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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
24/165

リザルト 《前半》

「あらあらあらあら私を押し倒してくださるなんてタクトさんは意外と大胆なのですね。ですが押し倒してくださるのならマリアちゃんが間にいない時に剣山のベッドの上でお願いしますね」


「タクト、…くるちぃ」


大爆発の後、広場の火柱を見上げていると

魔獣の首が、巻き上がる炎に飛ばされてこっちに飛んできた。


すごい勢いで飛んで来たので、俺は慌ててマリアを庇おうと飛び付いてしまったが…


勢い余ってマリアを抱いていたマゾエルを押し倒す形になってしまった。


「す、すみません!マリアもごめんな。大丈夫か?」


マゾエルの手を引いて2人を起こしながら謝ると、マリアは小さく頷いた後マゾエルの腕から俺の腕の中へと移動してきた。


立ち上がった後、マリアが移動する姿をマゾエルはいつもの不気味な笑顔ではなく優しげな笑顔で見守っていた。


あんな顔で微笑む事もあるのか…


「マゾエルさんシャイナス君お疲れ様でした。マリアさんも問題ないようですね」


爆発から少し経つとサラ先生がやって来た。


「サラ先生!無事だったんですね、よかった。魔獣は?クローツ先輩は?あの炎の悪魔みたいなのはどうなったんですか!?」


「落ち着いて下さい、全て無事終了しました。シャイナス君とマリアさんは会議室で待機していて下さい。マゾエルさんは私と一緒に火柱の消火と残党の確認をお願いします」


「えっ、あっ、ちょっ……行っちゃった」


困惑する俺を気にした様子もなくサラ先生とマゾエルは、勢いの衰えない火柱を消火する為に広場へと向かって行ってしまった。


「あくま、ちがう」


「え?なんだって?」


呆然と立ち尽くす俺の腕の中で、マリアが少し怒った顔を向けながら何かを言っている。


「あくまちがう、えすねぇ」


・・・何が言いたいんだ?

あくまちがうえすねぇ?

だめだ、意味がわからない。


「おぉ、炎が消えてく」


マリアの言動に思考を巡らせている間に

消火作業が始まり巨大な火柱が見る見るうちに細くなっていき、消滅した。


「あの真ん中にいるのって、まさか」


火柱が消えた広場の中央には、やけに清々しい顔をしたサディスが立っていた。


「あくまちがうえすねぇ、って…さっきの炎みたいなのがサディスさんだったって事なのか」


信じられないと言うより信じたくはなかったが…



魔獣の燃えカスの中央でご機嫌な様子のサディス。


サラ先生の言った、全て無事終了しましたという言葉。


俺が悪魔と言った事に怒ったマリア。


その全てが、天災のような炎人=サディスであると告げていた。




「タクト、おさる」


「猿って…、俺そんなに変な顔してたか?」


非現実的な現実を見せつけられて衝撃を受けた顔をしていたのかもしれないが、それでも猿みたいな顔にはならないだろ。


マリアなりの冗談で和ませてくれようとしたのかと思い、マリアの頭を撫でてあげた。


しかし頭を撫でて気付いたが、マリアの目線が俺の顔ではなく俺の背後に向いていた。


その視線が気になり、マリアの目線を追うように振り返るとそこには…


「魔獣!?生き残りがいたのか!?」


小さな猿のような魔獣がいた。


あの爆発の中、無事であるはずもなく左手足が無くなっており、すでに瀕死だ。


しかし瀕死であっても魔獣は魔獣。

残った右手で掴まれてしまえば、俺の頭など簡単に潰されてしまうだろう。


「一か八かやってみるか。頼む、効いてくれ!《共存》」


ーーーバチンッ


「くそっ、やっぱり入れない」


先程まであった広場を覆う結界が消えていたので、一瞬でも共存で猿に入る事が出来れば、サディス達のいる広場に飛び降りて後は任せようと思ったが、やはり入れずに弾かれてしまった。


「グギギッ グギャギャギャーーー!!!」


しまった!


俺の共存で刺激を与えてしまったせいか、魔獣がもの凄い勢いで向かってきてしまった。


片足しかないくせに、俺の全速力より速い。


これでは逃げるのも無理だ。


マリアだけは、マリアだけは守らないと!



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