昼食
この先に進むと目が爛れますぞ
良いのですかな?
~ 一 ヶ 月 後 ~
狸狩りをした日を境に何故か千夏さんと毎日どこかしらで出会う様になり今日も見回りがてら山を散策していると道の曲がり角でバッタリと会った
「おや、こんにちは」
「こんにちは、お散歩ですか?」
「うん、鬼火さんも忙しくなければ一緒に如何かな?」
「はい、お供させて頂きます」
何やらこの頃よくお会い致します
行動範囲が良く似て居るのでしょうね
「そろそろ紅葉が始まる頃合いだね」
「そうですね。季節の変わり目ですので体調を崩されない様お気を付け下さい」
「おやおや、先に言われてしまったね」
「ふふ、いつも心配して下さるお返しです」
「ははっ、有難う」
お返しですと私が言うと千夏さんは、目を細めて笑った。私は、その姿に少しだけ見惚れてしまう
ひゃ~、笑ったお姿が本当に素敵です。
千夏さんは、美人様ですね……
『グゥ~』
「「……」」
「すまない、昼時だからかな?。お腹が鳴って仕舞ったよ」
突然、ぐぅぐぅとお腹がなり千夏さんは、頬を赤く染め眉をハの字にしてとても恥ずかしそうにしている。失礼に当たるだろうがその姿が私には、とても可愛らしく見えた
男性相手に言う事では、無いのですが困った様にはにかんでるお姿は、可愛らしいですね
「宜しければ家が近くなのでお昼食べに来られませんか?」
「良いのかい?。ならお呼ばれしようかな」
「はい、ぜひ」
~ 自 宅 ~
「此処が私の家です。中へ、どうぞ」
「あぁ、有難う。お邪魔するよ」
何方かを家に招くのは、初めてのことで至らぬ点がないだろうかと落ち着かないが何とか調理を始める
粗相がなければ良いのですが。
「何か食べられない物は、御座いますか?」
「特には、ないよ」
「おぉ、好き嫌い無いのは良い事ですね」
「そうだね、鬼火さんは、何か有るのかい?」
「私では、無く私の妹様方が有りまして」
「嫌いな物を食べられる様に成ると良いね」
「そうですね」
手羽元のさっぱり煮とお味噌汁にお浸し
後は、沢庵と……果物は、どうしましょう?。
んー、和梨に致しましょうか。
~ 四 十 分 後 ~
私は、葉月と自分の分の昼食を並べ、口元の覆面を外しながら席につき二人揃って頂きますと食べ始めた
妹様方以外の方に料理を振る舞うなんて初めてで胸がドキドキですし何よりも千夏さんのお口に合うと良いのですが……
「うん、美味しい。料理上手なんだね」
「有難う御座います」
「さっぱり煮が好きなのかい?」
「はい、好きです。でも鯖の味噌煮の方が好みですね」
「身が柔らかく味噌特有の甘みが癖に成るよね」
「はい、いつもよりご飯が進んで仕舞うのです」
「飛び切りの笑顔で可愛らしい事を言うね」
「え……ア、アゥア」
何故こうもさらりと恥ずかしい事を仰るのです。
「頬が真っ赤だよ?」
「ウゥー、ウー」
自身の頬の火照り具合と千夏さんの発言からして私の顔は、真っ赤になって今にも顔から火が出そうだ
アニャッ,貴方様が突然……
かッ…可愛らしいなリょと仰るからです。
「君は、本当に愛らしい子だよ」
「お、お待ち願います」
「ん?、どうかしたのかい」
「こ、れ以上は、恥ずかし過ぎますです」
あぁ、呂律が廻りません。
何故この方は、直球に言葉を投げて来るのです。
「はは、余りに愛らしい物だからついね」
「ですからお待ち下さいとォ~」
「おや、すまないね」
~ 日 没 ~
あれからわちゃわちゃ戯れながらもお昼を食べ終わりお茶をしたりして少しゆったりと過ごしいつの間にか夕暮れになっていた
【ボォ~ン、ボォ~ン】
「おや、もうこんな時間ですか……」
「楽しい時間は、瞬く間に過ぎて仕舞うね」
「そうですね。時計が鳴るまで暗く成り始めてる事に気が付きませんでした」
この方と居ると緊張したり恥ずかしかったりするかと思えばうたた寝して仕舞いそうなほど落ち着いて仕舞う。それが何故なのか私には、さっぱり解らなかった
何故こうも感情が昂って仕舞うのでしょう?
妹様方に聞いてみれば少しは、何故なのか解るのでしょうか?
「さぁ、そろそろ帰らなければだね」
「でしたらお社までお送り致します」
「年頃の娘子が遅い時間に家から出る物ではないからね。気持ちだけ頂いておくよ。有難う」
「そうですか……。解りました」
断られて仕舞いましたか……。
もう少しお話出来るかと思ったのですが…。
残念です。
「其では、お邪魔したね」
「いえ、また来てくださいね」
「勿論だよ」
送っていけないことを残念に思いながら玄関まで見送り妹達に手紙を書いてから明日の準備を終わらせて一日を終える
「愛らしい反応が多く成りつつあるね。良い兆候だ」
ささ速やかに爛れた瞳を見せに眼科へ
お行き下され