第二十話 激突!リュウケンジャーVSリュウケンジャー!?
…邪龍一族のアジトにて、何やら造っている龍々。
「…フフフ、できた!遂に完成したわ!これでもうあの生意気なリュウケンジャーもおしまいよ!嗚呼、自分の才能が怖いわ…フフフ、アッハッハッハ!」
龍々の不敵な笑いが響き渡る。
…一方その頃研究所では、博士が辰哉の頭に何かの装置をつけて何かの実験をしているようだ。
「どうじゃ辰哉、大丈夫か?」
「オレなら大丈夫だ、続けてくれじっちゃん」
「分かった、ではいくぞ!」
装置のスイッチを入れる
「うぐっ…ぐっ…がっ!」
「辰哉!」
「まだだ!もう少し出力を上げてくれ!」
「分かった!じゃが少しでも危険だと思ったら止めるぞ!」
そう言って装置の出力を徐々に上げていく
「ぐあぁぁぁぁぁ!!」
(…頼む、上手くいってくれ!)
…一方その頃辰美は晴美と二人で買い物に出かけていた。
「あっ!見て見てこの服超可愛いよ!」
「ホントだ!可愛い!あっホラ、これとかもどう?」
「へぇ~いいねぇ~!流石辰美ちゃんセンスいいねぇ~!」
そんな感じで二人で色々と店を見て回っている。
「いや~満足満足、たまにはこうしてゆっくり羽伸ばすのもいいよね!」
「ホントですよね!…あっ」
ふと見ると、家族連れの親子が三人仲良く手を繋いで歩いていた
その親子の幸せそうな様子を辰美はどこかもの悲しそうな目で見ていた。
「…辰美ちゃん?どうかしたの?ぼーっとして」
「えっ!?あ、なんでもない!」
「ふーん…でもなんかすごく悲しそうな顔してたからさ…」
「…実はね、さっきすれ違った親子見て私のお父さんとお母さんのこと思い出しちゃって…」
「お父さんとお母さん?」
「うん…昔はよくお父さんとお母さんとお兄ちゃんと四人で仲良く手を繋いで歩くのが大好きだったの…」
「そっか…お父さんとお母さんは今は?」
「もういないよ、私が小さい頃に二人共死んじゃった…」
「えっ!?あっ、ごめん…なんか変なこと聞いて」
「ううんいいの!あの頃はもちろん悲しかったけど今はもう大丈夫だから…」
「そっか…」
「私のお父さんとお母さんは考古学者でいつも世界中の色んな遺跡に行って調査してたから中々帰ってこれない日もあったの、だからたまの休みの日は家族でいつも出かけたりするのが唯一の楽しみだった、でもある日遺跡の調査中に遺跡が崩れる事故があってそれに巻き込まれて…」
「そんな…」
「お父さんとお母さんが死んでからは毎日毎日泣いてばかりだった…でも今はもう悲しくないよ、おじいちゃんもいるし、お兄ちゃんも無事に戻ってきてくれたし、それに…皆もいるし!」
「辰美ちゃん…」
と、二人で話していると
「あれ?辰美ちゃんと晴美ちゃんじゃん!奇遇だね」
一矢とばったり道で出会った
「あっ一矢君!今辰美ちゃんとお買い物してるの、一矢君は?」
「オレは出版社行ってきた帰り、丁度今から研究所に寄って行こうと思ったところ」
「そうだったんですか、でも今は研究所はおじいちゃんとお兄ちゃんがなんか実験するからって、それで邪魔しちゃ悪いと思って私も晴美ちゃん誘って買い物に来たんです」
「なんだそうだったのか」
「あ、折角だしさアタシ達この後ランチでもしようかって話だったんだけどよかったら一矢君も一緒に行こうよ!」
「おっ?いいねぇ、じゃあ遠慮なく一緒しようかな?」
「決まりだね!そんじゃあレッツゴー!」
すると次の瞬間、辰美の持っていた龍水晶が突然光り出した。
「この反応は…!近くに邪龍一族がいます!」
「マジか!?こんな時に…」
「とにかく正子ちゃん達にも知らせないと!」
残りのメンバーと連絡を取り、邪龍一族の現れた方へ向かう一矢達。
…現場へ到着、そこでは龍々が一人で待ち構えるかのように立っていた。
「…待っていたわリュウケンジャー!」
「龍々!今日はお前一人か!?」
「…フフフ、今日はとびきりの最高傑作ができたからこれで思う存分遊んであげようと思ってねぇ…」
「最高傑作?新しいモノノケか?」
「ノンノンノン、それよりももっと素晴らしいものよ!さぁ、篤と見るがいいわ!」
龍々は指をパチンと鳴らすとどこからともなく黒いローブを羽織った謎の五人が現れた。
「さぁ、見て驚くがいいわ!これが私の技術の粋を結集して造りあげた最高傑作!その名も…」
すると謎の五人はローブを脱ぎ捨てる、なんとそのローブを脱いだ姿はリュウケンジャーの五人のスーツとそっくりなスーツを身に纏った姿だった。
「『邪龍戦隊ゴクリュウジャー』よ!!」
「なっ!?」
「嘘…!?」
「これって…アタシ達!?」
「どういうこと!?なんであなたがそれを…!」
「フフフ、これまでの戦いで得たあなた達の戦闘データを分析してそのデータを邪龍兵の脳にインプットしさらに強化改造を施し今やその戦闘力はあなた達の数十倍、いやもっと強いでしょうね!アッハッハッハ!」
「…なんてこった」
すると、潤平と大樹が正子の運転するパトカーに乗って現場に到着した。
「すまねぇ、遅くなった!」
「およ?なんかオラ達のスーツと似たようなの着た奴がいるべ」
「ホンマや、なんやねん!ウチらのマネしよって!」
「あいつらはみんな龍々が造ったオレ達のコピー、しかも例の如く改造させてる…」
「へん!上等だ!ニセ者だろうがなんだろうが関係ねぇ!要はぶちのめせばいい話だろ?」
「せや、本物がニセモンに負けるわけないやろ!」
「そ、その通りだべ!ニセ者なんか蹴散らしてやるべ!」
「そうだそうだ!格の違いを教えてあげるわ!」
「…みんな、よし!行くぞ!」
「おう!」
「『ドラゴン・チェンジ』!!」
「『業火の龍賢者!ドラゴンレッド!』」
「『流水の龍賢者!ドラゴンブルー!』」
「『雷鳴の龍賢者!ドラゴンイエロー!』」
「『大地の龍賢者!ドラゴンブラック!』」
「『疾風の龍賢者!ドラゴンホワイト!』」
「『聖龍戦隊!リュウケンジャー!!』」
「皆さん頑張って!」
「篤と見よ、龍の力ぁ!」
「さぁ、あなた達の力を見せてやりなさい!」
「ジャリュー!」
激しくぶつかり合う両戦隊
まずはドラゴンレッドとジャリューレッド
両者全く同じ太刀筋で剣を交え合う
「はぁぁぁ!!」
「ジャリュー!」
「こいつ、完全に太刀筋を読んでる!そんなバカな!」
「ジャリュー!」
「うわっ!」
ジャリューレッドの攻撃をくらい吹っ飛ばされるドラゴンレッド
「くっ!やっぱり同じ太刀筋でも強化改造されてるだけあってここまで実力の差が出るなんて…」
一方でドラゴンブルーもジャリューブルーと対峙し苦戦を強いられていた。
「ぐわっ!」
「ジャリュー!」
ドラゴンブルーに嵐のような猛ラッシュのパンチを浴びせるジャリューブルー
「くっ…かはっ…!」
「潤平!しっかりしいや!」
「るせぇよ…そういうお前だってさっきからニセ者相手に一発も当たんねえじゃねぇか…」
「やかましわアホ!当てられるモンならとっくに当てとるわ!」
ドラゴンイエローの射撃を華麗な身のこなしでかわすジャリューイエロー、そして避けながらもドラゴンイエローめがけて撃ってくる。
「くっ!ナメんなやアホんだら!!」
一方でジャリューブラックと対峙するドラゴンブラック、両者手を組み合って互いに押し合い力比べする。
「ふんごぉぉぉぉ!!」
「ジャリュー!!」
僅かな差でドラゴンブラックが押し負け腕を曲げられる
「す、すんごい力だべ…!でも、オラも負けねぇ!ふんごぉぉぉぉぉぉ!!」
再び体勢を立て直す
その一方でドラゴンホワイトはジャリューホワイトと対峙し、ジャリューホワイトの身軽な身のこなしに翻弄される。
「えぇいっ!」
「ジャリュー!」
「もう!ちょこまか動かないでよ!」
ジャリューホワイトにいいように弄ばれる
「フフフ、さぁ最後に見せてやりなさい!あなた達の真の力を!」
龍々の合図と共にゴクリュウジャー達は力を溜め込む
「あの構えは!マズイ!」
「ジャーリュー!」
練った気を放出しリュウケンジャーに向けて放つ
「『龍王チェンジ』!!」
咄嗟にキングドラゴンレッドに変身し盾となって攻撃を防ぐ
「ぐっ…ぐぐっ…」
「一矢!!」
「一矢君!!」
「一矢さん!!」
みんなを守ろうと必死に堪えるが、最後まで持たず攻撃を諸にくらって変身が解除され、気を失う一矢。
「くそ!まさか龍王の力も通じねぇなんて!」
「アッハッハッハ!まぁいいわ、次こそ全員纏めて消し炭にしてあげる!五人仲良く地獄に落ちなさい!」
「くっ!」
次の攻撃が放たれ万事休すのリュウケンジャー、しかし次の瞬間
遅れてやってきたドラゴンナイトが現れ逆鱗モードを開放し、ゴクリュウジャーの攻撃を紫色の衝撃波を放ち相殺する。
「た、辰哉!」
「辰哉さん!」
「お兄ちゃん!」
「遅れてすまない!お前達、ここは一旦退くぞ!はぁっ!」
と、さっきよりも一際大きな紫色の衝撃波を龍々達めがけて放つ
「くっ!」
龍々達が怯んだ隙にその場から姿を消すリュウケンジャー達
「あーあ、逃げられちゃった…まぁいいか、楽しみは後にとっておいた方がまた後で楽しめるし…フフフ」
…命からがら研究所へ戻った一行、辰美は怪我を負った一矢の手当てに、辰哉達はゴクリュウジャーをどうやって倒すか策を練っていた。
「…とにかくだ、馬鹿正直に向かっていったところでまたやられんのは確実…どうにかしねぇと」
「せやけどあいつらの強さはホンマ異常やで、ちょっとやそっとじゃ倒れんのちゃう?」
「なんだよいつになく弱気だな、ビビってんのか?」
「は?別にビビってへんっちゅうねん!ナメたことぬかすなやドアホ!」
「あぁん?なんだテメェやろうってか?」
「上等や!表出ぇや!」
「おいお前ら、こんな時に喧嘩はやめろって!」
睨み合う潤平と正子、それを宥める辰哉
「…あっ!いいこと考えた!」
「晴美ちゃん?」
「さっきは皆自分達のコピーと戦ってダメだったじゃん?だったら各々別のコピーと戦ってみればいいんじゃない?」
「なるほどな、一理あるかもしれんな」
「そういうことやったらウチは潤平のコピーを倒す!それやったら遠慮なくボコボコにできるしな!」
「なっ!?上等だ!だったら俺はテメェのコピーをテメェより先にぶっ倒してやんよ!」
「オモロイやんけ、なんならどっちがどっちのニセモン早く倒すことができるか勝負しようや!」
「上等だ!絶対ぇテメェより先にぶっ倒してやんよ!」
再び睨み合う潤平と正子
「やれやれ全く…なら俺は一矢のコピーをやる、お前達二人では荷が重いだろう、俺が逆鱗モードで一気に叩く」
「じゃあアタシは大樹君のコピーと戦うのか、アタシ力ないけど大丈夫かな?」
「心配ない、晴美には持ち前の身軽さとすばしっこさがある、素早い動きで翻弄させて隙をついて攻撃するといい」
「…するってぇと、オラは晴美と戦うのか…なんかやだな」
「まぁまぁ大樹君、相手はコピーなんだし遠慮せずにやっていいよ?」
「う、うん…」
「よし、決まったな!なら行くぞ!」
「おう!」
…再び龍々率いるゴクリュウジャーと相見えるリュウケンジャー。
「アッハッハッハ!懲りずによくもまた来れたものね!また不様に倒されたいの?」
「黙れクソアマ!倒されんのはテメェらの方だ!」
「フフフ、そんな口が叩けるのも今の内よ…」
龍々が指を鳴らすと前に出て戦闘態勢に入るゴクリュウジャー
「俺達も行くぞ!」
「おう!」
「『ドラゴン・チェンジ』!!」
変身し、ゴクリュウジャーと対峙する
作戦通りに各々割り振った相手と交戦する。
ジャリューイエローと交戦するドラゴンブルー
ジャリューイエローの放つ弾を華麗なフットワークでかわす
「甘ぇんだよ!」
一気に懐に潜り込みワンツーパンチをお見舞いする
「くらいやがれ!」
そこから強烈なラッシュを叩き込む
「どうしたどうした!?その程度かぁ!」
一方でジャリューブルーと交戦するドラゴンイエロー
ジャリューブルーのラッシュを必死にかわす
「そないなへなちょこパンチ当たるかいな!」
パンチをかわした拍子に腕をガッと掴みそのまま一本背負いで投げ飛ばす
「まだまだや!」
倒れ込んだところへ追い打ちをかけるかのように腕ひしぎ十字固めをかける
「オラオラそんなもんかぁ!これなら本物の潤平の方がまだ骨があんでぇ!」
ジャリューホワイトと対峙するドラゴンブラック
「どっせぇーい!!」
力に物を言わせ体当たりするも身軽な身のこなしでかわされてしまう
「くっ!やっぱりそう簡単にはいかねぇべ!こうなったら…『龍の波動』!」
地面に手を当て気を送り込む、すると地面から尖った岩が飛び出しジャリューホワイト目掛けて飛んでいく、しかしそれも難なく避けられてしまう
「まだまだだべ!うぉぉぉぉ!!」
次々と岩を飛ばしていく、飛んできた岩を次々と避けるジャリューホワイト
次第に岩の数が増えていき避けるペースが段々落ちていく
「これでトドメだべ!うぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
トドメの一発に一際大きな岩を投げとばす、ジャリューホワイトは避けきれずにぺしゃんこにされてしまう。
一方でジャリューブラックと対峙するドラゴンホワイト
「ほらほらほら!こっちこっち!」
素早い動きでジャリューブラックを翻弄させる。
「いくよ!『龍の波動』!」
龍の波動の風を起こしそこからドラゴンバトンをクルクル回し旋風を発生させる
「必殺!『ドラゴン・ストーム』!!」
旋風はやがて大きな竜巻になりジャリューブラックを巻き込んでどんどん大きくなる。
「そぉれ!」
その勢いのまま地面に叩きつける
「イェーイ!一丁あがり!」
そして、ジャリューレッドと対峙するドラゴンナイト
両者一歩も譲らず激しくぶつかり合う。
「うぉぉぉ!!」
逆鱗モードを開放し怒濤の猛攻を浴びせる、ジャリューレッドも負けじと斬りかかる
「はぁっ!」
ジャリューレッドの振り下ろした剣を真剣白刃取りで受け止める
「甘い!」
そのまま力任せに剣をへし折る
「これでトドメだ!はぁぁぁぁ!!」
力を拳に集中させる
「くらいやがれ!『ドラゴン・アングリーフィスト』!!」
ドラゴンナイトの力強い正拳突きがジャリューレッドを貫く
「そ、そんなありえない!私の技術の粋を結集して造った最高傑作達がこんな意図も簡単に…!?」
「見たかこのヤロー!これが本物の力だ!」
「許さない、絶対に許さないんだから!あなた達!さっさと立ちなさい!何がなんでもあいつらの首を取るのよ!」
龍々の命令を聞いたゴクリュウジャー達は再び起き上がりリュウケンジャー達に向かっていく。
「まだやるんか?懲りんな」
「めんどくせぇ、一気にきめるぞ!」
「おう!」
「『ドラゴン・フィニッシュ』!!」
「『ファイナル・ナイトスラッシュ』!!」
リュウケンジャーの必殺技をくらい呆気なく散ったゴクリュウジャー
「そんな、私の、可愛い最高傑作達が…」
「さぁ、後はテメェだけだぜ龍々!」
「観念しな、もうお前に勝ち目はない」
「…フフフ、フフフ、アッハッハッハッハ!!」
ゴクリュウジャーを倒され絶対の龍々のはずだが、不気味な笑いをこぼしまだまだ余裕な様子を見せている。
「なんや?何がおかしいねん!」
「あなた達はホントにおめでたいわね!この程度で私をホントに追い詰めたと思って!?思い上がりも甚だしいわ!」
「な、なんだべ?あの余裕…まだなんか隠してんだべか?」
「まさかそんなわけないじゃない!どうせハッタリに決まってるわ!」
「ハッタリかどうか、試してみる?」
すると龍々は懐からドラゴンチェンジャーに似たブレスを取り出した
「なっ!?アレは!?」
「『邪龍チェンジ』!」
ブレスを使って変身した龍々
「私は邪龍一族最強の女戦士、その名も『ドラゴンキラー』」
「ド、ドラゴンキラー、だと!?」
「…さぁ、第二幕の開演といきましょうか?フフフ、アッハッハッハ!!」
龍々の笑いが高らかにこだまする。
続く




