら、詩織ちゃん見舞い来てくれたの?」
「はい、あの…信士の様子は?」
「まだ、目を覚まさないの」
「そうなんですか‥‥」
「とりあえず病室入る?」
「はい」
入った瞬間、見た信士の姿は、
頭には包帯を巻き、顔にも痣があった。
「犯人は…捕まってないんですか?」
「警察の人が動いてくれてるんだけどね…」
(何で信士が…)
犯人にどうしようもない怒りがこみ上げてきた。
「なんで、信士はあの日どんぐり沼に行ったんですか?」
「理由は分かんないんだけど、中総体が終わった辺りから急にランニングに行くようになってね、あの日も多分ランニングに行ったんだと思う」
「信士が、ランニングを…」
その後、たわいのない話しを一通りし、
「ちょっと、売店で買うものあるから、信士見ててもらっていい?」
「あっはい」
(そっか、さっきは買い物に行くとこだったんだ)
「じゃあおねがいねなんかあったら、連絡してちょうだい」
(どうして信士が…あの日、何があったんだろう?)
詩織は考えながら、信士を見ていると、
「ピクッ」
信士の手が動いた気がした。
「信士!?」
もう一度。
「ピクッ」
(今、確かに動いた!!)
「信士!信士!」
「うぅ…」
信士の目が開き始めた。
「信士!大丈夫!?」
信士は意識がもうろうとしたまま言った。
「あなたは…誰、ですか?」