愛情と憎しみのはざまで(エルツの章)
少し、森が活性化しているようでした。調査も頻回に行い、未発掘の遺跡もずいぶん見つかっていた。
そんなとき、アンデッドがわき出る遺跡を発見していた。
さっそく調査を開始したエルツは、予想以上に難航していたが、ついに最後の玄室にたどり着くことができていた。
どうしても調査しなければならない遺跡があった。
予備調査で、二人では難しいことが明らかだった。
だから、しかたなく、テーレを連れ出していた。
そんなとき、いつもヒメルは一人で留守番をしてくれていた。
最初は不安だった。
しかし、繰り返しするうちに、僕の心は麻痺してたんだ・・・・・。
「あなた、ちょっと先に帰りたいの。」
テーレが珍しく、途中で帰宅を告げていた。いつもはある程度めどがついてからだ。
今、遺跡調査は最終段階に入った。最後の玄室と思われる扉の前で、テーレが言う言葉ではなかった。
いつもなら、この扉を開けた後に言う言葉。
それが、今そう告げていた。
「胸騒ぎがして・・・・」
そんなテーレの顔は見ていられなかった。
「いいよ。バーンがいるから大丈夫。」
こいつは思った以上に使える奴だった。
だが、ヒメルはやらん。
「ごめんなさい・・・・。」
申し訳なさそうに言うテーレを僕は軍団移送で送っていた。
場所は家の玄関。
そこでいいよね?
「よし、バーン。入るぞ。」
僕はバーンの返事を待たず、玄室の扉を開けていた。
「いやー。これは、これは・・・・・。エルツさん。どうしますか?」
バーンは楽しそうに口元をほころばしていた。
中はアンデッドの大群だった。
「そんなこと聞く顔じゃないよね?それ。」
保護結界
魔術防御結界
魔法付与
を順番にバーンにかけていく。
「先に打ち込むから、突撃待って」
そう言って僕は火球の魔法を3回となえていた。
中には屍食鬼、木乃伊男、骸骨兵士が大多数だったが、中に手ごわいのがいた。
「あれは、ドラウグルか。毒に注意だな。」
雑魚は火球の魔法でほとんど焼き尽くした。残敵はバーンが処理するだろう。
問題はドラウグルだった。
「時間がかかるな・・・・。テーレ、かなり遅くなると思う。でも、急ぐから待っててね」
僕はそう謝罪した。
気が気でならないエルツ君だったが、目の前の状況をどうにかしなければならなかった。
いそげ、エルツ君。




