バカは騙されると言うが、俺を舐めるなよ? 真のバカは騙される程の知能すらない! そんな俺にも彼女(元セフレ)が出来ました。
合間に思いついたものを書きました。
後悔はしていない。
俺は午鹿阿保太。どうやらバカなんだそうだ。
自分で言ってしまうのもアレだが、相当にヤバイらしい。自分の名前は当然書けないし、指の数以上は数える事すらままならない。あまりのIQの低さに、会話が成り立っている事自体が奇跡なんだそうだ。
それがどうしたって感じだが……。ところでIQって何だ?
底辺高校を卒業したフリーターの俺だが、その底辺校の誰よりもバカだと先生に言われた。
先生はどうやって俺がバカだと判断しているのか疑問だ。学校生活の三年間で受けたテストじゃバカかどうか分からんだろうに。
0点って要は〇の事だろ? 全部のテストが〇なんだから出来てんじゃん。
ちなみに、今こうして考えていることは親が文章化しているから安心してくれ。
そこまで変な文章じゃないはずだ。
しかし、そんな俺だが良い事だってたくさんある。あまりにもバカが過ぎて、誰もが俺を騙せないそうなのだ。
三ヶ月前、株を買いませんか? 今ならお得に買える方法がありますよ、と胡散臭いセールスが来たので言ってやったよ。
カブは好きじゃないから食べたくないってね。その時は俺以外家に誰も居なかったしな。
なんか小剣外車? がどうとか言ってたが、カブと外車って食い合わせ悪過ぎだろ。
二ヶ月前、この仮想通貨を買っておけば将来は億万長者だと友達に言われた。
億千万のネタはもう飽きたから良いや、と言ったら友達は驚いた顔をしていたよ。
多分、俺が億千万のネタを知らんとでも思ったのだろう。バカが。
そして先月、姉から相談があると言われた。
どうしても連帯保証人になって欲しいそうだ。
はあ?
連帯保証人ってアレだろ? 保護者的な……
姉は嫁に行った人だから、旦那の両親が保護者だろ?
俺は姉の旦那の両親に話をしたら、何だか怒りながら名前を書いてハンコを押してたよ。
その家は金持ちで、姉の借金の額が少ないから情けなくて怒ったんだろうな。どうもそれで離婚したらしい。
アンタのせいで……と言われたが、知らん。少ない借金しか出来ないお前が悪い。
昨日、幼馴染の緒露華に良く分からん事を言われたよ。
「アンタが一推しの好きピ!」
ってな。スキピ……なにそれ? 言ってる意味が全然わからん。
電信柱の影で、お前の妹がニヤニヤしてんの見えてんぞ?
お前の妹が居なかったら騙されるところだったぜ。
俺はお前の事好きだけど、意味が分からんと会話のドッヂボール? が出来ん。
推測によると、これはアレだな。イチオシの~ってキャッチフレーズあるもんな?
なんかこう……イチオシの何かを俺に買わせようとしてるんだな?
俺はとにかく話を合わせる為、素直に無理と言ってやった。
そしたらアイツ、何て言ったと思う?
「ちっ……バイト代貢がせてやろうと思ったのによ。」
だってさ。なんか知らんが泣いてるし。
やっぱ何か買わせようとしてやがった。いくら昔からの幼馴染で中学からのセフレだとしても、無理なものは無理だ。
そして今朝、電話が掛かって来た。
「オレだよ。オレオレ。さっきよぉ……」
「誰?」
「だからオレだって。」
「お前は俺なのか?」
「そう、オレ。」
「お前と俺は同じなのに何で電話出来るんだ?」
「……」
「なぁ俺。お前が俺なら、少しだけ金が欲しいんだが……。」
ツー ツー
と音がした。
お前は俺なのに、俺を助けてくれないのか?
以上のエピソードは、全て俺を騙そうとした奴らが結局のところ、俺を騙せなかった……という話らしい。親がさっきそう言っていた。
俺を騙そうとするなんて許せん。
逆に俺がお前らを騙してやる。
「いらっしゃいませー。」
俺はコンビニでバイトをしている。
今日は店長を騙してやるぜ!
バイトが終わった後、何食わぬ顔で弁当を数点持ち出し、カバンに詰めた。
「阿保太くん……。」
やべぇ、早速バレた。ここは張り倒して逃げるか?
「こっそり廃棄を持って行ってくれるなんて助かるよ。処分するのも地味に面倒でさ。最近は色々厳しくて、大っぴらに廃棄をあげる事なんて出来ないからね。」
ハイキ? ってなんだ? 車から出るやつか?
「何かあっても。このコンビニから持って行ったって事は内緒だよ?」
当たり前だろ? バカが。そんな事言ったら俺が泥棒になっちまうだろうが。バカが。
「おつかれっしたー。」
店長め。まんまと騙されてやがる。意外と俺みたいなバカはその辺に転がってんのかもしれん。
バイト帰りに緒露華の家に寄ってくか。俺ん家の隣だしな。
「おーい。コンビニから弁当貰ってきたぞー!」
「アンタか。告白断った分際で……いつまでも素直に抱かせると思うなよ? 私もう彼ピいるから。」
カレピ……ってなんだ? 肉の事か? ははぁ~ん? カルビと言い間違えてんだな?
もう肉があるから弁当はいらんって事?
肉だけって……栄養アンバランスがこう……健康に良くないから弁当も食えよ。
「それでも、お前に弁当を貰って欲しいんだ!」
そう言って俺は緒露華に詰め寄る。
「な、なんだよ。そこまで私の事……分かったよ。彼ピとは別れる。」
緒露華は俯いて返事を返す。
成程? 肉はもう良いから弁当を食うんだな?
「それで良いんだ。」
「その代わり……付き合ってくれるんだろ?」
付き合う? どうしてそうなったんだ? まぁ好きだから良いか。
「勿論だ。」
「じゃ、じゃあ今日からカレカノだからな!」
カレカノ……? あぁ、有名な少女漫画か! 一緒に読もうってか?
「オッケーだ!」
「ったく。いつまでも待たせやがって……。言うのが遅ぇんだよ!」
緒露華は涙を流し、笑顔で言った。
そんなに読みたかったんなら言えば良かったのに。
「今日は……。」
モジモジと何かを言おうとする緒露華。多分あれだな。抱いて欲しいんだな?
俺ってバカの割にはそういう所は察しが良いらしく、それでコイツともセフレになったんだよなぁ……。
「任せとけ!」
さてと、今日は誰を騙してやろうか……。
「阿保太くーん!」
この声は緒露華の妹、愚利虚だな。
朝っぱらからなんだってんだ?
「お姉ちゃんと付き合う事にしたんでしょ?」
「おう。」
「なら、早速デートしないと! 阿保太くんってバカだから、言ってあげないとデートなんてしないでしょ?」
おいおい。確かに俺はバカかもしれんが、傷つくんだぜ?
「任せとけ。」
「出た。任せとけって言えば解決すると思ってる。」
すげぇ……なんで俺の事が分かるんだ? エスパー? もしかしてこいつのおっぱい触りたい事とかもバレてんのか?
なら潔く揉んでやろうじゃないか。
「ちょっ……いきなり何すんの!?」
おっ? こいつ……ムラっときてやがるな?
俺は体を押し付け言ってやった。
「任せとけ。」
「あっ……ちょ……と」
「だから任せとけって言っただろ?」
緒露華の妹だけあって、相性は最高だった。
「……お姉ちゃんはどうするの?」
「任せとけって。」
「えぇ……? こんな事しといてなんだけど、凄く不安になってきた。」
なにが?
「とりあえず、デートに行ってくるぜ。」
「あ、うん。」
俺は緒露華をデートに誘った。
映画が見たいってんで、見に行ったんだが……
「全然わからん。」
「何が?」
「好きなら好きって言えばいいじゃん。あいつらなんで言わないんだ?」
そう。登場人物たちはことごとく相手に好きだと伝えないのだ。
おかげで横から違う奴が入ってきたりして、ぐちゃぐちゃな恋愛になっていた。
違う奴と付き合って、タイミングが合わずにまた別な奴と付き合って……最後はやっと主人公とヒロインが付き合う事になったのだが、バカか?
最初から付き合えよ。バカか?
「それが良いんじゃん! なかなか好きって言えないものだよ。」
意味が分からん。バカなんじゃねぇのか?
「それで好きな人逃してたら世話ねぇよな?」
「うぐっ!」
緒露華が胸を押さえている。
「どうした?」
「その言葉は私に刺さるのでやめて下さい。」
なんで敬語?
「好きなら好きって言ってとっとと合体すりゃあ良いんだよ。」
「それじゃ恋愛映画になんないじゃん。」
「男なら相手のスカートに頭突っ込みゃ良いんだよ。女なら男に乗っちまえ。」
「そんなの恋愛じゃない!」
いや、恋愛だろ。
「恋愛漫画とか大体そんな感じだろ?」
「お前の読んでる漫画はエロ本だろが!」
「あれは恋愛漫画だ。俺はそのお蔭で緒露華と合体出来たんだぞ?」
「はい?」
緒露華の目が点になっている。
「だから、俺は昔からお前が好きだって言って合体してたろ?」
「お前の好きは軽すぎて本気かどうかわかんねぇよ!」
おかしい。なにがおかしいか良く分からなくなってきたが、とにかくおかしい。
俺が悪いのか?
「でも、緒露華だってスカートに頭突っ込んでやったら大喜びだったぞ?」
「……」
はは~ん? 都合が悪いから黙ったのか?
「こんな人前で言うな……。」
緒露華は顔を真っ赤にして言った。
「なんでだよ? 人前で言っても良いじゃん。悪い事してんじゃねぇし。」
「バカっ。お前ほんとバカっ!」
俺もバカだがお前もバカじゃん。だって、カレピとカルビ間違えてんだぜ? もしかして俺よりバカかもしれんぞ?
「恥ずかしいから帰るぞ!」
「なんだよ。ムック行こうぜ。ビッグムックセットが食いたい。」
「一人で食ってろ! お前のせいで大恥かいたじゃねえか!!」
あいつなに怒ってんだ? おっぱい触ってやんなかったから?
「仕方ねぇから帰るか。」
「ふんっ!」
「ただいまー。ってまだ居たのか?」
家には愚利虚が居た。
「おかえり。デートどうだった?」
「バッチリ。あっ……でも、最後らへんはおっぱい触ってやんなかったから怒ってたな。」
「ごめん。なんでそれが怒る事に繋がるのか全然分かんないんだけど?」
「俺も分からん。多分あいつもバカだからじゃね?」
「いやいや。お姉ちゃん何気に頭良いよ? なんで顔しか取り柄のない阿保太くんと付き合ってるのか意味不明なくらい。」
「そんな褒めんなよ。お前も良い乳だったぞ。」
「褒めてないよ! ってかその言葉も嬉しくないんだけど!?」
「女は褒めれば良いって漫画で言ってたぞ?」
確か……
今日の私いつもと違わない? って聞かれたら、髪切った? 似合うじゃんって答えときゃあ良いんだったか?
「何でもかんでも褒めれば良いってものじゃないよ?」
「さては、愚利虚ってワガママだな? 結構なワガママボティ? って奴か?」
「阿保太くんってかなりのバカだよね。良くコンビニで働けてるよ。」
失礼だな。
「っしゃぁせー、あじゃじゃっしたーが出来れば後は店長の言う事聞くだけだしな。」
「……店長さんに感謝した方が良いよ? 普通は絶対それだけじゃないから。」
「店長には感謝してるぞ。この前100円くれたし。」
「感謝するポイントが違うよ。」
なんでだよ。お金貰ったら、あじゃじゃっしたーだろ? やっぱこいつもバカだな。
乳に栄養が行き過ぎてんだ。たまに揉んで違うところに栄養がいくようにしてやろう。
結局……このバカ姉妹と同時に付き合う事となった。
俺の人生に毎日がエブリデイでハッピーな幸せが訪れる。
恋愛ってやっぱ良いもんだよな?