第18話-気迫-
すいません
軽く脱線してます
県大会決勝、うちと相手チームはお互い譲らぬ攻防だった。
3対2、一点リードで迎えた5回、
エースの隆也さんがついに捕まり、ワンアウト満塁の大ピンチとなった。
隆也さんは3番バッターに思い切り投げ込んだ。
その時、
「カキーン!!」
打球は真っ直ぐ、隆也さんへ。
(危ない!!)
「バシッ」
隆也さんは無理やり、素手で打球を止めた。
「くっ!!」
打球が落ちたのを見て、ランナーが一斉に走り出した。
「オラァ!!」
ボールを鷲掴みし、腕を強引に振って投げた。
「アウトッ!!」
間一髪のタイミングはアウトだった。
(ふぅ…)
しかし、
「うぅ‥‥」
腕を押さえ、うずくまる隆也さん。
「た、隆也!?」
タイムをかけ、選手が隆也さんの周りに集まる。
「隆也!」
監督が隆也さんのもとに駆け寄った。
「くっ、監督すんません…」
「…良くやった、後は休んでおけ」
「信士、洋介行くぞ!!」
「は、はい!!」
マウンドに着くと、信士は隆也さんからボールを受け取った。
「信士、後は頼んだ…」
隆也さんの手は震えている。
「…任せて下さい」
選手は守備に戻り、監督と隆也さんはベンチに戻った。
「洋」
「ん?」
「ぜってぇ抑えるぞ、隆也さんの為にも勝つんだ」
「あぁ!!」
バッターは4番。
ここまで2打席とも、ヒットを放っていた。
(初球、直球行くぞ!)
信士は頷き、一球目を投げた。
「バンッ!!」
(…!!)
凄い球だった。
今まで見たことがないくらいに、威力のある球。
(いける!!この球なら、やっぱり信士は最高だ!!)
2球目はボール。
3球目、
「カキーン!!」
(えっ‥‥?)