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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
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⁂トライアングルツライ⁂〜タクトの悲劇〜

定例集会から三日が経ち、いよいよ明日はセントクルスへの遠征の日。


遠征前日の放課後は最終ミーティングがあるので、俺も今から向かうところだ。


ミーティングは役割毎に別々の場所で行われる。

尋問班は音楽室、イリア達の巡回班は生物室、俺が行く王城班は生徒会室。


今回の遠征ではイリアと俺は担当する役割が違うので、ミーティング場所も違う。


お互いのミーティングが終わったら一緒に帰る約束を取り付けて、俺は初めて入る生徒会室へ少し緊張しながら向かった。



=====


生徒会室の前に着き、大きく一度深呼吸をしてからノックをした。


「1-Aのタクト・シャイナスです。失礼します!」


ドアを開けて一歩だけ進み、お辞儀をしながら挨拶をすると、

俺の右足にガシッと何かが張り付いてきた。


「・・・タクト、だっこ」


マリアだ。


右足に張り付いた何かに目を向けると、髪量が多く白に近い綺麗な金髪のツインテール少女がしがみ付いていた。


小柄で重さをあまり感じないマリアが、いつもと同じ眠そうな目を向けて抱っこを要求してきた。


…来るとは思っていたが、人が緊張しながら挨拶をしている時にちょっかいを出すのはやめていただきたかった。



「やぁタクト君、わざわざすまないね」


「いえ、とんでもないです。今日はよろしくお願いします」


生徒会室は普通の教室と同じ作りで、広さも俺の通っている1-Aと同じだが、今 生徒会室にいるのは俺を含めて5人しかいないので、少し寂しさを感じるほど広く感じる。


教壇の横に置いた椅子にクローツ先輩が座っており、教壇の前に三つの席が横並びに設置されていて他に机や椅子はない。


並べられた三つの席には、左にマゾエルが座っており、真ん中は空席、そして右にはサディスが棒付きの飴を咥えたまま足を机の上に乗せた格好で寝ている。


「タクト君も座ってくれて構わないよ。後はサラ先生が来るのを待つだけだからね」



……うわぁ、まじか。


周りを見渡しても他に席はなく、明らかに真ん中へ座れと言っている。


悪足掻きだと自分でもわかっているが、俺は自分の右足にコアラのようにくっついているマリアに声をかけた。


「マリア、俺は立ってて平気だから、あそこの真ん中に座りなよ。その体勢、疲れるだろ?」


「いや」


くっ。やっぱりダメか。


クローツ先輩に座るように言われたのに、これ以上立っているのはさすがに失礼になると思い、俺は意を決して真ん中の席に座ることにした。


「し、しつれいします」


なるべく静かに椅子を引き、小さな声で挨拶をして席に座った。


「…ん?おおっ!タクトじゃねぇーか、ギャハハ!飴食うか?ほらっやるよ!」


「ぐはっ!」


俺が椅子に座った途端、今まで気持ち良さそうに寝ていたサディスが目を覚ましてしまった。


元気全開で近づいてきて、今まで自分が舐めていた棒付きの飴を俺の口に強制的に押し込んできた。

咄嗟に口を開けていなければ確実に前歯をやられていただろう。


口に押し込まれた飴は、俺の右足から膝の上に移動してきたマリアが即座に奪い取っていった。


そして俺の左側では、背筋をピンと伸ばし、首から上だけをこちらに向けて薄ら笑いを浮かべるマゾエル……。


なんだこれは…

つらい。つらすぎる。



「驚いたな。本当に3人とも君に懐いているね」


クローツ先輩が本当に驚いたといった顔をしながら、そんな感想を口にしていたが…



懐いている…だと?


どの角度から見ても、俺がこの三姉妹のオモチャにされているようにしか見えないだろっ!


と、心の中で憧れの先輩に文句を吐いていると、ようやくサラ先生が生徒会室に入ってきてくれた。


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