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遺志を継ぐ者

村の大虐殺の事情聴取にデルバー先生はバーンと二人きりではなします。

「バーンよ。それで、おぬしはしびれて動けなかった。それであってるかの?」

デルバー学長は、俺にそう尋ねてきた。


「ああ、あんなエルツさんは初めて見た。テーレさんが死んだのを完全に村のせいにしていたからな。まあ、村人が放火なんかしなければ、こんなことにならなかったはずだけどな。」

俺は、この件で知っていることを話していた。


「それから奴はどうした?おぬし、しびれておっても見たり聞いたりはできるじゃろ?」

デルバー学長は容赦なかった。

そりゃ、情けなく麻痺してましたよ・・・・。


「そのまま、いなくなりましたよ。ヒメルも連れてね。今頃どこで何してるんだか・・・・。」

俺はその最後の姿を黙っておいた。


エルツさんは、近くにいた村人を殺しまくった後、ヒメルを寝かせて、テーレさんの無残な遺体を抱きしめて、ずっとずっと泣いていたんだ。


俺は麻痺を解除できたけど、泣いているエルツさんに申し訳がなく、そのままでいた。

たぶん俺の様子に気づいていたんだろう。


倒れている俺の横で、エルツさんは小さな声でつぶやいた。


「もうエルツ=メタリウムは死んだ。そして、ヒメル=メタリウムもだ。これから私たちはヒトの世界を捨てる。ただ、この子はいずれこの世界に帰ってくるだろう。」

そして、しばらく考えていたようだった。


「おれは、人であることをやめた。これからは復讐と殺戮の鬼になる。俺の名は、これからはライヒナーム。ただの屍だ。」


そして、小さくため息をついた。


「ただ、この子が人の世に戻る意思を示したとき、この子はこの世界に戻ってくる。その時はよろしく頼む。この子の名は、シエル。そう、シエル=メタリカ。テーレとエルツが望んだ、人とエルフがお互いに分かり合える世界、この空のように、境界のない世界に住めるように願う名だ。」

そう言ってエルツさんは、俺の麻痺を解除して、どこかに転移していった。


「そうか・・・・。」

デルバー学長は悲しげに、そして深くため息をつきながら頷いていた。


「では、バーンよ。わしの方からも頼むでの。シエルが帰ってきたときには、おぬし面倒見てやってくれんかの?」

このおっさん、ただもんじゃないどころじゃなかった。

俺を試してやがった。


まあいい。

「おれは、これから冒険者になる。剣の修行は一時中断すると師匠には話してくれるなら、話しに乗るよ。そうだな、ベルン。ベルンで冒険者になるよ。そして、エルツさんとヒメルを見つけだすよ。」

俺の言葉に、デルバー学長は驚きの表情で俺を見ていた。


「そうか・・・エルツが託したわけが分かったわ。シエルとヒメルは同じ意味。空という意味じゃ。エルツはシエルが自分で物事を考えることができるまで、人と隔離しておきたいのじゃろう。そして、いずれはテーレの望みをかなえるべく、シエルと名前を変えさせておぬしのところに送るつもりじゃろ。頼んだぞ。あの子を無理やりにでも連れ帰ることは可能じゃ。わしの目をもってすれば、エルツの居場所などどうとでもなる。じゃが、わしも見てみたいんじゃ。ハーフエルフが幸せになれる場所をな。」

デルバー学長はとんでもない人だった。


「まあ、おぬしは世話するだけじゃぞ?手を出すでない。シエルの居場所はシエルが見つけるじゃろ。それはお主ではないぞ?おぬしはおっさんすぎるからの。もし、シエルがほしければ、わしを倒してみるがいい。そうすれば、考えんでもない。」


・・・ただの親ばかだった。いや、爺バカだ。

「まあ、俺も有名になって探しやすくしてやるさ。でも、その前に、探し出して連れて帰る。俺は、エルツさんも含めて、この世界に帰ってほしい。きっとテーレさんもそう望むはずだ。おれは、テーレさんとエルツさんがいるあの家を俺の家と思ってたからな。」


しょうがないオヤジとかわいい妹。


まとめて面倒見れる男になってやるよ。


そうだろ?ヒメル。

お前には、二人の願いが託されている。

ならば、お前の助けには俺がなってやる。


空は青く、どこまでも広い。そんな願いを受け止める奴はどんな奴だろう?

もし気に入らなかったら、俺がぶちのめす。

俺はそう心に決めていた。


この物語はここで終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。

物足りないところは力不足で、申し訳ございません。


シエルさんの外伝はこの後帰ってきたときからの物語を予定しております。

いつになるかわかりませんが、その時はよろしくお願いします。


これは、シエルさん結婚おめでとうのプロフィールムービーになるかな?

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