旅立ち
挑戦的な投稿してまいります。本日中に完結する予定です。
「先生、突然の呼び出し、いったい何事ですか?」
学士院を卒業し、実家の男爵家で日々魔術の修行と魔道具作成に明け暮れていたが、突然先生から呼び出しを受けていた。
「まあ、そう急くな。あの魔獣騒動以降、猫の手も借りたいほどの忙しさじゃ。おぬしも暇ならわしを手伝え。」
先生は明らかに僕を暇人扱いしていた。暇人じゃないのに。僕は目的もなく生きることの意味について研究をしているのだ。
この崇高な行為は何者にも邪魔はさせない。
「先生、お言葉ですが・・・」
しかし、僕の言葉は最後まで言わせてもらえなかった。
「て・つ・だ・う・の・じゃ」
一言、一言が頭を殴られるように響かせていた。
「・・・・・はい。」
もうそれしか言えなかった。
先生に脅されたわけじゃない。
ただ、そう、休暇も必要ということだ。
目的もなく生きることに意味について研究することも、たまには目的を持って生きるようにしないと、価値が分からない。
しかたがない。
比較検証だ。
「具体的には何するんですか?」
けど、先生は何も示してくれてなかった。
「調査じゃ。場所は・・ほれ、ここじゃ。この村ですごし、周辺をくまなくじゃぞ。2年ほどかかるかもしれんが、頼むでの、実家にはそう言っておいた。」
先生の言葉は軽かったが、僕の気持ちは沈んでいた。
まったく、目的がないじゃん・・・・・。僕の決心を返せ。
「ここって、開拓村じゃないですか。こんな何もないところで病気になったらどうするんですか?」
精一杯の抵抗。
そう、無駄な抵抗。
「ほれ、これをやるからの。」
先生は通信用魔道具、各種回復薬、といった魔法の袋を渡してくれた。
「用意いいですね。まさかとは思いますが、いまから、これから、そしてすぐにとか言いませんよね?」
恐る恐る聞いてみたが、その顔を見て愕然となった。
「ん?手紙に書いといたじゃろ?すぐ旅立つ用意をしてから来るようにと。」
先生は当然のことを聞くなという風に首をかしげていた。
「ふつう、そう思いません!」
「今は普通なんてないんじゃ!」
即、否定された。
「うるさいやつは、女にも相手にされんぞ?その年にもなってふらついとるお前が悪い。わしの講師依頼を受けとけば、このような目に会わんで済んだんじゃ。」
ぼそぼそと、つぶやいていた。
「それって、完全にとばっちりですよ?先生?ねえ、考え直して・・・」
「うるさい、荷物を持て、しらんぞ?」
そう言って足元に魔法陣を出現させていた。
「ちょっとこれ、軍団移送ですよね?まさか一人なの?」
荷物をとりながら、必死にあがいてみた。
しかし、それは無駄な努力だった。
「デルバー先生の、ばかー!!」
僕の声は見知らぬ森の端にある村のはずれで、むなしい響きをつたえていた。
「夢の世界の中で僕は」
の世界です。
登場人物は一部出演しますが、主人公たちはまだ生まれておりません。
よろしくお願いします。