【 Bチームvs Cチーム 】
グラウンドに整列した俺達の前では、1-Aの中である意味最強の男デュラン率いるBチームが余裕の表情で整列している。
『グルルくんには悪いけど、こっちにはデュランが居るからな。万が一にも負けはないぜ!』
『っつかデュラン、怪我させるなよ。グルル君、この怪物がボールを持ったらちゃんと逃げるんだぞ』
『ふんっ』
強気なBチームの発言に、何か言ってやりたいと思っている奴も多いだろうが…実際デュランが相手では勝ち筋が見えにくいのが現実だ。
しかし、セルだけはBチームに負けず劣らずの余裕のある表情でBチームを見ていた。
「ふっふっふっ…デュランに頼り切っているようじゃあ、この天才軍師セルス様率いるCチームに勝つ事は出来ないぜぇ」
『な、なんだと!?おいセルス、何か秘策でもあるって言うのかっ』
「ふっふっふっ…あるに決まってるだろ?デュランを無力化するのなんざ、このセルス様にかかればチョチョイのチョイなのさ」
『つつつ、強がりに決まってる!デュランに弱点なんか…ないよな?』
『ふんっ』
何故か自信満々のセルに対し、Bチームの奴等は無駄に動揺しているようだが……俺は知っている。
こーゆー時のセルは、大体役に立たないという事を。
「おーし、んじゃ始めるぞぉ!」
ピッピィィィーー
フレド兄さんが笛を吹き、Bチーム(デュラン軍)とCチーム(俺達)の試合が始まった。
一応グルルにはヤンバル達の試合中にルールをざっと教えておいたが、初めてやるキッカーボールで攻防が頻繁に入れ替わる前線をやらせる事は難しいと思ったので、俺とグルルは自ゴール付近のディフェンスを担当する事にした。
それに、ここならデュランの豪速球が飛んで来ても避ける事が容易になるので、グルルを守る意味でも後方が無難だろう。
ちなみに俺達のチームのゴールキーパーはルークだ。
『よっしゃゲット!オラオラ行くぞぉー!』
「ぐえっ、タクトすまんっ!ディフェンス任せたっ!」
先にボールを持ったのは相手チームだった。
ボールを持った奴はセオリー通り自強化魔法を使って猛スピードでこっちのゴールに突き進み、その隣を走る奴はボールを持った奴が敵に邪魔されないように魔法や結界で補佐をしている。
ボールを持った奴は大柄な体からは想像が付きにくいが魔力操作も上手い奴なので、このままシュートエリアまで入れてしまうと厄介だ。
「おおー!パーパきたおー、どする?ぐるるはどするんやお?」
「なんとなくヤンバルっぽい語尾になってるぞ…まぁいいか。ーーーグルルはボールが近くに来たらセルにパスを出してくれ。パス、覚えてるか?」
「おおー、わかたー!ぐるるパスできるおー!」
楽しそうに興奮するグルルに指示を出した俺は、猛突進してくる3人に視線を戻して ボールを持っている人物に意識を集中させた。
『おい、シャイナスが居るぞ!共存に気を付けーーー・・・よしっ、グルル!パス行くぞっ!」
「おろ、おろろ?パーパがパタンしたらパーパがあっち?おろろろろ?」
俺がボールを持った奴に共存を使ってボールを奪い、グルルにパスを出したのだが、グルルは突然俺の本体が倒れた事で混乱してしまっていた。
「グ、グルルくんっボール、ボールッ!」
「おろ……おおー!せるるパスいくおー!」
混乱していたグルルにルークが声を掛けると、グルルは自分がやるべき事を思い出し セルに手を振りながらボールを蹴った。
ーーーバシッ
「ナイスパース、グルル!後は俺達に任せとけぇ!」
グルルが蹴ったボールは綺麗にセルの足元に飛んで行き、パスを受け取ったセルはそのままデュランが守護するゴールへと走って行った。
ボールを持ったセルを守る為に、チームメイト達が魔法やアイデンを駆使してディフェンスを退けていき、完全にフリーな状態でシュートエリアに入ったセルだったのだが、仁王立ちするデュランの前で 何故か足を止めた。
「ふっふっふっ…デュランよ。今から俺はシュートを打つが・・・予言してやろう、お前は動く事が出来ずに俺にゴールを決められるとなぁぁぁ!」
『ふんっ。頭が良いだけじゃどうにもならん事もあるってのが、頭が良いのにわからんのか?』
ゴールの前で腕を組みながら まるで壁の様に仁王立ちするデュランと、意地汚い笑みを浮かべたセルがバチバチと視線がぶつけ合っていたが、、、、セルが突然 校舎のある方を見ながら何かを指差してーーー
「あれ?あんな所でラピスちゃんが男子に抱きつかれてるぞ!」
と、誰が聞いても嘘だとわかる様な間抜けな発言をした。
これが、セルの秘策……これにはBチームの奴らだけではなく 仲間であるはずの俺達Cチームの連中も呆れてポカーンとしてしまっていた。
「さすがセル…アホすぎる」
そんな、アホとしか言いようがない作戦に引っ掛かる人間など居る訳がない……と思っていたのだがデュランは
『っ!?なにっ、どこだ!?ラピィィィィスッ』
「掛かったなっ!ーーーどりゃぁぁぁっ!」
パサッーーピッピィィィ。
セルの秘策?に見事引っ掛かり、ボールはゴールネットを揺らした。
「お、おおぉぉぉぉっ!やるじゃんシエートッ!ってかデュランもアホで良かったぁぁ!」
「セルスゥゥ、アホバカ◯ねボケカスとか思って悪かったぁぁ!」
「お前はただの変態じゃないっ、最っ高の変態だ!」
「あ、あれ?褒めてないよね、それみんな褒めてないよねっ!?」
セルの作戦が成功するとは夢にも思っていなかったチームメイト達は盛大にセルを称賛した。
確かに、俺もまさかデュランがあんな手に引っ掛かるとは思っていなかったので驚いたのだが、それよりも俺は気になっている事がある……
シュートが決まって浮かれまくってる前線の奴らは気付いていないようだが、後方にいる俺からはよぉーく見えているのだ。
怒りと魔力がメラメラと燃え上がる、デュランの姿が・・・
パンッーー
「うわっ、ビックリしたっ!なんだ!?」
『あっ!デュランの奴、ボール握り潰しやがった!』
「え?あれって割れる物なの?」
ピッピィィィーー
いや…普通は割れない。
これは、もうデュランにボールを持たせたら危ないかもしれないな…主にセルの命が。
まぁとりあえずこっちは1点取っているので、今からは無理に攻めに行かずにリードを守る戦い方をすればいいだけ。
デュラン以外にも油断出来ない能力を持った奴は多いけど、やっぱり1番厄介なのはデュランの豪速球だからな。
ちなみに味方のゴールキーパーにパスを出す事は出来るけど、その場合ゴールキーパーは手でボールに触れると反則になるので 味方から受け取ったボールはヘディングか蹴る事しか出来ない。
デュランの豪速球は脅威だが、デュランは手加減よりも足加減の方が苦手らしく ボールを蹴ると狙った方向に飛ばない事が多いし、それを本人も自覚しているので蹴ってくる可能性はかなり低い。
こちらがシュートさえ打たなければデュランがボールを投げる事は無いのだから、俺達のチームはもうシュートを打たずに守りに徹するのが定石だ。
「セルスが取った1点、しっかり守り抜こうぜっ!」
『くそっ、なんとしても1点返すぞっ!同点にさえなれば向こうもチキンプレイ出来なくなるっ、そうすればこっちのもんだっ!』
ーーー
ー
それから暫くの間、なかなか点数が動かないまま熾烈な攻防戦が繰り広げられていたが、躍起になったBチームが徐々に押し始めてきてしまった。
「や〜ば〜い〜。さ〜わ〜ら〜れ〜た〜」
「お〜れ〜も〜や〜ら〜れ〜た〜」
そして、前線の攻防バランスを完全に崩したのはBチームのガゼル・ロリスだった。
ガゼルは触れたもののスピードを変化させるアイデンを持っている為、触れられないようにしなくてはならないのだが、乱戦になったせいで俺達のチームの約半数…セルを含めた5人がスロー状態にさせられてしまった。
キッカーボールのルールでは魔法による弱体や拘束は許可されているが、アイデンによるデバフや拘束は一回につき10秒までと決められているので、試合終了までずっとセル達がスロー状態のままというわけではないが10秒間は何も出来ないただのオブジェになってしまう。
「パーパ、またきたおー!ぐるるはまたパスでええおー?」
「いや、まずは相手を止めないといけないんだが…今回は俺だけじゃ止めるのきつそうだな」
セル達が動けない為、Bチームはさっきの倍の6人でこちらに向かって走ってきている。
しかもボールを持っているのが、俺の共存と相性が悪いダース・クロムなのでさっきのようにはいかない。
『『『さって、シャイナス。共存で俺が止められるかなぁ?確率は13分の1だぞ、当てられるかなぁ?』』』
ダースはコピー系のアイデンで同じ物を12個作る事が出来る。
しかもダースのコピーはかなり精巧で、自分自身の分身も同時に12体作り出す事が出来るのだが…これが俺には最悪の相性なのだ。
「くそっ、やっぱり見分けが全くつかない…」
対象が複数になっただけでも俺の共存は使いにくいのに、さらに数が増えた上 選択を間違えてコピーの方に共存を発動してしまうと弾かれてしまい、本体の俺がただ倒れるだけになってしまう。
「せめてどれが本体なのかわかれば共存で入ってから分身を消せるのに……でも、このままじゃーーー」
「おおー!同じのいぱーい、いたまーす!」
グングンと迫り来るダースの本体がどれか分からず どうしようかと悩んでいると、俺の右後ろに居たグルルが13人居るダースの1人に向かって飛び掛かっていった。
『『『なにっ!?俺の分身が一体消されたっ!?何したんだ!?』』』
グルルが飛びついたのは分身の方だったようで、何をしたかはわからないがダースの分身が一体消滅した。
しかしダースは本体を合わせてまだ12人いるので、迂闊に共存を使う事は出来ない。
「パーパわかたおー!あっちから3つのだけ違うおー!」
「ーー本当かっ!?どうしてわかるんだ・・・いや、もう悩んでる暇なんてないっ《共存》!」
どう見分けたのかは不明だが、グルルは左から3番目のダースを指差して俺にそう言ってきた。
ボールを持っているのは左から4番目のダースだったが、俺はグルルを信じて3番目のダースに共存を使った。
「ーーーおおっ、本当にこれが本体だったのか…って、そんな場合じゃない!ボールを・・・しまった!」
グルルの読みが正解し、俺はダースに共存で入る事が出来たのですぐにダースの分身を消して ボールを奪おうとしたのだが、一足遅かった。
俺が共存を使う直前に、本体がバレたと判断したダースはボールを違う奴にパスしてしまっていたのだ。
グルルがダースに突っ込んで行ったので 俺の後ろにはもうゴールキーパーのルークしか居ない。
ルークのアイデンは鉄壁に近い性能とはいえ耐久には限界があるので、強力なシュートを連発されてしまうと さすがに耐えきれなくなってしまうはず…
『ナイスだぜダース!後はルークの鉄壁をぶち破るだけだっっーーーって、あれ?ボールが勝手に…』
ダースからパスを受け取った奴が足に魔力を溜めてシュートを打とうとしたのだが、足下にあったはずのボールが まるで引き寄せられるようにグルルの元へと飛んで行った。
「おおー、くろろのすごー!パーパぐるるどする?せるる、まだゆるゆるでパス出来ないおー」
『ちっくしょー!グルル君は何のアイデン持ちなんだっ!?ーーーなんにしても、取られたら取り返すだけだっ!みんな掛かれぇぇっ』
何故グルルの元にボールが飛んで行ったのか気にはなったが、ボールを持ったグルルに対してBチームの奴等が猛スピードで迫っているので考えている余裕はない。
グルルも、迫ってくるBチームを見てどうしたらいいかわからない様子だ。
グルルが言った通りセル達はまだガゼルのアイデンが解けていないので前にパスは出来ない。
それなら一旦こっちにパスをーーーいや、だめだ。ダースがまた分身を発動してパスコースが完全に塞がれている……どうする…
「グ、グルルくん!シュートッ、シュート打っちゃえっ!」
俺がどうしようか悩んでいると、ルークがグルルにそう指示を出した。
「ルーク何を……いや、そうか!」
さすがにこの距離からシュートは無理があるだろ!と思ったのだが、俺は一瞬だけ冷静に考えてルークの指示は的確なのかもしれないと考え直した。
ルークはグルルにも分かりやすく伝わるようにシュートと言ったが、要は思いっきり蹴って時間稼ぎをしろという事だろう。
俺達のチームは現在半数がガゼルのアイデンでスロー状態にさせられているので、このままでは圧倒的に不利なのは一目瞭然。
しかしアイデンでの拘束は10秒という時間制限があるので、後数秒でセル達は復活できる。
なので、グルルがボールを奪われる前に思いっきり相手陣地の方へボールを蹴ってくれれば セル達が復活する時間が稼げる。と、ルークは考えたのだろう。
「グルルッ!相手のゴールの方に向かってボールを蹴るんだっ!」
ルークの考えに賛同した俺もグルルにそう告げた。
「おおー、わかたおー!シュートいくでおー!」
Bチームがグルルに迫り、俺とルークと数人のCチームが見守る中、グルルはボールを蹴ったーーー
ズギュゥゥゥゥゥゥッンッッーーー
「はっ!?」
『ええぇぇぇっ!?』
助走なしのグルルから放たれた蹴りがボールに触れると、ボールはとんでもない勢いでデュランに向かって飛んで行った。
グルルがボールを蹴る前まではBチームが攻め込んで来ていたので、デュランもゴールネットから数メートル手前まで出てきていて そこでセルを睨みながら仁王立ちしていたのだが、凄まじい勢いで飛んでくるグルルのシュートに目を見開いて 珍しく驚いた顔を見せた。
『ーーーふんっっっ!!!』
目を見開きながら仁王立ちしていたデュランだったが、グルルの放ったシュートを止める為に両手を前に突き出した。
ーーーギュルルルルルッッッズズズッ
ボールを受け止める音とは思えないような音が響き、デュランはボールの勢いで数メートル後ろに押し返された。
『ーーー痛って』
ボールを受けたデュランは数メートル後退させられたが、元々セルを睨みつける為に数メートル前に出ていたのが功を奏し、ゴールラインギリギリで踏み止まった。
「う、うおおぉぉぉぉっ!グルルもレウカーサもすっげぇなおいっ!」
『デュランッよく止めたっ!後でジュース奢ってやるよっ』
『グルル君すっご!いま何やったのっ!?強化魔法?アイデンッ!?デュランが痛がるとこなんて初めて見たよっ』
グルルの強蹴とデュランのキャッチングで、BチームもCチームも敵味方関係無く大興奮しながら2人を褒めまくった。
しかし、後方にいる俺からはよぉーく見えているし、今のこの状況はかなりヤバイという事も理解していた。
何がヤバイって、デュランがボールを持ってしまった事。
そして、デュランからはセルへの怒りの炎が薄れる事なく燃え続けている事。
そしてそして、デュランとセルとこっちのゴールが一直線上に並んでいる事……な?ヤバイだろ?
『おまえら、ちょっとどいてろ。巻き添えで消し炭になってもしらねぇぞ……』
・・ほらね。
デュランのその一言で、蜘蛛の子を散らすみたいにデュランから皆んな離れて行ってる。
『おいシエート、消し炭になりたくなかったら ちゃんと防げよ』
「ま〜って〜く〜れ〜よ〜。う〜ご〜け〜な〜い〜ん〜だ〜よ〜」
セルはゆっくりなままデュランに懇願しているが、デュランは全く耳を傾けようとせずにボールを振りかぶりーー
『ふんっっっ!』
さっきグルルが打ったシュートよりもさらに強烈な豪速球が放たれた。
って、これ本当にヤバくないか?
スロー状態であんなの避けれる訳がないし、そうでなくとも防魔だろうが結界だろうが防げそうにない威力だぞ!?
「や〜ば〜い〜。し〜ぬ〜・・・って言うと思った?実はとっくにスローは切れてましたぁ!たはっ」
デュランから放たれた豪速球はセルに向かって一直線に向かって行ったが、ボールがセルにぶつかる寸前でセルはデュランを小馬鹿にした態度で軽くヒョイっと避けて笑った。
あのセルの顔・・う、うぜぇっ。
いや、まぁガゼルにスローにされた他の皆んなはとっくに動けてたのに、セルだけ動いてなかったからおかしいなぁとは思ってたけど……
ってそんな事考えてる場合じゃなかった!
俺も避難しないとマジで死ぬっ。
「ルークッ、あの威力はさすがにヤバイ。俺達も早く避難しよう・・・ルーク?」
セルの命は無事だったが、今度はその直線上にいる俺達が危ない。
デュランの豪速球を止める術を俺は持っていないので、点数が取られるのは悔しいが 体育の授業に命をかける気はないので、ルークに声を掛けて一緒に避難しようとしたのだが、ルークはゴール前から動こうとしなかった。
一瞬、怖くて足が動かなくなってしまったのかとも思ったのだが、ルークの足は震えておらず フードと前髪の隙間からチラッと見えた瞳からは闘志のような熱が込められているようにさえ感じられた。
「お、おいルーク。本当に危ないぞ…」
「う、うん。ボクも怖いんだけど…。で、でも折角みんなが頑張って守ってきた一点だから。ボ、ボクやってみる!」
ルークはそう言うと、ゴールの前に扉の付いた城門を五つ重ねて出現させた。
「ーーーーー」
危ないから逃げた方がいいと言おうとしたが、ルークの真剣な表情を見て 俺は言葉を飲み込んで結果を見届ける事にした。
「来るぞっ、ルーク!」
「う、うんっ!」
ドゴンッーードゴンッーーバゴンッーーー
激しい破壊音を立てながらデュランの投げたボールがルークの城門を次々に粉砕していく。
しかし、城門を1つ破壊する度にボールの勢いは少しずつ落ちていき、
バコンッーーメシッーー
「と、止まった……よかったぁ」
最後の城門にめり込んだ状態で、ボールは完全に停止した。
『マジかよ…デュランの球を止めやがった!』
「うおぉぉぉぉっ!ルゥゥクゥゥッやるじゃねぇかぁぁっ!」
『・・・ふんっ』
「ふふふふふ…これも全て俺の作戦通り!」
この試合何度目かの大歓声。
それを受けたルークは真っ赤な顔を隠す様にフードを深く被って、はにかみながら頬を指でかいていた。
ーーーーー
ーーー
ー
それからの展開は俺達Cチームの防戦一方だった。
元々1点リードした時点で攻めるつもりはなかったってのもあるが、ルークがミラクルセーブをしたすぐ後にグルルが突然眠ってしまったのを切っ掛けにBチームが猛攻を始めたのだ。
誰も止めた事がない…というか、止めようとすらした事がなかったデュランの豪速球を止めたルークだったが、デュランの球を止めるのに力をだいぶ使ってしまい、感知系のアイデンを持つ奴にそれがバレたのもBチームの猛攻の後押しにもなってしまった。
しかし、結果は1-0で俺達の勝利で終わった。
そして最終試合。
俺達Cチームとヤンバル達Aチームの試合は、結果を先に言うと……8-1で俺達の完敗だった。
グルルが眠りから覚めなかったので、Bチームからまだ体力に余裕のある奴に入ってもらったのだが、デュラン達との試合で俺達のチームはほぼ全員ガス欠になってしまい、元気が取り柄のヤンバル達にボロッカスにやられてしまった。
と、まぁ最後は少し悔しい思いもしたが、なんだかんだで楽しく体育を終えて ようやく1日の授業全てが終了した。