【 次世代を担う精鋭達 】
ガルルルルルッ、グルルルルルッ
シャァァッ、シャァァッーー
「多種族がごちゃ混ぜになってると厄介だって私っちは思うの。ミントっちのアイデンで ひとまず倒しやすい牙狼かカマキリイタチだけを一箇所に誘導して欲しいって私っちは思ってるの」
「おっけー、なんとなくだけどカマキリイタチの方が可愛いからカマキリイタチを集めるねー」
「それではわたくしは牙狼が連携を取らないように引き剥がしつつ、雷魔法が得意な方達に牙狼を押し付けてまいりますわ」
広い訓練場全体の至る所で生徒達と魔獣が戦闘を繰り広げており、Aクラスの面々も例外なく目の前の脅威と向かい合っていた。
突然の奇襲によって何名かは不意打ちを喰らってしまってはいたが その者達にダメージはなく、すぐに戦闘へと切り替えて行動をしていた。
そして いざ魔獣と戦闘になると 本来の実力を遺憾無く発揮し、多種多様な魔獣相手に優勢を維持していた。
「えーっと、カマキリイタチは風属性だったよね?よぉーし、ほらほらカマキリイタチちゃん達ぃ、ミントちゃんのフレーバーでメーロメロにしてあげるよー。こっちにおいでぇ」
「ヤハハッ、ワイはライトオーガとタイマン張ってくるわっ!ポンタッ、ライトオーガのコアってどこやった?」
「ライトオーガはたしかお腹の真ん中、人でいうヘソらへんのとこにコアがあるはずだけど…。1人でライトオーガはマジ危ないって。自分も手伝うよ、ヤンクエの後ろに隠れながらだけど…」
「もひひー!ぐるるもやんけのお手伝いするまじおー!」
アルバティル学園のAクラス、Bクラスというのは、そもそも個々の能力が非常に優れた人材で固められている 言わばエリートの集まりであり、原則として全員がMSS感染者でもある。
その中で能力基準値に関係無くA、Bクラスに居る事を許されているのが、MSSレベル3感染者とルークの推薦したララだけであった。
MSSレベル3感染者は現在 その存在だけで価値があると認識されている為、クラス 支援 就職 生活 待遇 あらゆる面で優遇され、個々の能力云々関係なくエリートと肩を並べる事が許されており、その価値は 本来なら能力が高くてもCクラスに入る事すら難しいはずの非感染者であるララを お願いしますの一言でBクラスに引き上げる事が出来る程である。
その為、能力や実力を評価されてここに居る生徒達に比べると タクト達のような特別枠の生徒達は実力的に目劣りしてしまうのではないか…と思うかもしれないが、決してそんな事はない。
その根拠として、一般公表はされていないが MSSレベル3感染者は例外無く魔力値が平均値より高いという結果が出ている。
人類の強さの象徴と言われている八英雄全員がレベル3感染者という事で、一般市民の中にも薄々そうなのかもしれないなぁと思っている人も居るし MSSの解析に携わっている人達にとっては常識の事なのだが、一般的には知られておらず レベル3感染者のタクト達本人もそんな研究結果が出ている事は知らない。
もしもここがアルバティル学園ではなく普通の学校であるのならば、タクトも自身の魔力が周りに比べて大きい事に気付いていたかもしれないが、ここはアルバティル学園。
学生でありながら、練兵を積み重ねてきた軍人に引けを取らない力を秘めた学生が集う場所であり、中にはデュランやサディスのように桁違いな魔力を保有する生徒が周りにいるのが当たり前の環境であった事で タクトは自身の事を『クラスの中でも平均的な魔力しかない=世間的にも自分の魔力は平均くらいだろう』と認識していた。
さらにタクトの場合は得意属性が光のみという稀有な例である為、魔力値の比較対象がタクトと同じように得意属性が1つしかない リードイスト王やデュランのような桁外れの魔力を保有している人しか居なかった事も『自分は得意属性が1つしかない人の中では劣等』と思ってしまっている原因でもあったが、学園島だけではなく世界規模の平均で見れば タクトも十分大きな魔力を保有している部類に入る。
とはいえ、レベル3のタクトやルークと 能力や実力を評価されてA、Bクラスに選ばれたヤンバルやチェルチ達とでは戦闘の経験やセンスにかなり差があるのも事実であった。
しかし、タクトは自分でも気付かない内に 小さな進化を遂げている事を感じ始めていた。
その事に1番驚いているのは、タクト本人であった。
グギギッ、グギャギャギャーー
そのタクトの目の前には今、以前セントクルス王城で対峙した剛猿鬼の下等種である猿鬼が、歯を剥き出しにして威嚇しながらタクトを睨みつけていた。
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お久しぶりです、セカンドです。
投稿までにかなり期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。
5ヶ月も更新出来なかったにも関わらず、また【光のタクト】のページを開いて下さった皆様、本当にありがとうございます。
最近見始めて下さって方々にも、もちろん大感謝しています。本当にありがとうございます!
1ページ毎の文字数、更新ペースなどは今後もバラつきがあるとは思いますが、最終話までお付き合い頂ければ幸いです。
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それともう一点お詫びがございます。
現在セルス君が大変多忙という事で、特別編(都合のいい説明枠)を行う事が出来なくなってしまっています。
万が一、特別編である《教えてセルス君》を楽しみに待って下さっている方がおられましたら、重ねてお詫び申し上げま……え、そんな人は居ないって?
そうですか、それでは引き続き【光のタクト】をよろしくお願い致します。