第14話-転機の訪れ-
「野球は辞めちゃ、駄目なんだよ!」
「…才能とか、そんなんじゃないんだよ」
「…とにかく!もっと考えてくれ!」
「…分かった、考えてみるよ‥‥」
「伊達君、退院決まったぞ」
「本当ですか!?」
「うん、出来れば3日後で考えてるんだけど」
「学校の事とかは、九条先生にお願いしたし、あとは君さえよければ3日後で」
「もちろんです!是非、退院させて下さい」
「分かった、ただなんかあったらすぐ病院に来るんだぞ」
「はい」
「あと…もう一つ」
「なるべく、身のまわりには気をつけて生活するように」
「例の『事件』はまだ解決してないんだ、実は君には知らせてなかったけど、毎日警察の人が事情聴取に来てたんだ」
「それは、全部君のお母さんが受けてくれてた」
「…そうだったんですか」
「あぁ、お母さんに感謝しとけよ」
「はい…あの、明日その警察の人に会ってみていいですか?」
「事件のことについて、聞きたいんです」
「うーん…分かった、ただし念の為僕がついてってのが条件でなら」
「はい、ありがとうございます」
(やっと、やっと事件について触れられる)
「はじめまして、信士君」
「刑事の永井です」
「どうも」
見た目は、若い男の人だった。
「早速だけど、君は記憶喪失ということなんだよね?」
「はい…」
「それで、事件に関して少しでも覚えてることはないかな?」
「いえ…事件に関しては何にも覚えてなかったです」
「何にも…」
悔しそうな、永井さん。
「ぼくは今日、逆に教えてもらうために入ってもらったんです」
「お願いします、事件について、話してもらえますか?」
「…分かった、今のところ調べのついている分を話すよ」
ぼくは、体を強ばらせ永井さんの話を聞き始めた。