第3話:ゴブリン討伐でストレスが限界突破した件
朝っぱらから、俺、佐藤健太は冒険者ギルドのカウンターでミリアに詰め寄っていた。
「なんで俺がゴブリン50匹討伐なんて依頼を引き受けなきゃいけないんだよ! 新人いじめか!?」
ミリアはメガネをクイッと上げ、ニヤリと笑う。
「健太、昨日バルドをぶっ飛ばしたでしょ? あれでギルド中に噂が広まっちゃって。新人なのに目立っちゃったんだから、ビッグな仕事で実力証明しなさいよ!」
「目立ったのは俺のストレスパワーのせいだろ! 責任取れ!」
ストレスポイントがジワッと25/100に上昇。朝からイライラが溜まるぜ。
そこに、リリアが元気よく飛び込んできた。
「健太! ゴブリン討伐、私も行くよ! 一緒なら楽勝でしょ?」
「楽勝って…お前、ゴブリンってどんなやつだか知ってんのか?」
「えっと、ちっちゃくて弱い雑魚モンスターでしょ? 斥候の私が一緒なら、敵の位置バッチリ見つけられるよ!」
リリアの無邪気な笑顔に、なんか不安しかねえ。ストレスポイントが30/100に。
仕方なく、俺とリリアは「魔獣の森」へ向かった。装備はギルドから支給された革鎧と短剣、それに俺のストレスパワー。リリアは弓と短剣、斥候らしく軽装だ。森に着くと、木々の間から「キーキー!」って不気味な声が聞こえてくる。
「リリア、あれゴブリン?」
「うん、間違いない! あそこに5匹! …あ、ちょっと待って、10匹…20匹!?」
「増えすぎだろ! 50匹って聞いてたのに!」
ストレスポイントが一気に50/100。やべ、依頼内容より敵が多いって、前世のブラック企業の残業ノリじゃん!
ゴブリンの群れがこっちに気づき、棍棒や石を手に襲いかかってきた。チビで汚い緑の肌、ギラギラした目が気持ち悪い。
「健太、行くよ! ストレスバーストで一掃しちゃえ!」
「了解! ストレスバースト!!」
赤いオーラが炸裂し、近くのゴブリン5匹が吹っ飛ぶ。だが、すぐに後ろから別のゴブリンが飛びかかってきた。
「うわっ、しつこいな! リリア、援護!」
「任せて!」
リリアが弓で矢を放ち、ゴブリンの肩を貫く。動きが止まった隙に、俺は短剣でトドメ。なんとか10匹倒したが、息が上がる。
「はぁ…はぁ…これ、50匹とかマジきついぞ」
ストレスポイントは70/100。敵の数とリリアの「楽勝」発言のせいで、どんどん溜まる。
そのとき、森の奥から「グオオオ!」ってデカい咆哮。木々がバキバキ倒れ、でっかいゴブリンが現れた。普通のゴブリンの3倍はありそうな体、棍棒の代わりに木の幹持ってる。
「リリア、あれ何!? ゴブリンキング!?」
「え、うそ、ゴブリンリーダーだ! こんなの新人依頼に出るはずないよ!」
「ミリアのやつ、絶対ハメやがったな!」
ストレスポイントが85/100に急上昇。頭の中で例の声が響く。
『ピロリン! ストレスゲージ85%到達! 新技『ストレスチェイン』解放!』
「また新技!? どんなのだ!?」
説明によると、ストレスチェインは複数の敵を同時に攻撃する範囲技。ストレスポイントを50消費するが、敵の数が多いほど効果が上がるらしい。
「よし、今だ! ストレスチェイン!!」
俺の周囲に赤い鎖みたいなオーラが広がり、ゴブリンたちを次々絡め取る。鎖が締め付けると、ゴブリンが「ギャア!」と悲鳴を上げて気絶。リーダーも動きが鈍った。
「リリア、今だ! 援護頼む!」
「オッケー! 精密射撃!」
リリアの矢がゴブリンリーダーの目に直撃。俺は一気に飛び込み、短剣で首を狙う。
「ストレスバースト・フルチャージ!!」
赤い衝撃波がリーダーを直撃。デカい体が地面にドスンと倒れた。残りのゴブリンはビビって逃げ出した。
「ふぅ…なんとか勝った…」
ストレスポイントは20/100まで下がり、疲労感がドッと押し寄せる。リリアが駆け寄ってきて、ハイタッチを求めてきた。
「健太、めっちゃ強かった! あの鎖の技、なに!? カッコよすぎ!」
「へへ、ストレス発散の新技だよ。…でも、ミリアに文句言わねえと」
町に戻り、ギルドでミリアに詰め寄る。
「ゴブリンリーダーって何だよ! 新人殺す気か!?」
「いやぁ、ごめんごめん! 情報が古くてさ、リーダーが出るなんて知らなかったのよ~」
ミリアのテヘペロに、ストレスポイントが30/100に。こいつの無責任さが、前世の上司そっくりだ!
「でも、健太、リーダー倒したんでしょ? 報酬上乗せしとくから、許してよ!」
報酬袋を受け取り、中を見るとキラキラした銀貨が50枚。リリアが目を輝かせる。
「これで美味しいもの食べようよ! 健太、奢って!」
「なんで俺が!? お前も戦っただろ!」
ストレスポイントが35/100。仲間との掛け合いまでストレスになるなんて、この世界、生きづらすぎる!
夜、ギルドの酒場でリリアと飯を食いながら、ステータスをチェック。
ステータス
名前:佐藤健太
職業:ストレスウォリアー(ストレスマスターは却下された)
スキル:ストレスバースト(Lv.2)、ストレスチェイン(Lv.1)
特殊能力:ストレスゲージ(溜まったストレスを技に変換可能)
ストレスポイント:35/100
備考:ストレス発散で強くなるが、消費後の疲労に注意!
ストレスバーストがレベルアップしてる! 技の威力と範囲が少し上がったらしい。
「健太、なんかボーッとしてるね。次の依頼、考えとこ! もっとすごい冒険したいよね!」
リリアの無邪気さに、ストレスポイントが40/100に。
「いや、ちょっと休ませてくれ…」
だが、ミリアがニヤニヤしながら新しい依頼書を持ってきた。
「健太、好評につき次の依頼決まったよ。『魔獣の森の奥で謎の魔物討伐』! ゴブリンより強いよ!」
「は!? また森!? ストレス溜まりすぎだろ!」
ストレスポイントが50/100。
この世界、ストレス発散のチャンスが無限にあるな! 次は何をぶっ飛ばしてやろうか!
(続く)