表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

第1話:転生したらストレスがスキルだった件

俺の名前は佐藤健太、32歳、独身。職業はしがない会社員。毎日上司の無茶振り、家族からの「いつ結婚するの?」攻撃、友人のマウント合戦に耐えながら、ストレスを溜め込む日々を送っていた。そんなある日、コンビニで買ったエナジードリンクを飲みながら帰宅中、ふと意識が途切れた。

次に目を開けたとき、俺は見知らぬ森の中にいた。

「は? ここどこ? テレポートでもした?」

周囲は鬱蒼とした木々に囲まれ、遠くで鳥のさえずりが聞こえる。スマホを取り出そうとしたけど、ポケットには何もない。スーツ姿のまま、なぜか剣と小さな革袋を持っている。

「まさか…これ、転生ってやつ?」

その瞬間、頭の中に妙にテンションの高い声が響いた。

『ピロリン! 佐藤健太様、異世界転生おめでとうございます! あなたは「ストレスシステム」を搭載した特別な存在として、この世界に召喚されました!』

「はぁ? ストレスシステム? 何それ、詐欺?」

『詐欺ではございません! この世界では、ストレスがあなたの力となります! 詳細はステータス画面でご確認ください! ピロリン!』

声がやたらと元気でイラっとするが、言われた通り「ステータス」と呟いてみる。すると、目の前に半透明のウィンドウが浮かんだ。


ステータス

名前:佐藤健太

年齢:32歳(見た目は20歳くらいに若返り!)

職業:ストレスウォリアー

スキル:ストレスバースト(Lv.1)

特殊能力:ストレスゲージ(溜まったストレスを技に変換可能)

ストレスポイント:50/100(会社での残業、家族の圧、マウント友人のおかげで既に半分!)

備考:ストレス発散技を駆使して、この世界を生き抜け!


「ストレスウォリアーって何だよ…! しかもストレスポイントって、俺の人生の不満が数値化されてんのか!」

文句を言いつつ、ステータスを見ると確かに「ストレスバースト」という技があるらしい。説明によると、ストレスゲージが溜まると、溜まったストレスを爆発させて攻撃や防御に使えるらしい。

「つまり、俺がイライラすればするほど強くなるってこと? 最高じゃん!」

前世ではストレスを抱え込むだけだったが、この世界ではそれが武器になるなんて、ちょっとワクワクしてきた。

試しに近くの木に向かって「ストレスバースト!」と叫んでみる。

すると、両手からド派手な赤いオーラが噴き出し、木に直撃。ゴキッと音を立てて木が真っ二つに折れた。

「うおっ、すげえ! これが俺のストレスパワーか!」

テンションが上がったのも束の間、遠くから「ガオオオ!」という咆哮が聞こえてきた。森の奥から、でっかい狼みたいな魔物が突進してくる。牙を剥き、目がギラギラしてる。

「マジかよ! いきなりボス戦!?」

慌ててステータスを確認すると、ストレスポイントが55/100に増えてる。どうやら「魔物に襲われるストレス」でポイントが溜まったらしい。

「よし、ならこれでいくぜ! ストレスバースト!!」

再び赤いオーラが炸裂し、狼に直撃。バゴン! と爆音が響き、狼は吹っ飛んで気絶した。

「ははっ、楽勝! ストレス最強!」

勝利のポーズを決めかけた瞬間、背後から「ヒャッハー!」という野蛮な声。振り返ると、ボロボロの革鎧を着た男たちが5人、ニヤニヤしながら近づいてきた。

「おい、新顔! その技、なかなかやるじゃねえか。そいつは俺たちの獲物だったんだ。ちょっと痛い目にあってもらうぜ!」

どうやら盗賊らしい。武器を手に、じりじりと距離を詰めてくる。

「待て待て、俺、転生したばっかで何も知らないんだって!」

「知らねえよ! さっきの技の秘密、吐きやがれ!」

ステータスを見ると、ストレスポイントが70/100まで急上昇。

「くそっ、なんで初日からこんな目に…! でも、これが俺の力だろ!」

俺は深呼吸し、溜まったストレスを一気に解放するイメージを頭に描いた。

「ストレスバースト・フルチャージ!!」

すると、全身から今まで以上の赤いオーラが爆発。地面が揺れ、盗賊たちが吹き飛ばされた。

「な、なんだこの力は!?」

「逃げろー!」

盗賊たちは散り散りに逃げていった。

「ふぅ…ストレス発散、気持ちいいな!」

戦闘が終わると、ストレスポイントは30/100まで下がっていた。どうやら技を使うとストレスが消費されるらしい。

「なるほど、ストレスを溜めて発散する。これが俺の戦い方か。」

そのとき、森の奥から拍手が聞こえてきた。振り返ると、金髪の少女が木の陰から現れた。エルフっぽい耳と、キラキラしたローブが特徴的だ。

「すごい! あんな技、初めて見たよ! ねえ、君、名前は?」

「佐藤健太。…お前は?」

「私はリリア、冒険者ギルドの斥候! 君、絶対強いよ! ギルドに来ない? 話したいことが山ほどあるの!」

リリアのテンションに圧倒されつつ、俺は考える。この世界、ストレスが力になるなら、俺のこれまでの人生は無駄じゃなかったってことだ。

「よし、行くか。ストレス発散の旅、始めるぞ!」

こうして、俺の異世界生活が始まった。仕事のストレス、家族のストレス、人間関係のストレス――全部この世界でぶっ放してやる!

次は何が待ってるんだ? まあ、ストレスならいくらでも溜められるさ!

(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ