オーパーツと私
私ひとりの力では、成し得なかっただろう。あの、出会いがなければ。
私は当時を回想した。
そう、それは古い地層から発掘された産物――「謎の機械と人骨」との出会いである。
機械も人骨も、バラバラに散らばっており、その原型すら留めていなかった。一緒にいた仲間は、誰かが埋めたのではないか、つまり、イタズラではないかと思っていたようだが、私は違った。
「タイムマシンと未来人」
私はそう結論付けた。なぜなら、その機械の技術――劣化しており、原形を留めていないものの、それは現代でも難しい、ましてや当時ではありえない産物である。
この技術を真似できないかと、私は秘密裏に研究を続けてきた。四半世紀もかかったが、どうにか、その研究の成果が今、実ったのだ。
未来人の犠牲が今に繋がり、その技術を現代に蘇らすことが出来た。感謝。圧倒的感謝である。
私はさっそくタイムマシンを使ってみようと思った。
最初の旅行は・・・そうだ、未来人の救出。地層から見つかった人骨――おそらく、タイムマシンの開発主。私に足りない知恵を与えてくれた大天才を救出したい。
――時代は遺跡の地層から測定できる。だから、その少し前に遡れば・・・。
おそらく、人類史上初の時代旅行。
当然不安もあるが、大丈夫、無事に戻ってこれる。なにせ、私の知識と、未来人の知識が合わさったのだから。
ピッピッとパネルから設定をして、さっそく未来へと旅立っていった・・・。
気が付くと、私はどこかの草原らしいところに投げ出されていた。
――イッテテテテテ。
地面に強く投げ出されたからだろうか。体の至る所で骨折してしまい、自由に体が動かない。
「ガサッ、ガサッ、ガサッ・・・。」
私に近寄ってくる足音が。例の未来人がそこにいるかと思ったが、そうではなかった。
――あ、あれは狼。それも、一匹ではない。群れだ。狼の群れ。日本に狼がこれほど生息している時代にいるってことは・・・タイムスリップは成功したんだ!!!
実際に成功できた喜びと・・・沸々と湧き上がってくる恐怖。
バラバラに壊れたタイムマシンと、その近くに転がっている私。
それは、ものすごい既視感のある光景だった。
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