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星宮柳と英雄

息苦しい。体の自由がきかない。何より、心が苦しい。 私は目の前で笑顔を浮かべる男を睨みつける。


「釣れるかなぁ? 釣れるかなぁ?」


「私を拘束したところで青崎君は来ないわ!」


「その時はおまえを斬り刻むことで今日のところはおしまい。そうすればきっと釣れる。

あーゆータイプのやつは。」


いや恐らく青崎君は今生徒会室に来ないことを不審に思って私を探しているだろう。


「青崎君に会ってどうするつもり?」


「はあ? そんなの決まってんだろ。最期までやり合うんだよ! 今日は邪魔入んねえからさあ!!」


コイツ、本格的にイかれてる。このままじゃ青崎君が……!!

このままじゃーーー? 違う、私のせいだ。


私が弱いから簡単に捕まって、私がビビリだから何もできなくて、私に関わったから青崎君はこいつに狙われている。


全部、最初から全部私のせいだ。


クソ、クソクソクソクソクソクソクソ!!!


「んあああ!!! あっぐぁあ!!!」


私は雄叫びを上げながら必死でもがく。しかし、鉄の拘束具で磔にされているため手も足も動かない。

それに、私の能力で外すのも無理がありそうだ。


「ハハッ、いいねえ。そういうのまあまあ好きだぜ。暇つぶしにもっと暴れろよ!」


私の顎を掴み、煽るように笑う白松の指に私は噛み付く。


だがダメージを受けたのはこちらのようだ。私の口からは血が流れ出る。


「俺に噛み付くって発想をするとはおまえなかなかユニークだな。」


その言葉を無視して白松に指を向けると私は矢の形にして尖らせた氷を10発放つ。


「おっと、指先だけでも氷を生み出せるのか。」


白松は軽口を叩きながら避けると、右手でデコピンのような構えをとる。


「そらよっと!」


白松が指を10回放つと小さな鉄の塊が私の指をめがけて飛ぶ。指を捉えるとリング型になって手を磔にしている大きな鉄の柱に刺さる。


「もう終わりか? なんつーかあれだな、おまえは能力は強いのにその器であるおまえ自身が弱すぎる。 俺が大嫌いなタイプだよ。」


「奇遇だね、私もあんたは大嫌いだよ。」


瞬間痛みと共に視界が揺らいだ。人に顔を思い切り殴られるなんて経験は生まれて初めてだった。


咳き込むと口からは血が出た。それを見るとまた恐怖心が私を襲う。

本当に自分が情けない。


「私も私が大嫌い。」

「俺は!」


視界が戻ったとき、そこには英雄がいた。

先ほどまで目の前にいた憎たらしい男は鼻から血を流しながら地面に叩きつけられていた。


「俺は、結構好きだぜ。星宮のこと。」


「釣れたああああ! ハハハハハッ!!」


「青崎君……!!」


英雄は名を青崎真司郎という。

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