第十三話 聖なる夜!一矢とクリスマスの思い出
12月24日、世間はクリスマスイブで街中色とりどりのイルミネーションの飾りをつけられ街は多くの人達で賑わっている。
そんなこんなでリュウケンジャーのメンバーも辰美と晴美の発案で皆でクリスマスパーティーをすることになった。
辰美は辰哉とパーティーの料理やケーキを作り、晴美は正子と大樹に手伝ってもらいながらパーティーの飾りつけをしていた。
「ルンルンル~ン♪ルンルンル~ン♪ルンルンル~ンルル~ン♪」
鼻唄を歌いご機嫌な晴美
「なんやエライはしゃいどんな晴美…」
「だって年に一度のクリスマスだよ!皆で集まって~、ごちそうとかケーキ食べたり、プレゼント交換したり…考えただけでワクワクが止まんないよ~♪」
「オラもだべ、オラんちじゃお父ちゃんが『ウチは仏教だでそんな外国の行事なんぞ関係ねぇ』っつってパーチーもプレゼントなかったから今日皆と一緒にパーチーできて嬉しいべよ」
「ふーん、まぁウチもなんだかんだでパーティーゆうんも久しぶりやな…昔はよぉお父ちゃんとケーキのイチゴの数のことで喧嘩しとったわ」
「アッハッハッハ、正子ちゃん面白い!」
「まぁ、その話はもうえぇわ…それよりこれ吊るすからそっち持ってや」
「OK!」
と、飾りつけを進めていると…
「おーう、今帰ったぞー!」
買いだしに行っていた潤平が戻ってきた。
「あ、おかえりー!あれ?一矢君は?」
「ん?あぁ…なんか急用があるとかなんとか行って買い物オレに任せてどっか行っちまった、なんか約束があるとか言ってたな」
「えぇー折角頑張って準備したのにぃー!」
一矢がこないと聞いてむくれる晴美
「まぁでも、すぐ戻るだなんだ言ってたからパーティーまでには来るんじゃねぇの?それまで待ってようぜ」
「うーん、わかった」
…一方で一矢は、おもちゃ屋さんでおもちゃやぬいぐるみなどを大量に買っていた。
「よいしょっと!これだけ買えば十分だな…さてと」
買ったおもちゃを車に積み込みある場所へ向かう、そのある場所とは…一矢が子供時代を過ごした児童養護施設『みどり園』
一矢は五歳の頃に両親を亡くし、それからはずっとこのみどり園で育ってきた。
今では、毎年クリスマスになるとプレゼントのおもちゃを持って園の子供達に配っている。
「あっ!一矢お兄ちゃんだ!」
プレゼントを持って現れた一矢のところに集まっていく子供達
「みんなー!今年もちゃんといい子にしてたかーい?」
「はーい!」
「よしよし、じゃあそんな良い子達にはプレゼントをあげちゃいまーす!」
「わーい!!」
喜ぶ子供達、一矢は一人一人におもちゃを手渡していく
「あらあら、いつも毎年毎年ありがとうね」
「園長先生!ご無沙汰してます!」
「実は今日はね、あなたに会わせたい人がいるのよ!」
「えっ?」
と、いって出てきたのは一人の若い女性だった。
「久しぶりね、カズ君」
「えっ…も、もしかして…綾実ねえちゃん!?」
彼女も一矢と同じように親と離ればなれになり子供時代をここで過ごした子供の一人だった。
「私ちょっと前からここで先生として働いてるの、園長先生にはお世話になったから恩返しもしたくて」
「そうだったんだ…そう言えば昔から先生になりたいって言ってたもんねー、そっか…夢叶えたんだ」
「うん、ところでカズ君はどう?園長先生から聞いたよ、絵本作家目指して勉強してるんですって?」
「あぁ、うん…まぁ綾実ねえちゃんと違ってあんまうまくいってないけど…」
「そっか…でも逆に考えてみなよ、諦めずに努力し続ければ何だってできるって思わない?」
「そっか…そうだよね!うん!オレもっといっぱい努力する!そしていつか絶対にたくさんの子供達を笑顔にできるような絵本を作るよ!」
「おっ、その意気その意気!応援してるからね!」
「うん!ありがとう綾実ねえちゃん!」
と、その時 一矢のケータイが鳴った。
「辰美ちゃん?もしもし?」
『一矢さん大変!街でモノノケが暴れてるの!潤平さん達は先に向かったから一矢さんもすぐに向かって!』
「わかった!すぐに行く!」
ケータイをしまう
「ごめん綾実ねえちゃん、園長先生!オレ、すぐ行かなきゃ!」
「うん、頑張ってね!」
「うん!」
…一方その頃現場では、爆龍とモノノケ『邪龍トナカイ』が暴れ回っていた。
「シャンシャンシャン!クリスマスに浮かれる人間どもぉ!恐怖と絶望で泣き叫ぶがいい!シャンシャンシャン!」
街のイルミネーションを次々に破壊していく邪龍トナカイ
「いいぜいいぜ!もっと暴れろ邪龍トナカイ!全部ぶち壊しちまえ!ダーッハッハッハ!」
一緒になって暴れ回る爆龍、と、そこへ
「そこまでだ!邪龍一族!」
「おうおう!ようやくお出ましかよリュウケンジャーども!ん?オイあの赤い奴はどうした!?」
「アンタらごとき、ウチら五人で十分やっちゅうねん!」
「よし、皆行くぞ!」
「おう!」
「『ドラゴン・チェンジ』!!」
「『流水の龍賢者!ドラゴンブルー!!』」
「『雷鳴の龍賢者!ドラゴンイエロー!!』」
「『大地の龍賢者!ドラゴンブラック!!』」
「『疾風の龍賢者!ドラゴンホワイト!!』」
「『白銀の龍騎士!ドラゴンナイト!!』」
「『聖龍戦隊!リュウケンジャー!!』」
「篤と見やがれ、龍の力ぁ!」
「かかってこいやオラァ!」
邪龍一族と交戦するリュウケンジャー
「シャンシャンシャン!これでもくらえ!」
邪龍トナカイは自慢の大きな角を振り回しリュウケンジャー達を蹴散らしていく。
「うわっ!」
「オラオラァ!ぼさっとしてんじゃねぇぞ!」
追い討ちをかけるように爆龍も金棒を振り回しリュウケンジャー達を攻撃する。
「くっ!はぁっ!!」
金棒を剣で受け止めるドラゴンナイト、そのまま爆龍と押し合う
「ぐぬぬ…」
「隙ありシャン!」
「!?」
がら空きの真横から角で突こうと突進してくる邪龍トナカイ
と、その時だった…。
「とぉりゃあっ!」
突如現場に現れたレッドが邪龍トナカイにドロップキックをお見舞いする。
「一矢!」
「辰哉さん、皆!待たせてごめん!」
「ったく、おせーよ!」
「ようやく現れたか赤いの!待ってたぜ!さぁ来いよ!遊ぼうぜ!」
「望むところだ!てやぁ!」
爆龍と交戦するレッド、そしてまたも奇襲を仕掛けようとレッドの背後を狙う邪龍トナカイ。
「シャンシャンシャン!さっきは油断したが今度こそ串刺しにしてくれるわ…」
「させるか!」
邪龍トナカイの前にドラゴンナイトが立ちはだかる。
「テメェの相手はオレ達だ!」
ブルー達も続いて邪龍トナカイに立ち向かう。
「なんのこれしき!秘技!『ロングホーントルネード』!!」
角を激しく振り回しリュウケンジャーに襲いかかる。
「負けてたまるか!はぁぁぁぁ!!」
五人も負けじと力を集中する。
「『ファイナルナイトスラッシュ』!!」
「『ドラゴン・フィニッシュ』!!」
五人が同時に放った必殺技をモロにくらい吹っ飛ぶ邪龍トナカイ
「ぐあぁぁぁ!!」
「チィっ!あのバカ簡単に押し負けやがって、仕方ねぇ一時撤退だ!」
「あ!待ってくださいよ~!」
姿を消す爆龍達、一矢達も変身を解く
「逃げられたか…」
「もう!折角のクリスマスだって言うのにホント空気読めない連中ね!」
「んだべ、楽しい雰囲気がまるで台無しだべ」
「まだ倒していない以上、必ず戻ってくるだろう…残念だがそれまではパーティーはおあずけだな…」
「えー…」
「ともかく一度研究所に戻って体制を整えるぞ」
「あぁ、わかった…行こうぜ一矢、あれ?おい一矢?」
「え?あぁ、うん!」
「なんだ、どうかしたか?」
「ううん、なんでもないよ…行こう」
「あ、あぁ…」
…一方その頃、邪龍一族のアジトでは
「親父ぃ!ありったけの妖気カプセルをくれ!あいつら今度こそ叩きのめしてやる!」
「兄上、只今お父上はお休みになっておりますのでお静かに…」
「あんだよこんな時によ!だったら仕方ねぇ、オイ龍々!いるか!?」
「はいは~い!私をお呼びかしら爆龍兄様?」
「おう!大至急コイツの傷を治してくれ!」
「お任せ~!すぐ仕上げるから待っててねぇ~!」
邪龍トナカイを連れていく龍々、と、ここで金銀兄弟が
「手こずっておるのか?ならば拙者達も力を貸そうか?」
「ハン!悪ぃが今回は叔父貴達は手ェ出す必要はねぇぜ!あいつら次こそぜってぇ息の根止めてやる!」
「そうか、まぁ良い…ならば某の方から一つだけアドバイスをしてやろう…耳を貸せ」
爆龍に何かを耳打ちする銀龍斎
「なるほど…その手があったか、面白れぇ!ありがとうよ銀の叔父貴!」
「何、礼には及ばんで候…」
「待ってろよリュウケンジャーども、今度こそ叩きのめしてやるからな!ハッハッハ!!」
爆龍の笑い声がこだまする。
場所は変わって研究所、色々と対策を考えるリュウケンジャー
と、そこで辰美の龍水晶が光り邪龍一族の出現を知らせる。
「おいでなすったな、じっちゃん!場所は!」
出現場所をモニターに映す博士
「いたぞ!ポイントB24地区じゃ!」
「!?、ここって…まずい!」
モニターに映った場所をみるや否や血相を変えて飛び出していく一矢。
「お、おい一矢!何なんだあいつ?あんなに慌てて?」
「一先ず考えるんわ後や!とにかくウチらも行くで!」
「あぁ!」
…現場に到着する一矢、邪龍一族が現れたのはなんとみどり園だった。
爆龍と邪龍トナカイは子供達を襲い、一矢のプレゼントを滅茶苦茶に壊していた。
「ダッーハッハッハッ!喚け喚けクソガキどもぉ!」
爆龍達が暴れ回り泣き叫ぶ子供達
「やめろお前ら!」
「カズ君!」
「あぁん?来やがったか、待ちくたびれたぜ赤いの!」
「お前…何してんだ!」
「叔父貴から教えてもらった、今日はクリスマスとかいう日なんだってな?だったらこのオレの手でぶち壊してやろうと思ってな、手始めにこのガキどもから絶望の淵に叩き込んでやるよ!」
「そんなこと…させない!!」
変身をしようとブレスを取り出し装着しようとする
「おっと!させないよ!」
邪龍トナカイが変身しようとした一矢に突進して阻止した。
「うわっ!」
吹っ飛ばされ、その拍子にブレスを落としてしまう
「しまっ…」
「オラァ!」
ブレスを拾おうとした一矢の手を踏みつけ、顔面を蹴りあげた。
「ぐへっ!」
「カズ君!」
「一矢お兄ちゃん!」
「へっへっへっ、こいつがなけりゃ手も足も出ねぇ!哀れなもんだ…龍賢者と言えど所詮ただの無力な人間だな!」
再度一矢を踏みつける
「ぐはっ!」
「オイ邪龍トナカイ!オレはこいつを始末する!そっちはおめぇの好きにしていいぜ!」
「はい喜んで!シャンシャンシャン!さて、まずは誰がいいかな?」
子供達に迫る邪龍トナカイ、咄嗟に子供達の前に立ちはだかる綾実
「何のマネだ?」
「…この子達には指一本触れさせません!」
「どけ、邪魔だ!」
「どきません!この子達は私が何としても守ります!」
「馬鹿な人間め…ほら!」
「あぁっ!」
邪龍トナカイに突き飛ばされ倒れ込む綾実
「綾実ねえちゃん!」
「オラァ!テメェは大人しく寝てやがれ!」
「ぐはっ!」
手も足も出ない一矢、と、その時潤平達も現場に到着した。
「一矢!」
「みん、な…」
「アカン!ブレスが爆龍に取られてもうてる!」
「おうおう!うるせぇのがゾロゾロと…オイ邪龍トナカイ!いっちょ遊んでやれや!」
「お任せあれ!」
「も一つおまけだ!出でよ邪龍兵!」
「ジャリュー!」
「行くぞ『ドラゴン・チェンジ』!!」
邪龍兵達と戦うブルー達、ドラゴンナイトは爆龍からブレスを取り戻しにかかる。
「このっ!ブレスを返しやがれ!」
「うおっと!」
ドラゴンナイトの剣を避けた拍子に一矢から足を離し、一矢はすかさず抜け出してそこから素早くブレスを掴んだ。
「しまった!」
「サンキュー辰哉さん!取り戻したぜ!」
「礼には及ばん!」
「オイ爆龍!よくも皆のプレゼントを滅茶苦茶にしてくれたな!このプレゼントはな、子供達が今日という日を指折り数えながら楽しみに楽しみに待ってたんだ!オレ達親のいない人間にとってこのプレゼントはかけがえのない希望なんだぞ!それを土足で踏みにじりやがって…オレはお前らを絶対に許さない!」
「ケッ、言いてぇことはそれだけかよ…くっだらねぇ!だったらこのオレが完膚なきまでぶち壊してやるよ!」
「守ってみせる…子供達の希望を、そして子供達の笑顔も!!『ドラゴン・チェンジ』!!」
「『業火の龍賢者!ドラゴンレッド!』篤と見よ、龍の力ぁ!!」
ドラゴンブレードと聖龍ソードを二振り構え、爆龍に突っ込んでいく。
「うぉぉぉぉ!!」
二刀流で爆龍を圧倒するレッド
(この剣捌き…まるであの男そのもの…!!)
「どうだぁぁぁ!!」
懇親の力を込めて爆龍を十文字に斬り裂く
「ぐおわぁっ!」
「のわぁっ!」
ブルー達にやられた邪龍トナカイも吹っ飛んでくる。
「邪龍兵は全部片付けた!」
「後はお前らだけやで!」
「一気にトドメと行きますかっ!」
「んだべ!思いきりぶちこむべ!」
力を集中する六人
「『ドラゴン・フィニッシュ』!!」
「『ファイナルナイトスラッシュ』!!」
「ぐあぁぁぁ!!」
二人もろとも爆発する
「くっ…まだだ、まだやられてたまるか!うぉぉぉ!!」
と、突然巨大化した爆龍と邪龍トナカイ
「爆龍まで巨大化した!?」
「とにかく止めるよ!皆!」
「『聖龍召喚』!」
「じっちゃん!頼む!」
『任せろ!双龍、発進!』
双龍も加わり六体の龍達が出現した。
「行くぞ!『聖龍合体』!!」
「『聖龍変型』!!」
「完成!『ダイリュウジン』!!」
「完成!『ソウリュウジン』!!」
「テメェらまとめてぶっ倒す!うらぁっ!」
金棒をブンブン振り回してダイリュウジンに攻撃する爆龍
「うぉぉぉ!!」
金棒をはね飛ばしアッパーカットを決める
「ぐおっ!なんの…」
続け様にローキックをお見舞いする
「ぐあぁ!!」
地面に倒れ込む、一方で角を向けてソウリュウジンに突進する邪龍トナカイ
「『ドラゴン・ファング』!!」
両腕の牙で角をがっちり捕らえ離さない
「何っ!?ぬ、抜けん!」
「そらっ!」
そのまま力任せに角を噛み砕いた
「あぁー!?つ、角が!大切な角がぁ!おのれよくも!」
挑みかかるもあっさり返り討ちに合う邪龍トナカイ
「ぎゃひーん!」
「く、くそ…」
「トドメだ!必殺!『ドラゴネス・インパクト』!!」
「『ドラゴネス・ツインバースト』!!」
「ぐあぁぁぁぁ!!メ、メリークリスマス!!」
「こ、このオレ様が…こんな奴らに…!バカなぁぁぁ!!」
二人まとめて爆発する
「よっしゃぁぁぁ!!」
「…ありがとうカズ君、おかげで子供達が怪我せずに済んだわ」
「…でも、綾実ねえちゃんが…」
「これくらいなんてことないわよ!逆に考えればこれも名誉の勲章よ!体張って子供達守ったんだもの!」
「そっか、そうだよね!」
「それはそうと、アンタも頑張るのよ!絶対あんな奴らに負けたらダメなんだからね!」
「うん、絶対に負けない!約束する!それじゃ!」
みどり園を後にする一矢、仲間の下へ急ぐ。
「おせーぞ一矢!」
「ごめんごめんおまたせ!さっ早く帰ってオレ達もパーティーしようよ!」
「賛成ー!早く帰ってケーキ食べようよー!」
「オラも腹減ったべ…」
「よっしゃ!今日は呑むで呑むで!」
「うん、じゃあ早く帰ろうか!」
…一方その頃邪龍一族のアジトでは
「兄上…」
「えーん!爆龍兄様が死んじゃったー!」
兄を失い悲しみにうちひしがれる龍明と龍々。
「…爆龍がやられたそうだな…」
「お父上!」
「お父様!」
「まぁ彼奴は無闇に突っ込んでいくしか能がない馬鹿息子だからな…正直期待などしておらん…その点龍明に龍々、お前達は頭が切れる、期待しているぞ」
「ははぁっ!」
「グフフ…ガッハッハッハッハ!!」
獄龍斎の邪悪な笑い声がこだまする
「…えー、それではみなさんお手を拝借、せーの…」
「メリークリスマス!!乾杯!!」
続く




