第4話:謎の魔物とストレスが共鳴した件
ギルドの酒場で、俺、佐藤健太はミリアから渡された新依頼書を睨みつけていた。
「『魔獣の森の奥で謎の魔物討伐』? ミリア、ゴブリンリーダーのトラウマまだ癒えてねえんだぞ!」
「ほら、健太、ゴブリンリーダー倒したんだから、これもイケるでしょ! 噂じゃ、森の奥にすっごいヤバい魔物が出るらしいの。ギルドの評判上げてよ!」
ミリアの無責任な笑顔に、ストレスポイントが55/100に跳ね上がる。前世のブラック企業もビックリの無茶振りだ。
隣でリリアが肉にかじりつきながら、目をキラキラさせてる。
「健太、謎の魔物ってワクワクするね! 斥候の私がバッチリ索敵するから、絶対勝てるよ!」
「お前の楽観主義、ストレス溜まるわ…」
ストレスポイントが60/100。リリアのポジティブさ、時々マジで眩しすぎる。
翌朝、俺とリリアは再び魔獣の森へ。今回はギルドから支給された少しマシな装備――鉄製の胸当てと、なんかカッコいいマント付きだ。リリアは新しい弓と、斥候用の軽いブーツを履いてる。
「健太、なんか強そうに見えるよ! ストレスマスターっぽい!」
「だからその呼び方やめろ! ストレスウォリアーだ!」
ストレスポイントが65/100。ステータスを確認すると、ストレスバーストがLv.2、ストレスチェインがLv.1。技は増えたけど、消費後の疲労がキツいのが難点だ。
森の奥に進むと、空気が重くなり、鳥のさえずりも消えた。リリアが耳をピクピクさせて囁く。
「健太、気配が…めっちゃ強いよ。たぶん、あそこ!」
指さす先、巨大な岩の陰から紫色の霧が漂ってる。霧の中から、でっかい影がヌッと現れた。体長5メートルはありそうな、トカゲとドラゴンを足して割ったみたいな魔物。鱗は黒光りし、目が赤く輝いてる。
「なんだあれ!? ドラゴン!?」
「違うよ、ワイバーンだ! でも、なんか普通のよりデカい…!」
ストレスポイントが80/100に急上昇。ミリアの「謎の魔物」って、こんなバケモンかよ!
『ピロリン! ストレスゲージ80%到達! 新技『ストレスリフレクト』解放!』
頭の中で例の声が響く。新技の説明は、敵の攻撃をストレスオーラで跳ね返し、カウンターでダメージを与える防御技。消費ポイントは30。
「よし、試してみるか!」
ワイバーンが「ガオオオ!」と咆哮し、鋭い爪で突進してきた。俺は叫ぶ。
「ストレスリフレクト!!」
赤いオーラがバリアみたいに広がり、ワイバーンの爪を弾き返す。反動でワイバーンがよろめき、俺はその隙に突進。
「ストレスチェイン!!」
赤い鎖がワイバーンを絡め取り、動きを封じる。リリアがすかさず援護。
「貫け、烈風の矢!」
矢がワイバーンの肩に突き刺さり、咆哮が一段とデカくなる。だが、鎖が解けると同時にワイバーンが尻尾を振り回し、俺を直撃。ドゴン! と木に叩きつけられ、息が詰まる。
「ぐはっ! 痛え…!」
ストレスポイントが90/100。マジでヤバい状況だ。
「健太、大丈夫!? まだ動ける!?」
リリアが叫びながら矢を連射するが、ワイバーンの鱗に弾かれる。俺は立ち上がり、ステータスを睨む。ストレスゲージがMAXに近い。
「くそっ、前世の残業も家族の説教も上司のマウントも、全部この一撃にぶつける!」
イメージしたのは、ストレスが爆発する瞬間。頭の中で声が響く。
『ピロリン! ストレスゲージ90%到達! 臨時技『ストレスカタストロフィ』発動可能!』
「臨時技!? よし、行くぞ! ストレスカタストロフィ!!」
瞬間、俺の体から赤と黒のオーラが噴き出し、空気がビリビリ震えた。オーラが巨大な拳の形になり、ワイバーンに直撃。ドッカーン! と爆音が響き、ワイバーンが地面に叩きつけられる。鱗がボロボロ剥がれ、動きがピタッと止まった。
「はぁ…はぁ…やった、か…?」
ストレスポイントが一気に5/100まで下がり、膝がガクガクする。リリアが駆け寄ってきて、肩を貸してくれた。
「健太、めっちゃすごかった! あの技、なんだったの!?」
「さあ…なんか、ストレスが限界突破した感じ…」
ステータスを確認すると、「ストレスカタストロフィ」はストレスゲージ90以上で発動する超強力な一撃技。ただし、消費ポイントが85で、発動後はしばらく技が使えないらしい。
ワイバーンの死体をギルドに持ち帰ると、ミリアが目を丸くした。
「うそ、強化型のワイバーン倒したの!? 健太、ほんと何者!?」
「ストレスウォリアーだっつってんだろ! 報酬よこせ!」
ストレスポイントが10/100に。ミリアの驚き顔、ちょっとスカッとした。報酬は金貨10枚と、ワイバーンの鱗で作った軽い盾。
「これで防具強化ね! 次はもっとデカい依頼いっちゃう?」
「勘弁してくれ…しばらく休みたい…」
その夜、酒場でリリアと祝杯を上げながら、ふと思った。この世界、ストレスが力になるなら、前世の不満も全部武器に変えられる。
「リリア、お前、なんでこんな危険な仕事やってんの?」
「んー、私、故郷のエルフの村を守るためにお金貯めてるの。斥候の仕事、好きだし! 健太は?」
「俺? まあ…ストレス発散が目的、かな」
リリアがクスクス笑う。
「健太のストレス、なんかカッコいいよね。次も一緒に冒険しよ!」
ストレスポイントが15/100。リリアの笑顔、癒し半分、ストレス半分だな。
翌朝、ミリアがまた怪しい笑顔で近づいてきた。
「健太、いい依頼入ったよ。『呪われた洞窟の調査』! 噂じゃ、幽霊みたいな魔物が出るんだって!」
「幽霊!? マジかよ、ホラーはストレスMAXだぞ!」
ストレスポイントが30/100。
この世界、ストレス発散の冒険が尽きねえ! 次は何をぶちかましてやろうか!
(続く)