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白也カイトは俺をお姫様だっこして、ビルとビルの屋上を華麗に飛んで行く。


「大丈夫ですか? 夕暮も近いので寒くないですか? 寒いなら言ってくださいですよ!」


俺は小さい彼女のどこにそんな怪力が隠されているのか気になったが、考えもせずに体を委ねた。

彼女にっこりと笑う。俺は赤面を隠す為に顔を逸らしたのだった。


十五分ぐらい飛び続けただろうか。

日は完全に落ち切っており、周りは暗闇に包まれていた。


ビルから知らぬまえに住宅の屋根と屋根の間を飛んでいた。

そして、道路に着地した。彼女は丁寧に俺を立たせてから、トコトコと目の前の建物に向かった。


そこにはボロアパートがあった。

全体的に傾いており、今にも潰れそうだった。


俺は隙を見て逃げようとしたのだが、首に激痛が走り、それから記憶飛んでいた。


次に目が覚めた時には、ベッドに寝かされていた。


「起きましたですね。その様子だと何が何やら分からないと言った様子ですね? ご安心くださいです。しっかりと私、カイトがご説明致します……ですが、逃げられて困りますので、紐で手足を括らせて頂きましたです。ご無礼をお許しくださいです。ダヒト」


それどころか、猿ぐつわをされていて声もでなかった。


「では、説明を致しますね。今すぐ理解できるとは思っていませんですが、理解してもらわねば困るです。ケイトとユウキはおバカちゃんなので、気にしないでくださいです。ただ、ダヒトを想った行動だというのは覚えておいてくださいです」


と、カイトは薄暗い部屋の中の奥の方から、ホワイトボードを出した。


「私が考えるにですが、この世界はアナタの記憶を基に構築されているです。ダヒトは私たちの世界に来たとき言ったですよね? 前は車という乗りモノや飛行機というモノが空を飛んでいると。そして私はです。この世界に入ってからこの目でそれを目撃しました。ダヒトが言った通りの車という名と飛行機という名でです。つまり、この世界はダヒトの元の世界と同じという訳です」


俺は猿ぐつわを自力で外して問いかける。


「じゃあだ。俺はお前たちの記憶が何一つないんだ。それはどう説明するんだ? 異世界転生だと? 俺は生まれてからずっとこの世界に住んでるんだぞ。意味も理解もできない!」


「それが、この魔王の幹部の能力なのだとしか言いようがありません。ダヒトは意図的に記憶操作をされて、この世界を信じ込むようにされているだけなのです」


「何の為に? 俺は普通の男だ! メリットも何もないだろ?」


「メリットしかないです。このままダヒトがこの世界に留まるなら、世界の希望が消える。我々の世界は魔王によって滅亡の一途を辿るのですよ! こうしている間にもダヒトの助けを持っている人が山ほどいるのです。どうかわたしを信じてくださいです!」


「……意味が分からない。信じる要素もない。結局。俺にどうしろって言うんだよ?」


「この世界で死んでください。そうすれば元の世界に戻れる」


「は? 意味がわから——」


すると、カイトの手元が光ると透明なナイフが現れた。

そして俺に覆いかぶさる形で倒れ込んだ。


「忘れていました。ダヒトはアホちゃんなのでした。理由はあとからついてきます。まず死んでください。そうすれば、全てが理解できます」


俺は喉元にナイフを突き付けれた。


「それと、ダヒトは女の子です。そして私は男の子です」


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