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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
8/165

【 定例集会 】

「定例集会を始めます、皆さん席について下さい」


毎月行われる集会の進行役であるサラ先生が、決められた台詞のように着席を促すが、サラ先生が壇上に上がった時には既に全員が自分の席に座って静かに待っていた。


「本日、皆さんにお話する事は2つあります。1つは生徒会からになります。クローツ君、お願いします」


「はい」


サラ先生と入れ代わり演台に立ったのは、この学園の生徒会長を務めるクローツ・モデレーター先輩だ。


綺麗な金髪に優しそうな顔つき、スポーツも勉強も出来る上に魔法の天才で、性格も良いし正義感も強い。


女生徒からだけではなく同性からの支持も厚く、まさにリーダーという言葉が似合う人で、俺の憧れでもある。


「僕からは今週末にあるセントクルスへの協力遠征の案内になります。一応全員参加が望ましいのですが、欠席を希望する方は理由を書いて金曜日の朝までに教師か生徒会の人に提出して下さい」


そう言うと会長の後ろに大きなスクリーンが降りてきて、セントクルス大陸の地図が映し出された。


「遠征内容はいつも通り、中等部は軽犯罪者の尋問補佐と防犯の為の巡回を、担当警察官と一緒に行なって下さい。高等部は犯罪者の尋問、危険思想者の捜索、中心街とセントクルス王城付近の巡回を学年別に割り振って行ないます。詳細は後でプリントを配るので目を通しておいて下さい。僕からは以上です」


役割を終えたスクリーンが上昇し、生徒会長が一礼して演台をサラ先生に返還し三年生の席に戻っていった。


「クローツ君お疲れさまでした。私からはいつも言っている事ですが、心構えについてです」


演台に戻ったサラ先生は生徒達を一瞥した後、業務連絡のような口調で心構えを説いていった。


「もうすぐ夏休みに入ります。学園のあるこの中央島は全て学園長の管理下にある為、他の大陸に比べて安全ではありますが、小さな犯罪などは日常的に起きています。残念な事ではありますが人が集まる場所で悪をゼロにするのは不可能な事です」


世界地図のちょうど真ん中に位置する海に囲まれたこの島は他の大陸に比べてかなり小さい。

この島で1番大きな建物がこのアルバティル学園だ。


もちろん街やテーマパークなどもあり、たくさんの人が住んではいるが他の大陸に比べればやはり小さく人口も少ない。

1番大きなセントクルス大陸とは地図で見ると50倍くらい差がある。

犯罪が少ない理由の1つは小さな島国だからだろう。


それでもやはり犯罪はなくならないし、小さい事件などは度々起きている。



「ですが、あなた達の存在は悪意ある人達が犯罪行動を起こす前に未然に防ぐ抑止力になります。望む望まぬに関係なく、あなた達は選別の大雨によってMSSLV3という力を手に入れました。それは善良な人々を守る事が出来る力である事をしっかりと自覚し、各自責任感と正義感を持ち行動して下さい」


犯罪が少ない理由の2つ目はやはり、LV3が多くいる事だ。

世界中にMSS感染者は沢山いるが、この島は世界で一番LV3が多く生活している。

必然的に非感染者の犯罪率は下がるというものだ。


「皆さんも知っていると思いますが、LV3感染者が犯罪を犯したり加担した場合は非感染者の10倍の刑罰が科せられます。その事を肝に銘じ、大きな力を持つ者として恥じる事のないよう心掛けて下さい。では最後に学園長、よろしくお願いします」


心構えについて話し終えたサラ先生が、学園長が待機しているであろう舞台袖に目を向けながら呼びかけた。


「はいはーい、みんなの大好きなガックエンチョーだよー。んっ、くる、しぃ!サラ君?ムチ、ム、ムチで首が!息が、、できな、ぐふっ」



…いつからそこに隠れていたのか、サラ先生が学園長を呼ぶと演台の下からカラフルな紙吹雪を巻き上げ、道化師のような仮面を着けた学園長が飛び出してきた。


突然の事だったが、サラ先生は見事に学園長の首に鞭を巻き付けて締め上げている。


サラ先生は黒いスーツで下はスカートだ…


もしずっと台の下に隠れていたのなら、話してる間ずっと学園長にパンツを覗かれていた可能性があるので自業自得だろう。


「げほっげほっ。あー、みなさんお疲れさま、もうすぐ夏休みだねっ!サラ君が言ってた事も大事だけど、君達はまだ子供だ。しっかり楽しむのも大事な仕事だよ!美味しい物いっぱい食べて、たくさん友達と遊んで心を育む事で、人を守るという意味を自分自身で見つけて自覚していってくれたらいいなぁーって、ぼくは思うよ。だからみんな、わいわいキャッキャしちゃいなよっ!でも君達はまだ子供だからイチャイチャやチュッチュは……ありか」


「なしです」



とんでもない事を口走り、すぐさまサラ先生が却下して学園長の発言を阻止した。


いつも思うが、学園長はフランクというよりノリが軽い。

途中まで良い事を言っていたのに。


でも、あの軽い感じのおかげで生徒達からはなかなか人気があるし親しみやすいのも事実だ。


見た目は校内にたくさんある銅像と同じで道化師のような仮面を着けているので、知らない人が夜中に出くわしたら腰を抜かすかもしれない。


声もスタイルも良いので仮面を取ったらもしかしたらイケメンなのかも知れないが、誰も学園長の素顔を見たことがないので真実は闇の中…いや、仮面の中だ。



「学園長ありがとうございました、もう結構です。では皆さん本日の集会はこれで終了になります、生徒会のプリントを受け取ったら帰宅して下さい」




集会が終わり、生徒会長の魔法で全員の所にプリントが飛んで行き、俺とイリアも受け取ったので帰ろうと思い席を立つと生徒会長が俺に声を掛けてきた。









∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

本日はクリスマスイブですね。


私は今日も明日も仕事ですが

皆々様は素敵な聖夜をお過ごし下さい。


私は今日も明日も仕事ですがっっ!!!

失礼致しました。閲覧いただきありがとうございます。



メリークリスマスイブ

聖なる夜が明けるまで

笑顔の絶えないひと時を。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

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