【 浮かれた散歩 】
ザァーーーー・・・
視界を遮る程の大雨が降る中、俺は期待を込めつつも恐る恐る外に出た。
・・・!!
「お、おぉ!よしっ、このどしゃ降りでも完璧に雨を防げてる」
昼間からひたすら訓練した結果、見事に防雨結界は完成し雨を完璧に防いでくれた。
外に出るまでは強過ぎる雨に耐えられるか心配だったが、努力は報われたようだ。
「よしよし、ヒビも入らないな」
ドス黒い雨雲のせいで 空を見て時刻の予想をするのは難しいが、今はすでに夕方だ。
集中していたから気付かなかったが、自主練は6時間ほどぶっ通しでやってしまっていた。
しかし、その努力が実を結んだのをこうして体感すると 頑張ってよかったと素直に嬉しくなった。
「完成したのは良いけど、魔力も残り少ないし あまり遠くには行かない方が良さそうだな……今日は少しだけ散歩してから帰るか」
万が一 防雨結界が破れてしまった時の為に、バスタオルを持ってきていたが必要はなさそうだな。
ちなみにこのバスタオルはセントクルス遠征に行った日、イリアのお土産などを買った時に衝動買いしてしまった物の1つで、楽しそうに笑う等身大のシオンがプリントされている。
別に選んで持ってきたわけではない、家を出る前にたまたま手に取ったのがこれだっただけだ・・・って、誰に言い訳してるんだ俺は。
ザァーーーー・・・
「しまった…結構遠くまで歩いたな」
想像以上に防雨結界がしっかりと仕事をしてくれている事が嬉しくて、今朝まではウザイと思っていた雨の中を歩くのが楽しくなってしまった俺は、あまり遠くには来る予定ではなかったのに いつの間にか歩き慣れた大きな橋まで来てしまっていた。
「なんだか最近、この橋には縁があるな…」
目的地などなく ただ適当に歩いていたら辿り着いてしまった場所は、最近なにかとイベントが起こっている橋だった。
カモメ団とかいう3人組を捕まえたりルーク達と花火をしたのも、この橋の下にある川辺だ。
と言っても、さすがにこんな大雨の日には恐喝もないだろうし、友人達とばったり会う事もないだろう。
それどころかここまで来たのに人とすれ違ってすらいない。
まぁこんなどしゃ降りの日に出歩くなんて馬鹿か俺か警察とかくらいか。
ザァーーーー・・・
「ざぁーー、ざぁーー」
…ん?
なんだ?雨音に混ざって何か聞こえた気がしたような・・・
「ざぁーー、ざぁーー」
っ!?
やっぱり何か聞こえる。
「子供の・・声か?」
まさかな、とは思ったがーーー気になる。
勘違いならそれで良いが、もしこんな雨の中に子供がいるのなら大変だ。
そう思った俺は声らしき音のする方へと行く事にした。




