第六話 ナメたらアカン!浪花の刑事(デカ)魂!
都内某所の銀行、黒ずくめの男二人が人質をとって立て籠っている。
「犯人に告ぐ!今すぐに人質を解放して大人しく投降しなさい!」
警官の一人がメガホンを使って犯人に向けて叫ぶ
「あわわ…ヤバいッスよ先輩!外はサツだらけッスよ!」
「バカ!うろたえんじゃねぇ!こっちには人質がいんだ、サツも簡単には手ェ出せねぇよ」
「そっか…そうですよね!流石は先輩!」
「だろ?そうと決まればする事は一つ!オイ!そこのお前!ちょっと来い!」
犯人の一人は銀行員の女性を連れ出し、銀行の外に出る
「オイお前らよく聞け!この女の命が欲しかったら逃走用の車一台用意しろォ!さもねぇとこの女ぶっ殺すぞ!」
女性のこめかみに銃を突きつける犯人
「オイ!バカな真似はよせ!」
「うるせー!さっさと車用意しろ!」
刑事の説得も聞かず逃走用の車を要求する犯人
「くそ、どうすればいいんだ!」
「係長、ここはウチに任せてもらいましょか?」
「た、立村君!?」
颯爽と犯人の前に出る正子、内ポケットから銃を取り出しそれを後ろに投げ捨てた
「立村君!?一体何を…」
「さぁ…これでウチは丸腰や、アンタらも早よう武器捨てぇや」
両手を横に広げながら一歩ずつ犯人にゆっくり近づいていく
「オ、オイ!近づくな!マジで撃つぞ!」
銃口を正子に向けて警告する
「どうぞご自由に…せやけどそれでホンマに撃ってもしウチに当たって最悪死んだりでもしたら、アンタらの罪一体どんだけ重くなんねやろなぁ~、もしかしたら一生シャバの空気吸えんようになるかもしれへんなぁ~…フフフ」
「お、脅しなんかに乗らないぞ!撃つぞ!本気で撃つぞ!」
「ほぉう、見上げた根性やなぁ…ほんなら撃ってみい!ホンマに撃つ覚悟があるんならなぁ!」
正子と犯人達の距離はもう既に手を伸ばせば届くぐらいの距離まで来ていた。
「く、来るなよ!来るんじゃねぇ!」
物怖じせずに向かってくる正子に対して恐怖を感じる犯人達
「ホラホラどないした?撃てや、撃ってみいや!」
尚もゆっくり近づいて犯人を挑発する正子
「く、くそ!ナメんなクソ女!!」
犯人が銃の引き金を引こうとした次の瞬間、正子は犯人の銃を持った手を素早く掴みそのままねじって一本背負いで投げ飛ばした
「先輩!クソー!」
やけっぱちになったもう一人の犯人もポケットから銃を取り出し撃とうとしたその時、正子に銃を蹴り飛ばされそのまま腕を掴まれて一本背負いで投げ飛ばされた
「今だ!確保ー!」
隙を突いて犯人を確保に向かう警官隊、人質も全員無事に保護される。
…その翌日、新聞の一面に一連の事件の全容が記載されていた
その新聞記事を研究所で読んでいる一矢
「『都内某所銀行強盗事件発生、銃を持った犯人二人に対し女性刑事が丸腰で向かっていき見事に撃退!人質も全員無事に保護し犯人も逮捕した』…っへぇ~すごいなコレ!この女性刑事って正子さんのことですよね?」
「銃持った大の男二人を丸腰で撃退かよ…とんでもねぇな…」
新聞の記事を読んで感心する一矢と潤平
「んだべな~、正子さんオラの田舎の母ちゃんよりおっかねぇもんなぁ~」
「ぶっちゃけ私達五人の中でも一番強いもんねぇ…」
「バカ言え、一番はこのオレだろ?その気になりゃあんな女一発でK.O.だっての!」
と、得意気にシャドーボクシングをする潤平
「ほぉう、大した自信やな~潤平…」
「い゛!?いつからそこに!?」
いつの間にか入口のドアの所に正子が仁王立ちで立っていた
「調子乗んなやドアホ!」
すかさず潤平を捕まえコブラツイストをかける
「あ痛だだだだだだ!!もうギブギブギブ!!」
「そらもっぺん言うてみい!誰が誰に勝てるって?ん?」
「痛だだだだ!!」
正子に思いきり締め上げられて悶絶する潤平
「みんな大変よ!って、えぇ!?何してるんですかちょっと!」
目の前で起きている状況に愕然とする辰美
「潤平のアホが調子づいとったからちぃとお仕置きしとんねや」
「そ、そんなことより大変です!また邪龍一族が現れました!」
「何やて!?そやったらこないなことしとる場合とちゃう!みんな行くで!」
「はい!」
「痛たたた…オイちょっと待てよ!」
直ちに現場に急行する五人
現場に着くと邪龍兵達が暴れ回っていた
「あれ~?今回はモノノケはいないのかなぁ?」
「何にせよどの道止めなきゃ!みんな、変身だ!」
「おう!!」
『ドラゴン・チェンジ!!』
変身して邪龍兵達に向かっていくリュウケンジャー、そのままバッタバッタと勢いよく倒していく
そして全ての邪龍兵を倒した頃に邪龍三兄弟の末っ子 龍々が現れた。
「ハ~イ!リュウケンジャーの皆さ~ん初めまして~!アタシは邪龍三兄弟長女の龍々!よろしくぅ!」
「邪龍三兄弟?っていうことは幹部か!?」
「そうで~す!今回は私の可愛いモノノケちゃんが相手だよ~ん!さぁ出ておいで!邪龍スズメバチちゃん!」
現れたのはスズメバチの姿をしたモノノケ
「ブ~ン、お呼びですかブ~ン?」
「さぁ邪龍スズメバチちゃん!あのリュウケンジャーをめちゃめちゃにしちゃえ~!」
「ブ~ン、了解ですブ~ン!」
邪龍スズメバチは縦横無尽に飛び回りリュウケンジャーを翻弄する
「チィッ!ちょこまかちょこまかとしゃらくせぇ!くらいやがれ!」
ブルーが攻撃を仕掛けるもあっさりかわされてしまう
「隙あり!」
隙を突いて手に持った槍でブルーを攻撃する
「ぐあぁぁぁぁ!!」
攻撃をくらったブルーはその場に倒れ込み苦しそうにのたうち回る
「潤平君!」
「あっ言い忘れてたけど~、その子の槍には猛毒が仕込んであるから気をつけてね~」
「猛毒!?」
「そうで~す!しかも今回の為に特別強力なヤツにしたから大体三時間もすれば死んじゃうかもね♪」
「そんな…なんて汚い真似を…」
「あっ後解毒しようとしても無駄だからね!私が作ったこの解毒剤じゃないと解毒できないからね~」
「だったら、力ずくで奪うだけだっぺ!うぉぉぉぉぉぉ!!」
と、真正面から邪龍スズメバチに突っ込んでいくブラック
しかし意図も簡単にかわされてしまいあろうことか隙を突かれ毒槍を受けてしまう
「ぐあぁぁぁぁ!!」
「大樹君!」
「さぁ、次はどいつが餌食になりたいブ~ン?」
「なんてこった、うかつに近寄れば毒槍の餌食に…かといって逃げ回るだけじゃ勝ち目はない…どうすれば…?」
考えている間に急接近してきた邪龍スズメバチ
「隙あり!」
「!?」
「一矢君危ない!」
レッドを庇ってホワイトが代わりに毒の槍の餌食になってしまう
「晴美ちゃん!」
「うぅ…」
「ブ~ン!残りは赤と黄色の二人だけだブ~ン」
「くっ…」
「終わりだブ~ン!」
槍を構え突進してくる邪龍スズメバチ
「…うぉぉぉぉ!!『龍の波動』!!」
咄嗟に邪龍スズメバチに向けて炎を噴射する
「アチチチ!こりゃたまらんブ~ン!」
「今だ!ひとまずここは一度退こう!このままじゃ分が悪い!」
「チィッ!しゃあないな!『聖龍召喚』!!」
正子は雷龍を呼び出し一矢と一緒に毒に侵された三人を抱えて跳び移った
「あっ!待つブ~ン!アチチチ…」
「あ~らら、逃げられちゃった…まぁいいや、解毒剤がこっちの手にある以上はどうしようもないもんね~!フフフ~♪」
…研究所に戻ってきた一矢達、急いで毒に侵された三人に応急処置を施す
「…う~ん、く、苦しい…」
「ハァ、ハァ…体中が…焼かれるように痛いべ…」
体中を猛毒が蝕み悶絶する三人
「あのアホンダラ…絶対に許さへん!」
怒りを露にする正子
「晴美ちゃん…オレなんかを庇ってこんな目に…待ってて、すぐに薬を手に入れてくるから」
出て行こうとする一矢をひき止める正子
「ちょお待ち、ウチも行く」
「正子さん…」
「ウチがあのアホ蜂の気をそらしたる、その隙にアンタがあの女から薬を奪えばえぇ」
「…分かりました、けど正子さんもあまり無茶しないで下さいよ」
「あぁ…アンタもな、いざって時はウチが絶対守ったる!もう仲間が目の前で死ぬんは見たないしな…」
「えっ?」
「…何でもあらへん、ただの独り言や…それより早よう行くで!」
「あ、はい!」
…一方その頃、邪龍一族のアジトでは
「龍々の野郎どこ行きやがった!!あいつ抜け駆けなんかしやがって!絶対許さねぇ!」
龍々に抜け駆けされて怒り狂っている爆龍
「龍々ならもう出て行かれましたよ、何やらまた一段とすごそうなモノノケを従えていましたねぇ…」
「ハンッ!あいつの作ったモノノケがどんだけすごかろうがオレには関係ねぇ!オレはただ思いきり暴れてぇだけなんだよ!なのに龍々の野郎抜け駆けなんかしやがって!あーイライラするぜぇ!」
イライラした様子で側の柱を蹴る
「兄上、少し落ち着いてはいかがですか?あまり大声を出されると奥でお休みになっているお父上に聞こえてしまいますよ」
「うるせーうるせー!!テメェは黙ってやがれ!!」
龍明にも当たり散らす爆龍、その様子を尻目に遠くから見ていた龍牙は無言でその場を立ち去った。
…一方その頃、龍々と邪龍スズメバチは上空を飛び回り人間達を襲っていた
「いいぞいいぞ~!もっとやっちゃえやっちゃえ!」
「ブ~ン!了解だブ~ン!」
次々と人間達に襲いかかる邪龍スズメバチ
と、そこへ一矢と正子が到着した。
「そこまでや!」
「キャハハハ!ノコノコとやってきたわねリュウケンジャー、たった二人だけで何ができるっていうの?」
「たった二人でもやってやれないことはないって教えてやる!行こう正子さん!」
「あぁ、行くで!」
「『ドラゴン・チェンジ』!!」
「篤と見ぃや、龍の力!」
作戦通りにレッドが龍々の薬を奪いにかかり、イエローが邪龍スズメバチの気をそらしにかかる
「オラオラ!このアホ蜂!ウチが相手や、かかってこんかい!」
邪龍スズメバチを挑発して自分に向けさせようとするイエロー
「ブ~ン!お望み通りやってやるブ~ン!」
イエローの挑発に乗り向かっていく邪龍スズメバチ
「『ドラゴン・マグナム』!!」
ここぞとばかりに撃ちまくるイエロー、その隙にレッドが龍々の薬を奪いにかかる
「ゲッ!?こっち来た!」
薬を取られまいとちょこまかと逃げ回る龍々
「くそ!待て!」
と、その時だったレッド目掛けていきなりすさまじい斬撃が飛んできた
「うわっ!…お、お前は!」
「あらぁ!龍牙ちゃんじゃん!」
「な、何やと!?」
「…貴様の相手は私だ、ドラゴンレッドよ…」
「よく分かんないけど、邪魔しないでくれるかな!」
剣を交えるレッドと龍牙、その隙に逃げようとする龍々
「あっ!待て!」
「逃がさん!」
「うわっと!くそっ!」
「フフフ、じゃあ後は龍牙ちゃんスズメバチちゃんよろしくねぇ~!」
と、龍々が逃げようとしたその時だった
辰美がバイクに乗って猛スピードで突っ込んできた
「な、何や!?」
「辰美ちゃん!?」
辰美はそのまま龍々の方へ向かっていき薬の入ったビンを龍々から奪い取った
「あっ!しまった!」
「ナイス辰美ちゃん!」
「ハァ、ハァ…間に合って良かった…とにかくこの薬は私が責任持って届けますので、後はお願いします!」
「あぁ、もちろんや!」
「おっと、逃がしはしないブ~ン!」
辰美の背後から襲いかかる邪龍スズメバチ
しかし、その瞬間!何故か龍牙が前に出てきて邪龍スズメバチを斬り伏せてしまった
「ブ~ン!?」
「えっ!?」
「龍牙!?なんで?」
その直後、ハッと我に返る龍牙
「!?、私は…何故あの女を…?分からない…何故だ?…ぐっ!?」
すると龍牙は頭を抱えて苦しみ出した
「龍牙ちゃん!?スズメバチちゃん悪いけど後はお願いね!」
と言って龍牙を連れて消えてしまった龍々
「そんな!ちょっと、龍々様!?」
「オイ!アホ蜂!」
「ブン!?」
「よくもまぁウチの大事な仲間を傷つけてくれたもんやな…」
「この礼はたっぷりとさせてもらおうか?」
気を集中する二人
「ひ、ひとまず逃げるブ~ン!」
「逃がさへん!行くで一矢!」
「はい!必殺…!」
「『ドラゴン・スパークリングショット&バーニングスラッーシュ』!!」
二人で放った強烈な一撃が邪龍スズメバチの体を貫いた
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
断末魔を挙げて爆発する邪龍スズメバチ
「よっしゃ!やったで一矢!」
「はい!」
二人ハイタッチをする、すると邪龍スズメバチが体の中に仕込んであった妖気カプセルを使って復活して巨大化してしまった
「お前ら!許さないブ~ン!」
「…ったく、性懲りもなくまたデカくなりよってからに…」
「一気に片付けちゃいましょう!」
「OK!『聖龍召喚』!」
二人で龍を召喚する、すると辰美から薬をもらって解毒した残りの三人が合流してきた
「一矢!正子!遅れてすまない!」
「オラ達ならもう大丈夫だっぺ!」
「散々苦しめられたお礼にたっぷりお返ししてやるんだから!」
「みんな…よし!行くぞ!『聖龍合体!!』」
「完成!『ダイリュウジン!!』」
「これでもくらうブ~ン!」
槍を構えて突進してくる邪龍スズメバチ
「ウチに任し!ハァッ!」
突きつけられた槍を真剣白刃取りのように受け止めそのままへし折ってしまった
「ノォォォ!あっしの槍がぁ!」
「これで終いや!行くで!」
「必殺!『ドラゴネス・インパクト』!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!ハチだけに、結局は駆除される運命か…ブ~ン!」
断末魔とともに再び爆発する
「…いや~とにかくみんな治ってホンマによかったわ!」
「あぁ一時はどうなるかと思ったがな…」
「これも正子ちゃんや一矢君達が頑張ってくれたお陰だね!」
「んだんだ!オラは信じてたっぺよ!」
「当然やろ?アンタらもうウチの大事な仲間やからな、もう二度と大事な仲間は失いとうないねん…」
「?、そう言えばさっきもそんな風なこと言ってましたけど…?」
「実はウチな、大阪府警におった頃に同期の親友を捜査中の事故で亡くしとるんや…しかもウチの目の前で」
「え…」
「ウチは悔しかった、親友一人守れなくて何が警察やねんって常々思った…せやからもう二度と大事な仲間を死なさへんって誓ったんや、せやからアンタらのことはウチが絶対守ったる!」
「正子さん、心配しなくても大丈夫ですよ!」
「えっ?」
「オレ達は簡単にはくたばったりしねぇよ!」
「そうだべ!オラだってこう見えて意外と頑丈なんだべ!」
「それに正子ちゃんがそこまで背負い込むことないよ、ピンチの時は五人全員で助け合おう!」
「みんな…おおきに…」
「あれ?もしかして泣いてんのか?」
「ハァ!?アホ抜かしな泣いてへんし!おちょくってんのか!?」
「やべ!逃げろ!」
「ちょお待ちぃ!」
「やなこった!」
…一方その頃邪龍一族のアジトでは
「お父様!大変です龍牙ちゃんが!」
「あっテメェ龍々!ノコノコと戻ってきやがって!」
「兄上、落ち着いて下さい」
「うぅ…」
「なんだ龍牙、テメェも行ってやがったのか?しかもボロボロじゃねぇかだらしねぇ」
「いえ、これは少し様子がおかしいですね…」
「あ?そうか?」
「とにかくお父様はどこ?すぐに見てもらわ…」
と、その時龍牙は龍々の手を振り払い突飛ばした
「きゃあ!」
「龍々!テメェ龍牙!」
龍牙に金棒を降り下ろそうとした次の瞬間
「やめんかお前達!」
獄龍斎が起きて来て止めに入った
「親父!」
「お父上!」
「騒がしくておちおち寝ておられんではないか、どれ…」
そう言うと獄龍斎は悶え苦しむ龍牙の頭を掴み自らの妖気を注ぎ込む
「うわぁぁぁぁぁ!!」
悲痛な叫び声を挙げた後気を失う龍牙
「なぁ親父、龍牙って一体何モンなんだ?」
「…そやつはな、元は人間だったのだ」
「人間だって!?どういうことだよ親父ぃ!」
「お前達にもいずれ話してやる、だがまだその時ではない」
不敵な笑みを浮かべて寝床へ戻る獄龍斎
続く
次回『第七話 ぞっこん!オラの花道』
お楽しみに!




