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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
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【 命名は慎重に・・・ 】

「こいつら五年前にセントクルスの北にある小さな町で強盗して指名手配になってたクレクレカモメ団のカネクレとモノクレとメシクレじゃん。MSS LV1の小物犯罪者でこの島じゃ知ってる人もいないだろうから野放しになってたのか」


気絶している暴漢の顔を見ながら、セルは自分の記憶から犯罪者の情報を引き出し前科を調べていた。


「セルの《記憶》のアイデンの方が便利だろ。俺のはリスクも制限もあるし」



セルの《記憶》というアイデンは実際かなり使い勝手が良く便利だ。筆記テストは毎回百点だし。


記憶力が良くなるというだけでなく、一度でも見たり聞いたり触れたりすると絶対に忘れる事がない。


それだけではなく、味や感覚や感情までも思い出す事ができる。

たとえば、お腹がすいた時にステーキをお腹いっぱい食べたことを思い出せば、味や匂いだけではなく、お腹いっぱい食べた感覚まで呼び起こす事が出来るのだ。


もちろん本当に食べているわけではないので、それを続けていると栄養失調で倒れることになるが、羨ましいアイデンである事は間違いない。


「まぁ便利だけどまだ完全にコントロールできてないから、ちょっとでもエロい事を考えると、それ関連の記憶が溢れてきてトリップしちゃうんだけどね」


セルが頻繁に鼻血を出したり噴水で座禅組んだりするのも、アイデンの制御が完璧ではないのと思春期が原因だろう。

セル本人は兄貴のせいだと言っているが。



「タクト、セルス君、怪我はない?」


セルと会話しながらカモメ団を見張っていると、男性の治癒を終えたイリアが小走りでやってきた。


「あぁ、こっちは大丈夫」


「イリアちゃんおつかれー。怪我はないけど野郎を3人も縛り上げさせられて俺の心はズタボロだよぉ、癒しておくれよぉ」


「よかった、2人とも大丈夫そうだね。はい、お茶どうぞ」


俺とセルの無事を確認すると、ほっとした顔をしながら冷たいお茶を2人に手渡してくれた。


「あ、あの。ありがとうございました!」


イリアに貰ったお茶を飲みながら警察を待っていると、先程助けたカップルがこちらにやってきてお礼を言ってくれた。

襲われた恐怖がまだ消えていないのか、彼女さんの方は彼氏の背後に隠れながらお辞儀をしている。


「いえ、無事でよかったです。もうすぐ警察が来るはずなので、すみませんがもう暫く待っていて下さい」


俺がそう言うとカップルは「はい」と答えて少し離れた場所に座り、イリアからお茶を受け取っていた。


それから数分で警察が到着した。




「通報をくれたのは君達だね?怪我はないかい?」


優しそうな年配の警察官が俺に声を掛けてきたので、俺達に怪我などはない事を伝えてカモメ団を引き渡した。


「んー、見るからに悪人顔だね。……この縛り方は」


セルがいつもやる縛り方なのだが、亀の甲羅みたいな網目ができる縛り方を見て警察官は引きつった顔をしている。


その表情を見たセルが、キラッと歯を光らせビシッと親指を立てながら警察官に「どうっすか?なかなかのもんでしょ」と言うと、警察官は「やっぱり君か」と言い、何かに納得した顔をしていた。

なんだったんだ?今のやり取りは。


亀の甲羅のような網目をした縛り方をされているカモメ団は一応前科持ちらしいので、その事を警察官にも伝えなくてはならない。


そう思い亀の甲羅のような網、、、あぁめんどくさい!

もう略して亀甲縛りでいいだろ!


「この亀甲縛りにされてるカモメ団は指名手配犯らしいので、警察署ではなく軍の方に連れて行った方がいいと思いますよ」


「…っタクト!?」


「…君もか」


俺が警察官に前科の事を伝えると、なぜかセルは驚き、警察官は呆れた表情でそう言ってきた。


なんなんだ?俺が何かしたのか??



__________


その後、警察官が軍に連絡を取りカモメ団は連行されていき、カップルは事情を聞くために警察官と一緒に警察署に向かって行った。


俺達は学生証だけ警察官に見せて、後日感謝状が贈られると言われ帰宅した。

警察官のおじさんとセルは何度か顔を合わせている間柄らしく、スムーズに事後処理ができて助かった。


帰っている最中に、先程のセルと警察官の反応が腑に落ちなかった俺は亀甲縛りを携帯で検索したら、良い子は閲覧禁止な画像をたくさん発見してしまい、セルの尻にモエルの魔法を放ち軽く燃やしてやった。




カモメ団以降は何事もなく、セルと別れイリアを送り届けてから俺も帰宅した。


帰宅すると母親は出掛けているようで、食事の用意とメモ書きが置いてあったのでご飯を食べてからお風呂に入り、今日はもう寝る事にした。



今日は色々な事があったな…


眼を閉じるとクローツ先輩との会話を思い出した。


遠征の事よりもクローツ先輩とたくさん話せた事が嬉しくて眠りにつくまでに、いつもより少しだけ時間がかかったような気がした。

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