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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
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【 迷子探しはパールにお任せ 】



ナイトパレードを充分に堪能した俺達はバルプラを降り バルドリを飲みながら寛いでいたが、暫くするとマリアの睡魔が限界にきてしまい、解散する流れになった。





「今日はご一緒させて頂き 本当にありがとうございました。とっても楽しかったです。それから、こんなお兄ちゃんですけど これからも仲良くしてあげてください」


「ふんっ、まぁなんだ、今日はラピスも楽しめたみたいだし、ありがとな」



ラピスとデュランは俺達とは少し離れた町外れに家があるので、駅で解散となった。



ここで流れ解散でも良かったのだが、マリアが俺の背中で気持ち良さそうに寝ている為、俺達はまだ体力的にも余裕があったので寮生であるマリア達を送り届ける為に学園へ向かった。






「わざわざありがとうございました。ほらマリアちゃん、学園に着きましたよ」


「…んん、まだ、遊ぶ」


学園に着くと、すでに祭りから帰ってきた寮生達が校庭で手持ち花火などをしている姿がチラホラ見えた。


そんな中、俺の背中で寝ていたマリアをマゾエルが引き取ろうとしたが マリアはほとんど開いていない目で力無く駄々を捏ねていた。



「あらあら、ごめんなさいねマリアちゃん。本当はもっとマリアちゃんに遊ばせてあげたいのですけど、今日はもう無理みたいですから帰ってゆっくり休みましょう。ごめんなさいね」



マゾエルが申し訳なさそうにそう言うと、マリアは俺の背中から降りてマゾエルに抱っこしてもらい ふたたび眠りについた。



「じゃーなー!またマリアと遊んでやってくれよっ!たまにあたいも乱入するけどなっ、ギャハハ」



最後まで元気なサディスが手を振り、マゾエルはマリアを抱えたまま俺達に会釈をすると学園の中へと入って行った。


そんな3人の後ろ姿を見送っていると、

普段は少し不気味なマゾエルも 魔獣を殲滅させた時は怖く思えたサディスも 妹であるマリアと接している時の2人はとても優しくて、本当に仲の良い姉妹なのだなぁと改めて思った。




「サディスさんもマゾエルさんも本当に良いお姉さんだね。私も見習わないと」


イリアも俺と同じ事を思ったらしく、2人に対して尊敬の念を覚えた様だ。



「何言ってんの お姉ちゃん?お姉ちゃんは最高のお姉ちゃんだよ!」


「そんな風に言っても下着の事は許してあげませんからね。帰ったらお説教です」


突然ゴマすり全開で話しに入ってきたマキナであったが、マキナの魂胆は見え見えと言うより 丸聞こえだった……チャンスとか考えたらバレるに決まってるだろ。




5人を送り届けた俺達は談笑しながら来た道を戻り 帰路を歩いていた。


少し歩くと、先日セルとイリアと一緒にカップルを襲っていたカモメ団を捕まえた川沿いの橋に辿り着いた。



【どこ?どこにいるのよ?】



橋を歩いていると、周りの声より少し大きな心の声が聞こえてきた。



「タクト、今のって迷子かな?」


「あぁ、多分。そんなに遠くないみたいだし 探すの手伝うか」



俺とイリアが聞いた声をセル達にも伝えると、みんなすぐに探すのを手伝ってくれると言ってくれた。



と言っても俺とイリアはレベル3なので、意識を集中させて声を聞けば 助けを求める非感染者を探すのは難しくないので すぐに声の主を発見できた。



人混みの中で少し怒った表情の女性が声の発信源だったのだが、その人物には見覚えがあった。



「あっ!あんた達、ちょうど良かった。ルーク知らない?あの馬鹿、また1人でどっか行っちゃったのよ」



女性は俺達に気がつくと、足早に近付いてきて 怒った表情のまま捲し立てるように質問してきた。



「ララさんではないですの。ルークさんはお見掛けしておりませんですわよ。あら?では迷子というのはルークさんですの?」



「うん、そうみたい。声はララちゃんからだったよ」



迷子を探す声の主、ララ・リアート



スラっとしたモデル体型に程良く付いた筋肉、見るからに運動神経が良さそうなララ。


俺達と同じ高等部1年のララは非感染者ではあるが人望が厚く、魔力も勉学も優秀な1-Cクラスの生徒だ。


気が強く姐御肌なララは髪の毛を全部後ろに束ねたポニーテールで、キリッとした目と眉毛が気の強さを際立たせている。


ちなみに本人には禁句になっているが、あだ名はラリアッ子。


キレると男女問わずラリアットをお見舞いする事と、名前がラリアットに似ているからという理由らしい。


俺も一度だけルークがララにラリアットをされているのを見た事があるが、威力がラリアットを超えていた。


その時はセルも一緒に見ていたのだが、セルは笑いながらホームラーンって言ってたしね。


とは言うものの俺はそこまでララと話した事はない。

だが、ここにいる俺以外のメンツは結構交流があるらしい。


学園内で悪さをする生徒を何度かブチのめしているララは風紀委員のハイナや生徒会のセルとは何度も話しているらしいし、マキナは運動部でお世話になっている先輩後輩の関係だと前に聞いた事がある。

イリアもマキナとの繋がりで仲良くなったと言っていた。


俺はララとは関係が薄いがララの探しているルークという人物とは仲が良い方だ。


というのも、ルークは俺と同じ1-Aに通っているクラスメートだ。


さらにMSSレベル3同士でもある。


ルークはデュランとは違い 定例集会にもほぼ毎回顔を出しているので自然と仲も良くなっていった。


ただルークは極度のビビりで、外で遊ぶ事は断固拒否してくるので 学園以外での交流はほとんどした事がない。



・・・しかし困ったな。


探し人がルークとなると見つけるのが難しい。



「ねぇイリア、レベル3の力であいつを探す事って出来ないの?早く見つけないと、あいつまた1人で泣い・・・」



最後の方は聞き取れなかったが、そうとう心配しているみたいだ。


だが、俺達だけでMSS感染者であるルークを見つけるのは正直難しい。


MSSを駆使して探すとなると、ローラー作戦をしながら迷子っぽい人を見た人の声を探すしかないのだが、祭りで浮かれている人達は基本的に他人の事に興味がない。


しかもルークが迷子っぽく振る舞ってくれていればまだいいが、普通に歩いていたりしたら それこそ気にかける人など皆無だ。


こういう場合は正規の手順で警察や迷子センターなどに捜査願いを出すのがベストなのだが、今から迷子の手続きをするとかなり時間がかかる。


それよりも一番の問題はルークが自分から姿を消した可能性が高いって事だ。


人を恐れ、人混みを避けたがるルークが祭りに来ていたのがまず奇跡。


その上でララとはぐれるとなると、自分からバックれた可能性がある。



そうなると捜査願いを出してもあまり意味がないし、祭り中に見つけられる可能性もかなり低くなってしまう。



「うーん、心の声を辿って見つけるのは難しいかな。やっぱり捜索願いを出して探してもらった方が確実だと思う」



イリアも俺と同じ意見のようだ。


「・・・・」


しかしララは今すぐにでも見つけ出したいといった様子で眉間にシワを寄せていた。



はぁ、仕方ない。


「あんまり頼りたくないけど、手っ取り早く探せる方法はあるよ」


俺がそう言うと、ララは目を見開き 詰め寄って来た。


「本当にっ!?あんたルークの友達の・・・そう、タクトくんだったわよね?本当に見つけられるの?」


「あ、あぁ。ちょっと連絡するから待ってて」



肩が千切れるのではないかと思うほど力強く揺さぶられた俺は、渋々ではあったが人探しが得意な人物へ電話をする事にした。



、、、


呼び出し音が鳴ったと同時に相手が応答した。



「もしもーー『いやーんタッ君 お母さんの声が食べたくなっちゃったの?わかったわ、今すぐそこに行くから待っててね!逃げても無駄よ、お母さんの愛からは逃げきれませんからねっーーガチャ』ーーー。」



・・・だから嫌だったんだよ。



「ねぇ ちょっと!あんた何も言わずに切っちゃったけど、本当に大丈夫なんでしょうね?」


「あ、あぁ。ルークの事は多分大丈夫だと思うよ」



事は?と疑問符を浮かべながらララが首を傾げているが、多分すぐにわかるだろう・・・はぁ。



それから数分待つと、橋の向こう側からもの凄い勢いで人混みを吹き飛ばしながら母さんが走って来た。



「タッ君お待たせぇぇぇ!!!パール参上っ!ってあら?なんかいっぱい美少女がいるじゃない。だーれから橋の下に投げ飛ばされたいのかしらぁ?」


来て早々いつも通り うざい絡み方をしてくる母さんに、ララとハイナさんは若干引いてしまっている。



「ちょっと母さん 頼むから本当にやめて」


「えっ、なに?この人あんたのお母さんなの?若いし綺麗だから あんたの彼女かお姉さんだと思ったわ」


「えっ?そこの可愛いポニーテールの子!今なんて言いました?もう10回言ってくれるかしら?」



だめだ、母さんに合わせていたら全く話しが進まなくなってしまうので、すぐに本題に入ろう。



「母さん、実は友達が迷子になっちゃったんだ。探すの手伝ってくれる?」


「えー、電話してくれたのって会いたいからじゃなくて能力が目当てだったのぉ?ひどいわタッ君、私をただの玩具としてしか見てないのね。あぁ、それでも貴方のお願いを断る事が出来ない私は一途な女・・・」


「だぁ!もういいからっ!早く探してくれよっ」



毎回こんなやり取りをしないと会話が出来ないので本当に疲れるが、母さんのアイデンはサーチ系の中でもかなり優れた力なので頼りにはなる。



「はいはぁい、なんとなく状況は把握したわ。そこのポニーテールちゃんの大事な子って事みたいね、じゃあポニ子ちゃん ちょっとこっち来てちょうだい」


ララは母さんに呼ばれ、少し怪訝な顔をしてはいたが 素直に従って母さんの目の前に行った。



「それじゃあ貴方の探してる子の事、しっかり頭に思い浮かべてね」


「は、はい」



目を閉じて必死にルークの事を考えるララ。


そのララの頭に母さんが軽く手を置くと、うっすらと光の糸がララの左胸から出現し、勢い良く橋の下の方へと伸びて行った。



「終わったわよ、この光の糸を辿れば お目当ての人の所に行けるわよ」


母さんの能力はその人が強く望む物や者へと導く光の糸を出す事。


その糸は出した本人は見えるが、探されている方は余程敏感な人でもない限りは気付くことも出来ない。


今回で言うなら、ララには見えるがルークには見えないようになっている。


周りにいる俺達にも光は見えているが 通行人などには見えていないらしく、そこら辺は母さんが上手く調整してくれたみたいだ。



「っ!?本当ですか!?ありがとうございます!さっきは変な人だなんて思ってしまって すみませんでした」


「ちょ、ちょっとポニ子ちゃん?私は非感染者なんだから聞こえてない心の声の謝罪は逆にダメージを受けるわよ。まぁそれは良いとして、早く行ってあげなさい。せっかくのお祭りなんですから、友達と一緒に沢山 良い思い出作って来なさいよ」



俺達は母さんにお礼を言ってから光の糸を頼りに橋の下へと向かい、母さんもまだ仕事の最中だったらしく 元来た道を戻って行った。


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