表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

芽生え

時計の針が進む音。

それ以外に聞こえるものはない。


昨日とは違い窓から暖かい日差しはさしていなかった。

いつ降ってもおかしくないだろう。


「陽平君、朝です。起きてください」


「………………………うん」


まだ、傷は癒えていない。

身体には、青を通り越して黒い染みを作っている。


「布団まで僕を運んでくれたんだ。ナツミありがとう」


「いえ、それが私の仕事ですから」


「そっか、でもありがとう」


少年は、笑っていた。

少年にとってこの日常は、

辛くもなく

苦しくもない

当たり前のものになっている。


個体番号F.723はそう認識していた。


「お父さんとお母さんは?」


「……先程、お出かけになりました」


橘 修と凛子は珍しく早朝から家を出ている。昨日の負け分を取り返すためだろう。

または、薬の補充。

もちろん今でも日本は麻薬を禁止している。

それでも薬をやってないと生きていけないから

と、

使用者は絶えない。


「そっか、じゃあ僕は学校に行くよ」


「……………………………」


学校に登校するのは学生の義務である。

行かせるべきだろう。

だがしかし

本当にそれでいいのか?

 

「………………………」


腕は枯れていて、肌は腐っている。

包帯に白い部分など皆無。

見るに耐えない。


「…………………………」



本当にそれでいいのか?

本当に?


……………。




「今日は…休みましょう」



自然と口から出ていた。









『ウイルス侵入 統合23%』






忙しくて少なめです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ