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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
22/165

セントクルス王城広場攻攻戦《前半》

==================


十数分前〜〜〜



「ーーーリアさんは王城内で待機を。クローツ君、行きますよ」


大きな揺れの直後、サラ先生が任務開始を告げて、僕とサラ先生はサディス達の援護に向かった。


魔獣という脅威に今まで一度も遭遇した事がなかったのであろうタクト君が怯えていたのが気掛かりではあったが…


それも僕達が魔獣を素早く殲滅すれば済む事だと思い、何も声を掛けずに会議室を後にした。



「シャイナス君が心配ですか?」


目的地である監視塔へ向かっていると、前を歩くサラ先生が振り向きもせずに、僕の胸中を見透かした質問をしてきた。


相変わらずサラ先生は鋭いな。


「はい、少しだけ。ですがタクト君は大丈夫だと思います。根拠はありませが。それに僕達が早く任務を終わらせれば心配も杞憂に終わります」


「ええ、そうですね」


短い会話を終えて、上空から魔獣を吐き出す巨大な口を見上げながら僕達は監視塔を目指した。



ーーーーー


監視塔に辿り着き、僕達は状況を確認した。


「以前よりマウスハウスが大きくなっていますね」


「ええ、それに操れる魔獣の数も質も上がっているようです」


広場に群がる魔獣の数は予想よりも少し多く、上空で魔獣を吐き出すマウスハウスも僕が以前見た時よりも遥かに大きい。


厄介だな。


マウスハウスを出している相手も、魔獣を操っている相手もこの場にはいない。


少しずつ、だが確実に力が増している。


マウスハウスと魔獣を操っているのはどちらもアイデンではなく、ジースだ。


あの大きな口の中は広い空間になっていて、中にいる者や物を自由に出し入れ出来る。


さらに術者の魔力が届く場所ならどこにでも出現させる事が可能なので奇襲には最適な能力だ。



「全部吐き出し終えたようですね。クローツ君、お願いします」


魔獣の落下がおさまり、広場では魔獣が四方八方へと散らばり結界を壊そうとしている。


サラ先生の合図を聞き、予定通り僕は自分のアイデン【マグネット】の応用技を広場に放った。


まずは風と水の範囲魔法で全ての魔獣に僕の魔力を付着させる。


その後、広場中央に十字形の小型ナイフを突き刺してマグネットを発動させる。


すると、四方八方に散らばっていた魔獣達はナイフに吸い寄せられるように広場中央に集まっていった。



「くっ、さすがにこの数は重いですね。サディス達の方はどうなっていますか?」


「2人とも予定通り広場上空で待機しています。サディスさんは我慢出来ずに数匹魔獣を倒したようですね。すでに炎人化しています」


「それは頼もしいですね。マグネットを発動する時に大人しく上空で待機してくれるか不安でしたが、すでに炎人化しているのなら後は結界が耐えられるかどうかだけですね」


炎人化と言ってはいるが…

サディスが纏っているのは炎ではなく、実はただの強すぎる魔力だ。


基本的には魔力自体は無色で視認する事は出来ない。


魔力に水の力を加えれば青く見えたり、雷の力を加えれば白くなったり黄色に見えたりはするが、

魔力単体で色がつく事はあまりない。


炎のように見えるほど凝縮された膨大で強大なただの魔力だ。



サディスの能力【エンジン】は、僕も詳しくは知らないが


学園長が言うには、相手に与えたダメージの分だけサディスの力が増大するというものらしい。


魔力だけではなくパワーやスピードも性能が上がり続けると言っていた。


攻撃すれば攻撃するほど強くなる…まさにサディスらしい能力だ。


「まだ力が足りてないみたいですね」


サラ先生の言葉を聞き、サディスを見てみると広場上空の氷の足場から動いていなかった。


あのサディスが動かないという事は、殲滅に必要な力がまだ溜まっていないという事だろう。


溜まっていたら我慢など出来るタイプではないからね。


単純に広場に降りて魔獣を倒すのであれば今のサディスでも問題はないと思うのだが


今回は一撃で殲滅してくれと頼んである。


視覚阻害の結界と揺れを王城の外に出さない為の結界を城外に張ってあるので、王城内部にいる人にしかマウスハウスは見えていないし、魔獣が落下した時の揺れも感じていないはずだ。


だが、時間をかけてしまうと結界が保たないし、なによりセントクルスの住民に業族の存在が明るみに出るのを避ける為に、大きな衝撃や爆音は一回で済ませて欲しいからだ。


「ん?あれはマリアとタクト君」


視界の端に動く影が見えたので確認すると、そこにはマリアを抱きながらサディス達を見上げるタクトがいた。


よかった。どうやらタクト君は恐怖に打ち勝ったようだ。


「あの短時間でよく乗り越えられたね。うん、やっぱり君は優秀だよ」


怯えながらも小さなマリアを必死に守ろうと抱き抱えるタクトを見て呟くように称賛を送った。


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