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光のタクト  作者: セカンド
世界を変える大雨
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【 俺にできること 】

「そういえばセル、どうして昼休みにハイナさんが来たんだ?生徒会ミーティングがある時はいつも放送で知らせるんだし、わざわざ来る必要なんてなかったんじゃないか?」


昼休みに伝言を頼みに来た、お嬢様風紀委員ハイナの不可解な訪問を思い出しセルに聞いてみると「嫌がらせ」と、疲れた表情で短く答えた。

やっぱり嫌がらせだったか。


「なんでかずっと嫌われてるんだよなぁ。ハイナはプライド高いから、同じMSS LV2の俺がAクラスにいるのが気に入らないのかもな。AクラスもBクラスも大差ないのにな」


クラス分けは個の能力で割り振られる。


LV3は個の能力に関係なく全員Aクラスだが、 LV3以外の人は能力が特に高い者はAとB。それ以外はC〜Eに均等に分けられるのでAとBには優劣はないのだが、生徒の中にはBよりAの方が優秀だと思っている人もいるみたいで、ハイナさんもそう思っているのかもしれない。


「でもハイナさん、Aクラスの子とも仲良いよ。それにちょっと前に話した時も『優秀な人は尊敬致しますわ、わたくしも日々精進を忘れぬよう心掛けていますの』って言ってたよ。どうしてセルス君だけ目の敵にしてるんだろうね?」


イリア曰く、ハイナさんは弱者を助け、優秀だと思える人は素直に尊敬できる正義の風紀委員らしい。



…そうか、それならもう答えは1つだな。


「セルの事、好きなんじゃないか?」

「ぶっ!」


俺が導き出した完璧すぎる解を聞いて、セルはありえないといった顔で、歩きながら飲んでいた炭酸ジュースを吹き出した。


「ちょ、おまっ、げほっげほっ。ありえないって!」


「なんでだよ、ちょっと不器用な愛情表現だろ?好意は素直に受け取ってやれよ」


「だからありえないって!自他共に認めるドMの俺が真っ青になるくらい冷たい態度しかとられた事ないんだぞ!?あれが好意だったらツンデレでもツンツンでもなくヒエヒエっていう新しい属性のヒロイン誕生だっての!」


お似合いだと思ったんだけどな。

それにしても、ドMのセルを喜ばせるのではなく真っ青にさせるとは、、、

やるな、ハイナさん。伝授してくれないかな。





【誰か助けてっ!】



「っ!?」


「っ!!」


「??」


くだらない話しをして、くだらない考えを巡らせながら3人で帰宅していると、悲鳴のような助けを呼ぶ声が聞こえた。


「タクト!あっちの橋の方から聞こえたよ!」


「あぁ、急ごう!セル、行くぞ!」


俺とイリアが同時に反応した事で何かあったとすぐに理解したセルは、無駄な質問などはせずに強化魔法を三人にかけてからすぐに橋に向かって走り出した。


さすがだな。


俺とイリアに聞こえてセルに聞こえないという事は、声を出して助けを呼べない危機的な状況である可能性が高いということだ。


それを瞬時に理解し、強化魔法をかけて一目散に走り出したセルはやはり、優秀であり勇敢であり優しい奴だなと、頼もしくて誇らしい親友の背中を見ながら思い、俺も走り出した。


=======


「騒がず動かず金出しな。かわいい彼女の顔が黒焦げになってもいいなら逆らってもいいけどなぁ!おらっ!」


「くっ、、、」



川沿いの橋の下にたどり着き、隠れながら状況を見てみると4人の男と1人の女がいた。


おそらくカップルを狙った恐喝だろう。

女が1人の男に捕まっており、彼氏と思われる男も羽交い締めにされ明らかに悪人顔の小太りの男に殴られている。



「人質か、タクトいけるか?」


状況を見たセルが小声で俺に聞いてきた。


相手は大人3人だが、人質さえ解放できれば一気に5対3になり有利になるだろう。

都合が良いことに、人質を抑えているのは1人だけだ。



魔力も体力も人並みの俺にできる事は少ない。

それでも出来る事はある。


セルの問い掛けに小さく頷いて、俺は人質を捕らえているモヒカンの男を凝視した。


数少ない俺に出来ることの1つ、魔法でもMSSでもない、俺個人が有する《共存》の能力で人を救うっ!

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