応援部隊が来た。解決ではなく、問題を持ってきた④
二時間後。
大鉄が作業を終えた。抽出装置がNT-6200に換装された。
見た目から違う。NT-4700が病院の検査機器なら、NT-6200は宇宙船のコックピットだ。椅子のクッションがふかふかになっている。画面がカラーになっている。今までのは白黒だったのか。
「起動テスト、いいですか」
「お願いします」
大鉄が装置を起動した。低い唸り。NT-4700より静かだ。画面にカラフルなグラフが表示される。
<NT-6200 起動完了>
<抽出効率:旧型比 +18%>
<推定抽出時間:旧型比 -22%>
<安全機能:自動緊急停止、過抽出防止、個体別プロファイル登録済>
「個体別プロファイル?」
「五体それぞれのエネルギー特性に合わせた抽出パラメータが登録されてます。ラグナさんの運動モードも対応済みです」
運動モード。つまり、通路で走った時のエネルギー回収が、前より効率的になる。
「すげえ」
「500万ポイントの装置ですからね」
500万ポイント分の性能。ラグナの臨界点対応が、これで少しだけ楽になる。
「あと、ブザーは消音設定がデフォルトになってます」
メルトの凍結対策が標準装備。この装置の開発者は、現場の苦労を知っている。
テスト抽出を実施。ラグナを椅子に座らせる。
「わ、ふかふか!」
「座るの上手いですね、座るだけなら」
「どういう意味!?」
エネルギー値。112%→105%→98%→92%。
速い。三分で20ポイント下がった。NT-3500の三倍以上。ラグナの安全圏到達が、今までの半分の時間で済む。
「すごい! 全然疲れない!」
「お前は走ってないからな」
「走らなくても下がるの?」
「椅子型でも下がるようにプロファイルが最適化されてるんだと思います。走ったらもっと速く下がる」
「じゃあ走る!」
「今はいいです。テスト中なので」
大鉄が満足そうに頷いた。
「問題なさそうですね。これで日常の抽出はかなり楽になるはずです」
「ありがとうございます。本当に」
「いえいえ。壊さないでくださいね」
「善処します」
善処という、この組織で一番信用できない言葉を使ってしまった。ラグナがいる限り、善処は善処でしかない。




