第2話-決意-
(えっ‥‥?)
教室が騒然とする。
「そ、そんな冗談だろ?」
新垣浩太が先生に信じられないといった様子で聞く。
浩太は陸上部で長距離をしており、伊達信士と仲が良かった
「本当の事だ。何故そうなったかは、分からないがアイツが自分で死のうなんて考えるはずがない」
「おそらく…なにかに巻き込まれたんだろう」
「だから、絶対にどんぐり沼には近ずくなよ」
「って言ってももう立ち入り禁止にはなってるんだろうけどな」
(信士がなんで‥‥)
教室はショックのまま朝のホームルームを終えた‥‥‥
-1週間前-
「お疲れ様でしたー!」
陸上部の練習が終わり、みんながさっさと帰り始める中、
「先生」
伊達信士が話かけてきた。
「どうした?」
珍しく真面目な顔をしている。
「俺、長距離で走りたいです。」
「何でだ?お前なら200でも充分やれるタイムだろ?」
「‥‥でも、どうしてもなんです!」
「‥‥分かった、お前のやりたい種目をやれ」
伊達はいつもの笑顔に戻り、
「はい、ありがとうございます」
「ただし」
「ただし、条件がある」
「秋の新人戦までに、うちの長距離の奴ら全員抜かせ」
「本気ならこれぐらいのこと、だよな?」
もちろん本気で言っているわけではない。
どこまで本気で長距離をやろうとしているのか試してみた。
すると、伊達はさっきまでの笑顔と同じように笑顔を浮かべ、
「分かりました、やってやります」
そう言い切った。
「そうか…そういや最近野球のほうはどうなんだ?」
「絶好調っすよ」
「そうか、まぁどっちも頑張れよ」
「はい、それじゃあそろそろ帰ります」
「おう、気をつけてな」
「信士ー!早くー!」
浩太が呼んでいる。
「おう!今行くよー」
走っていく伊達
何故、長距離になろうと思ったのか
全く分からない。
でも、アイツの挑戦を見守ってやろう
そう思った。