統合機動連隊
本作はフィクションであり登場する人物や団体は現実のものとは一切関係ありません。
40年前、今まで人が掘ってこなかったような地殻深部にて全く新しい未知のエネルギー結晶体である『魔力鉱石』が発見された。これは核分裂より安全に、そして大量にエネルギーを採取でき採取した後は空気中に『魔力』として放出され大気を巡ったあともう一度地下深くへと潜り結晶化するという、人々が求めていた、完璧なエネルギー源だった。
しかしマナを大気中に放出し始めるとそれを吸い、大多数は影響を受けず吐き出すだけだが一部、適応し人々が憧れるような『魔法』を使い出す者が現れた。
彼らは「魔法使い」「適応者」などと呼ばれた。
各国は『魔力鉱石』に『適応者』を求めて下へ下へと掘り進め調査を進めた結果魔力鉱石は南極、シベリア中央、ハワイ諸島、サハラ西部、ソマリア沖、マラウイ湖、ペルシャ湾に集中していることが発覚した。中国や欧州は「マナは人類共通の財産でありその管理を国連に一任すること」を要求したが当然領有国はこれを拒否、「持つもの」と「持たざるもの」の間で対立が深まったのは言うまでも無いだろう。
~日本国 函館〜
「中国と共同でロシアに侵攻する!?一体何を言ってるんですか大佐!」
「マナをシベリアに秘めているロシアを隣国と協力し我々が利益を得る。何も間違っていないだろ?」
「私はロシアの脅威について話しているのです!かの国は大量の兵器に適応者を抱えてるんですよ!その危険性は分かってるでしょう!?」
「私に言われてもしょうがない。これは上の決定であり我々はそれに従うだけだ。」
詰められた佐藤一茶大佐は冷静に対応しつつも困り顔だ。対する美濃紬大尉はそんな事お構い無しだ。本来こんな態度なら怒られるが大尉と大佐は幼馴染であり、多少は見逃されている。
「それにうちの魔道大隊も使えるようになったらしいしな。最低限対抗はできるだろ。隣国も適応者をかき集めて師団規模で複数用意したらしい。」
「私はそれが不安なんですよ!隣国が30年前”あれ”を起こしたせいで今も国民は隣国を嫌ってるんですよ!?」
”あれ”とはすなわち前大戦のことである。大戦にて隣国の中華は朝鮮半島に南シナ海へと侵攻。我々と争い、結果両者何も得ずに終わった。しかしこれにより両国の経済は大きくダメージを受け大戦に参加した諸国も大きく疲弊した。
しかしその大戦に参加せず資源や武器、生活物資を大量に輸出し得をしたのが北の大国、ロシアである。
ちなみに日本は戦争の結果をもつ市民の暴動で民主主義政府は崩壊、現在は天皇と摂政評議会による帝政が敷かれている
「まぁまぁ大尉、少佐が決めたことでも無いんですし私たちは日本の盾であり矛でもあるんですから、その本分を発揮する機会を得たと前向きに捉えましょ!」
彼は寺井真大尉、彼らは北方方面軍第二師団の一員であり一茶大佐は師団長を紬大尉は第二機甲大隊を、真大尉は第一魔導大隊を指揮する大隊長である。
「それにしてもなんで僕たちだけ集めたんですか?歩兵のとか工兵のとかは呼ばなくてよかったんですか?」
一茶大佐の顔が引き締まる。友人として接する顔ではなく、「師団長」としての顔で。自然と話を聞く2人の顔も引き締まる。
「第二機甲大隊および第一魔導大隊を統合し統合機動連隊の新設が決定した。それに伴い美濃大尉は少佐へと昇進しこの部隊の連隊長となり寺井大尉は副連隊長となることが上で決定した。」
「納得いきません!」
真大尉が声を荒らげた。彼は普段温厚な性格で知られる人であり上官相手に声を荒らげるなんて誰も見たことがない。
「なぜ美濃大尉が部隊長を務めるんですか!筆記や机上演習は点数ほとんど一緒、実践訓練なら自分の方が成績上位です!自分ではなく彼女が選ばれたのは納得がいきません!」
真大尉の意見はもっともである。本来なら真大尉が昇進、もしくは別から少佐を呼ぶものだが…
「大尉の意見はもっともだが上の見解は『最近新設された魔導中隊の大尉よりよく知る機甲中隊の大尉の方が信頼できる』だそうだ。」
真大尉はまだ何かを言おうとしたが口をきつく閉じ、一言、分かりました。とだけ伝えた。
こうして日本初となる実践魔導部隊は統合機動連隊として再編され産声をあげた。




