表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/82

第12話-再会-



「よしっ体の傷もほとんど消えたし、後は記憶だけ、だな」


鈴木先生が言った。


「…あのさ、体の痛みが完全に消えたら、一旦退院したほうがいいんじゃないかと思うんだ」


「いつもの生活をする事で、何か思い出せるかもしれないし」


「なるほど…」


「まぁ、それはもうちょい相談してからの話だけどな」


「ところで、今日来るぞ」


「来るって、誰がですか?」


「水時 走ってやつだよ」


(!…)


「本当ですか!?」


「うん、なんか思い出せるといいな」


(水時が…来る!)




少年は静かにドアを開けた。


「よう」


身長は170センチぐらい、細身だけどがっちりした体つきをしている。


「…君が、水時?」


「あぁ、そうだよ」


水時の鋭い目線と、重なった。


「ゴクッ」


「記憶喪失ってのは、本当の事だったんだな」


「あぁ…」


「水時の事は、みんなから聞いたよ、1500メートル一位」


「市の大会じゃ周りがザコ過ぎるんだ、だからそんなもん何でもない」


(………!)


「…ぼくが『そんなもん』じゃなくするよ」


「お前じゃ無理だ、だいたい短距離だろ、お前」


「『約束』なんだろ?」


水時は黙った。


「ぼくは、もう長距離なんだ、それに」


「覚えてた」


「お前には、絶対勝つんだって…」


「お前は一回、約束の事なんて忘れただろが」


「そう…らしい…でも、この感覚は本物なんだ」


「多分、お前の走りを見たから!」


「だから…」


「ふん」


「まぁ何だろうと、結局は勝てないよ」


そう言い、水時は立ち上がった。


「ランニングの時間なんだ、帰る」


そして、病室を出る所で水時は不敵な笑みを浮かべ言った。


「まぁ、楽しみにしとくよ…」


「あぁ、見とけ」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ