妹のためを思ってしていたことを虐待と言われ婚約破棄されました
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「適用」押すと、自動的に直してくれるんですね! すごいな~。ありがたや~!
「クラウディア、君は妹を虐待しているそうだな」
「え?」
王立学園の食堂で、食後のお茶を飲んでいたら、アラン王太子殿下が近寄ってきて、いきなりそう言われた。
「食事もろくに与えてないと」
とりあえず、座ったままでは失礼かと思い、立ち上がって言った。
「そんな…誤解ですわ…」
食堂にいた他の生徒たちがざわめきだした。
「『ご飯が食べたい』と言うときつく叱られると」
「あ、あの殿下、ここは人目もありますことですし、場所を変えてお話ししませんか?」
「私はみんなに聞こえるように話している。みんなにも聞いてもらう。君がどういう人間かを」
「……」
「妹さんって、心臓が弱いから学園には通えないという噂の?」
「ご飯を食べたいと言うと叱る?」
「あのクラウディア様が?」
「あんな優しそうな顔をして、まさか…」
生徒たちの動揺を感じる。
「ご飯は…食べ過ぎてはいけないと思って減らしただけですわ…」
私は正直に答えた。
「『お腹がすいて眠れない』と泣いても、無視したそうだが」
聞いていた生徒たちが「えっ」という顔をする。
「それは…そうですけれど」
生徒たちがさらに「ええっ」という顔をする。
「『体調が悪くて、息切れがするから、自分の部屋に食事を運んでほしい』と言っても、『歩きなさい!』と怒鳴られて、痛む足をひきずってでも歩かせられたと」
生徒たちが驚愕する。
「それは…妹の身体のためを思って…。無理してでも歩かないと、歩けなくなってしまいますから」
「否定しないんだ!」と、また生徒たちが驚愕する。
「体のためか。では、『いつもサイズの小さいドレスを与えられる』というのはどうだ。嫌がらせ以外の何がある」
「それは、妹の成長が早くて…体形に合わせるのが間に合わなかっただけです」
「では、『アクセサリーをちょっと借りただけなのに、きつく叱られた、それからは、どんなに頼んでも貸してくれない』という話は?」
「…私が大事にしていたネックレスを壊したからですわ。だいたい、私の持っているアクセサリーは、妹には似合わないですし…」
ざわわわ! 生徒がどよめいた。
「クラウディア様があんな言い方をするなんて」
「似合わないって決めつけてたよね」
「もしかして本当に?」
「あんなに優しそうなのに、家では虐待していたの?」
生徒たちの目が険しくなってきたのがわかる。誤解なのに…。
私がしていることは、本当に妹のためなのに…。
「さらに、家族で出かけるときも、妹ひとりだけが、別の馬車で移動するそうだな。君とご両親は同じ馬車なのに」
「な、なんだってー!」という声があがった。
「そんなひどい!」
「家族ぐるみでいじめてるってこと?」
「そんなことされるなら、置いて行かれるほうがまだましだよ!」
「そうよね。自分ひとりだけで家族と別の馬車なんて、みじめすぎる」
生徒たちは完全に、殿下の言うことが正しいと信じてるようだ。
私は息を大きく吸った。ここが正念場だ。ここでうまく答えないと、殿下の印象が変わってしまう。
「妹とは…家族の誰も……、一緒に乗りたがらないから…」
シーンと静まり返ったあと、大騒ぎになった。
「妹への虐待、ほんとにやってたー!」
「最低! クラウディア様、最低!」
「外面だけで内面はそんなだったのー!?」
「静まれ」
殿下が言うと、みんなの声がぴたっとやんだ。
「否定しないのだな」
「……はい」
私は重々しく答えた。
「残念だよ。君がそんな人とは思わなかった。君との婚約は破棄させてもらう」
「はい」
生徒も息をひそめて成り行きを見守っているのがわかる。
「そして、君との婚約は、王家と公爵家をつなぐためなのだから、妹とでも問題はないだずだ。父に言って、君の妹との婚約を改めて結ぼうと思うが、それでいいな?」
「殿下の仰せのままに」
私は、うつむいたまま美しく礼をして、その場を去った。
食堂は大騒ぎだったが、私は大急ぎで両親にこのことを報告しなければいけなかったので、王都にある家に帰った。
「お父様! お母様ーーーーー!」
「クラウディア? こんな時間にどうした? 学校は?」
「早退してまいりました。聞いてくださいお父様お母様、私、たったいま、婚約破棄されましたわ!」
両親が驚いて目を見開いた。
「本当か! では、もしかして…」
「ええ! 妹を代わりに婚約者にすると!」
父が大きく天を振り仰ぎ、母は口に手を当てた。
そして3人で
「いやったああああああああー!」とガッツポーズした。
ドーン! 床をたたく音がした。
妹が、用事がある時に、私たち家族を呼びつける音だ。
「私がいくわ」両親を手で制して、妹の部屋に向かった。
「うるさいわよ! 何騒いでるの!」
妹の部屋に入ると、妹がベッドでポテチを食べながら怒鳴った。
「私が婚約破棄されたことを伝えにきたのよ」
「え? ということはもしかして?」
「ええ、あなたが新たな王太子の婚約者よ、おめでとう」
「まじでーーーー! やりーーーーーーーーー!」
妹は大喜びで「新しいドレス新調しなくちゃな~、お姉様、ドレス屋さんに注文出しといてね。アクセ屋さんにも!」とうきうきしながら新しいポテチの袋を開けていたが、ドレス…作れるのかな。
その前に、採寸…できるのかな。
脂肪の波でゆれて、うまく測れないんだよね。大き目に作っても、出来上がったころにはもっと太ってたし…。
そう。妹は、体重200キロ超の大デブなのである。
どれだけ大量に食べさせても「お腹がすいて眠れない」と泣く。
心臓が弱いのも息切れするのも、足が痛いのも、体重のせい。
首も指も腕も太いので、私のアクセをつけようとするとちぎれて壊れるから、貸したくないだけ。
そして馬車にひとりで乗らせるのも、馬への負担はもちろん、体積が大きすぎて、他の人が乗るスペースがないのだ。
「この不良債権をどうしよう」というのが、私たち家族の長年の悩みだったが、ある時「王家に押し付けられないか?」と思いついたのである。
「もっと食べさせてくれないなんて、虐待よ!」
と騒ぐ妹に、
「そういえば王太子殿下って、虐待やいじめを絶対に許さない人らしいわ。もし私があなたをいじめてる、とか思われたら、婚約破棄されちゃうかもしれないから、絶対に言わないでよね」
と言ってみた。
思惑通り、すぐに妹は
「自分は姉に虐待されています」
と、殿下宛に書状にして出したらしい。
その書状が事実かどうか、家に来るとか、調査すればすぐわかると思うんだが、そういうこともせず、いきなり学園の食堂で断罪するあたり、殿下もろくでもないので、お似合いと言えよう。
まあ、明日からの学園生活が、ちょっと居心地悪くなるかもしれないけど、そんなことより、
「やっと、やっかいばらいできるー! 私は自由だー!」
という喜びでいっぱいだった。
ありがとう殿下ー! 妹とお幸せにーー!
途中でオチがわかった人がいっぱいいそう。
というか序盤でわかってるかたがいてびっくり。
おまけの王太子その後
妹を見て、自分がまちがってたことに気づくけど、なんとか隠してこっそり
妹をやせさせようとします。
そして第二王子に「兄上は婚約者を虐待しているそうですね」と詰め寄られます。
第二王子はちゃんと調べた上で詰め寄ってるので、王太子は廃嫡となり、
クラウディアに謝罪&名誉回復して、妹は病院に行って体重管理されます。
いただいた感想の返事に思い付きで書いたんですが、けっこういいのでは?と
思ったのでこっちにも書いちゃいました~。えへ。




