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第1章-3話

 母と一緒に外へ出て草を燃やした場所を土魔法を使って固めてもらう。わたしは火属性の魔法が得意だけどエルフが得意な木属性や風属性は不得意だ。土魔法も平均的なエルフ以下しか使えない。エルフとしては、なのでその辺の人間よりは得意ではあると思う。

 木の枝で線を引いた場所を掘ってもらい排水溝を作りそのまま浄化槽に繋げてもらう。この町では各戸に浄化槽が付いている。水浴びの水量までは想定されていないと思うので浄化槽の方も改装して貰わないといけない。浄化槽の蓋を開けてもらう。浄化槽は清掃用のスライムを入れるか魔術式を書き込むことになる。今は清掃用のスライムが入っている。外にスライムを出してもらいファイヤーで中を焼いて掃除する。ついでに溜まった水も蒸発させたので母に浄化槽を少し大きくしてもらった。

「えっと、浄化の魔術式は……あれ?浄化でスライムも消えちゃうかも?」

 ちらりとスライムを見る。母はじゃあ売ろうかしらと言って眺めている。元々は家に付属していた子なので特段思い入れはないけど何か可哀想だ。

「この子に肥料って作ってもらえないですか?」

「どうかしらねぇ……まぁ一度やってもらって駄目そうなら売りましょうか」

 広い庭を遊ばせておくのも何か勿体ないし家庭菜園を作ろう。スライムは片隅で堆肥(たいひ)を作るところを作って入れてみよう。気を取り直して浄化槽に向き直る。

「浄化の魔術式を刻みたいんですけど」

「そうねぇ……魔術陣の形に凹ませて砂を集めるから砂が溶けるくらい思いっ切り熱してみてレオちゃん」

 母は言った通り浄化槽の底を凹ませて砂を集めた。なんだっけ、本で読んだ気がする。思いっきりとのことだったので深呼吸して意識を向ける。

「ファイヤー!」

 黄色い炎が浄化槽を満たす。もっと、温度を上げなきゃ。再度呪文を唱えようとしたところで後ろから足に抱き着かれた感触がした。

「あら、ランちゃん。レオちゃんより前に出ちゃだめよ危ないから」

「うぃんど、なの!」

 膝の後ろから小さな手がそっと出される。風が吹き浄化槽の中の炎が青白く変わった。青白い炎は渦を巻く。あらまぁと母は頬に手を当てて小首を傾げている。他所様の娘さんを預かってるんだからもっと危機管理しっかりしてよ?

「そろそろいいんじゃないかしら」

「危ないんだから近づく前に止めてよ」

 ごめんねぇという母は本当に反省しているんだろうか?いや、してないな。浄化槽をそっと見ると底がガラスで覆われていて溝を掘って深くなった部分が濃くなっている。魔術陣は埋め込まれているのでこれで動くだろう。魔力の伝導率はあまり高くないけどそこまで効率求めるものでもないから別にこれで構わないだろう。

「ラン、風属性の魔法が使えるの?」

「うん!みずもだせるの!」

 風属性と水属性は相性悪くないから多くはないけど滅茶苦茶珍しいというわけではない。ただ獣人は身体強化系に全振り、みたいな個体が多いと本には書いてあったので結構珍しいのかもしれない。どうしようかなと思ったがとりあえず手伝ってくれたらしいランの頭を撫でる。今日もふわふわだ。まぁ親がどうにかするでしょ!よし!

「水はウォーターボールが出せるの?」

「うん!だせるの!」

 スッと手を上げるランにとても嫌な予感がする。

「うぉーたーぼーる!」

「やらなくていいよウインド!」

 静止が間に合わなかったので急遽ウィンドで水の塊を細かくして吹き飛ばす。わぁ、庭に水やりしなくていいねこれ。現実逃避していると浄化槽の方から蒸気が立ち上りジュッという音とパキッという音が聞こえてきた。ガラスを急冷したから割れたのかもしれない。

「あらぁ、金属で作り直しましょうか」

「また後で作業しよ。休憩したい」

 がっかりしながらもウィンドで水が落ちてこない間にランを抱えて家に戻る。猫だから濡れるの嫌だろうし。

 なお、レオノティスは猫派であった。

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