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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
19/165

【 任務開始 】

「では予定通り魔獣の殲滅を行います。サディスさんとマゾエルさんは中央広場に向かって下さい。シャイナス君とマリアさんは城外に出ないで待機を。クローツ君、行きますよ」


大地震のような揺れを気にした様子もなくサラ先生が指示を出し、各々が動き出した。



一番初めに動いたのはやはりサディスだ。

もの凄く嬉しそうな顔をしながら会議室の扉を突き破って出て行ってしまった。


その後ろをマゾエルも歩いてついて行き、サラ先生とクローツ先輩も会議室を出て、持ち場へと向かっていった。


学園長はいつの間にか姿を消しており

会議室には俺と、俺に抱き抱えられているマリアだけになってしまった。


………………………


…………………


……………


………


数秒の静寂が、数時間のようにも感じる。


ーーガチガチガチガチ


震えが止まらない



さっきまでは任務直前にも関わらず、普段と変わらないくらいには落ち着いていたというのに。

実際に魔獣が近くにいると思うだけで、これほどまでに違うものなのか?

「タクト、あっちいこ」

それともサディス達が一緒にいた事で知らず知らずのうちに安心していたのだろうか。


マリアと2人きりになり、たった十数秒で俺の心は恐怖に支配されてしまったというのか?


体が重く感じる。

足が震えて言うことを聞かない。

額から流れる汗の感覚だけがやけにはっきり感じるが、その汗を拭く事すら出来ない…


ガチガチガチガチーーー

舐めていた油断していた過信していた自惚れていた。俺は自分が思っているほど強い心を持っていなかった


直接戦うわけではない、それどころか直接見たわけでもない魔獣に怯えている…

静寂を怖れているくせに、声を出す事すら出来ない臆病者


クローツ先輩に憧れている?マリアだけは何があっても守る?

馬鹿かっ!立っているのがやっとの俺にそんな事を言う資格なんてない!

たかが恐怖に負ける俺が本物の脅威から誰かを守るなんて出来るわけがない。


守らなくてはいけないはずのマリアがいつの間にか俺の腕の中からいなくなっているのに気付く事すら出来ない俺にできることなんてーーーん?


マリアが・・・いない?マリアがいない!!!


「マリアッ!!どこだっ!?返事をしてくれ!」




会議室の出入り口はサディスが破壊した扉のみ。

室内にマリアはいない。

やはりあそこから出て行ったのか?


「くそっ。なにやってんだよっ俺はっ!」


広場には魔獣の大群が来ているはずだ

怖気付いてる場合じゃなかった。


「早くマリアを探さないと!」


震える足を殴りつけて恐怖を抑え込み、俺は会議室から飛び出した。


頼む…無事でいてくれよっ!





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