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アンデットリサイクル  作者: 可々良羅螺華
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プロローグ

新連載です。

 左手なら届いただろうか。


 失わなければ一緒にいられたのだろうか。


 選択を間違えなければ今も君は笑えていただろうか。


 独りぼっちの僕に手を差し伸べてくれた君。


 楽しいことだって、苦しいことだって、どうでもいいことだって2人で過ごしてきた。


 ———でもごめんね。僕は君を追いかけることを許してもらえないんだ。


 寝返りを打とうとして体が軋むのを感じた。


 別に痛みは感じない。関節が少しずれているような感覚。実際にずれている訳では無いが、違和感がある。


 俺は自分の身体を確認する為目を開こうとして体が震えていることに気づく。


 寒い訳でも揺れている訳でも揺らされている訳でもない。


 ———俺は瞼を開けるのを恐れていたのだ。


 何に?


 自分でも理解できないが瞼を開けるのが怖い。


 だから俺は一度状況の確認をする為、自分の意識が落ちる前の、行動を思い出すことにした。


 2023年11月6日。それが俺が最後に覚えている日付だ。


 その日は数年ぶりに再開する幼馴染とお出掛けする日だった。デートではない、たぶん。


 きっかけは向こうからだった。数年ぶりにL○NEの着信が鳴ったと思えば、これまた数年ぶりに見る名前の人からの着信。内容はと言うと、


 『お互い20になったし飲みに行こうよ!!ついでにどこかに遊びに行こう!!』


 という感じ。


 勿論二つ返事でOK…とはいかず、少し悩んだ。なんで今更?とか、まさか詐欺か?とかとか。


 それでもまあ最終的には幼馴染の誘いということで行こうと決めた。


 ———これも昔惚れた弱みなのかね。


 てことでお出掛け当日。


 普段服になんて一切興味ないし、気を使わないタイプの俺なのだが、女性とお出掛けということでこの日のために上下一着新しいモノを購入。オニューの服に身を包み、集合場所の駅へと向かう。駅といってもこぢんまりとした停車駅。そこに11時集合ということで1時間前だが家を出た。男は待つもの、そういうもんだろ。知らんけど。


 集合場所に着くと幼馴染がすでにいた。俺ですら早く来すぎたのかなと思っていたのにそれより早く来てるとか早すぎですよ貴女。後から来た男としては気まずくて声を掛けずらいじゃないですか、まったく。


 そんな感じでウジウジしていると彼女と目が合った。彼女は俺だと気付いたのか笑顔で手を振っていた。そんな彼女を見たらさっきまでの悩みがどうでも良くなっだ。まあそもそも集合時間過ぎた訳じゃないしね。


 俺は彼女に手を振りかえしつつ、彼女の元へと歩く。

 財布の中身は大丈夫かな?とか、格好変じゃないかな?とか不安は沢山浮かんで来るがまあ大丈夫だろう。てかもう外に出て彼女に会ってしまったしな。


 相手を楽しませつつ自分も楽しみましょうかね。


 そんな風に意気込んでいたのも束の間、ふと空に目が行った。やけに日差しが強いような感じがした。太陽の光とは少し違う強い光。俺はそれが気になって確認する為にそちらを向いた。


 ———そして、目の前が真っ白に染まって、気付いたら意識を失っていた。


 振り返ってみて一つの可能性が頭を過ぎる。


 ———もしかしたら近くに幼馴染がいるのでは!?


 そんな可能性が頭に浮かぶと更に不安になる。不安になって焦りだす。


 彼女の身に何かあったらどうしよう。そう考えるとやはり目を開け状況を確認しないといけない。


 彼女を助けられるのは俺だけだ!みたいなことは言えないし痛いだけだが彼女自身の身に何かあったら自分の命を捨てるくらいのことはする。そんな誓いのようなものを立て、俺はそっと目を開けた。



 俺を中心に広がる赤いの水溜まり。目に見えるだけでも数え切れない程の死体。空を覆い隠すような背の高い木々。

 


 俺は死体の放つ異臭と絶望的な状況に耐え切れず嘔吐した。

 






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