リアとのお別れと、創神会議のようです
それから一週間がたった。
俺はリアから様々な事を教わった。
魔術の詳しい使い方。
他の神々の事。
神々が持つ武器《神器》の事。
その他、様々な事を教わった。
それに、この何もない空間で、唯一の話相手になってくれた。
だが、それも今日まで。
リアとは、今日でお別れだ。
何だか寂しいなぁ‥‥
『ドウカサレマシタカ、ますたー?』
リアのこの声も、今日で聞けなくなるのか‥
「なあ、リア。」
『何デショウ、ますたー。』
「リアは嫌じゃあないのか?」
『何ガデスカ?』
「だから‥‥。」
『アア、今日私ガ、消エル事デスカ。』
リアは冷静にそう言ってくる。
何でそんなに冷静でいられるんだよ!
今日消えちまうんだぞ!
『ますたー、私トハ、ソノヨウニ作ラレタ物デス、私ハ一週間ノ間ますたーヲ全力デさぽーとシ、今日、ソノ役目を終エ、消エル、ソレガ私ノ全テデス。』
そうか‥
そうなのか‥
「分かったよ‥‥」
俺は納得せざるを得なかった。
◆◆◆◆◆
そして、リアとのお別れの時が来た。
『ソレデハますたー、コレデオ別レデス。』
「ああ‥」
心ここに在らずといった感じで、俺はそう言う。
『ますたー、大丈夫デスカ?』
‥‥正直、大丈夫とは言えない。
何だか心にポッカリ穴が空いた様だ。
『ますたー‥‥』
「大丈夫さ、俺は。リアがいなくなっても何とかやっていくさ。」
俺はリアを心配させないように、そう言う。
「さよなら、リア。」
泣きそうなのを、必死で堪える。
『‥‥アリガトウゴザイマス、ますたー』
リアの声に、雑音が混じり始める。
自分の中から、何かが抜けていく感じがする。
「なあ、リア‥‥」
いつもの様に返ってくるはずの返事が、返ってこない。
「もう消えちまったのかよ‥‥」
その瞬間、強烈な眠気が襲ってくる。
「な、何なんだよ、これ‥」
そして俺は、そのまま意識を失った。
◆◆◆◆◆ アーネル→ヴァンルクス
アーネルが意識を失っていたその頃‥‥
我輩は頭を抱えていた。
(何でこうなった‥‥)
相変わらず、他の神々は好き勝手な事を言い、会議は混迷を極めている。
もはや会議ではなく、単なる言い合いである。
我輩の右隣では、既に熟睡している進行役の神がいる。
(早くこの会議を終わらせねば‥‥)
そう考えていると、神々のまとめ役である、創神ガイアが目の前にある円卓に、音を立てて足を乗せた。
会議場が静まり返る。
「いつまでも無駄な事ばっかり喋るんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞてめえら!」
どうやら彼女はかなりお怒りの様だ。
(そりゃそうじゃな‥‥)
会議が始まって既に丸4日が立っている。
彼女はその間ずっと自分に関係無い話を聞き続けていた。
よく短気な彼女がキレずにいたものだ。
(この辺で何とかするか‥‥)
我輩はそう思いながら、椅子から立ち上がる。
「もういいじゃろう、今回はこの辺で終わらせ、この続きは次回の会議に持ち越せばどうじゃ?」
我輩の言葉に、他の神々も賛成の意を示す。
ガイア殿の怒りも治まったようだ。
「それでは、今回の創神会議は此れにて終了とするが、異議は無いな?」
「「「「「「「異議無し」」」」」」」
他の神々も揃って異議無しの声を上げる。
(フゥ‥‥何とかなったな。)
我輩は心底ホッとした。
このタイミングで、隣で寝ていた進行役の創神キオンがようやく起きた。
「ふぇ‥」
(キオンよ、もっと早く起きてくれ‥‥)
我輩は視線にそんな思いを込めて、キオンを見る。
「な、なによ、そのアタシを責める様な視線は。」
「実際責めているぞ、我輩は。」
キオンは自分が悪いのを悟ったのだろう。
「そ、それよりさぁ。」
話題を別の物へ反らす。
「アーネルちゃんはどうしたの?、今回の会議じゃ姿を見てないけど。」
「聞いて無いのか?」
我輩は逆にそう問う。
「転生の時期じゃよ。」
「ああ!すっかり忘れていたわ!」
(ハァ、やはりか‥‥)
そう思いながら、我輩はキオンにこんな提案をする。
「なあキオン、そろそろ終わった頃じゃから、アーネルの様子でも見に行かんか?」
「いいね!早く行こう!」
そう言ってキオンは、瞬間移動の詠唱を始めた。
やれやれ‥‥
「そんなに急くなよ。」
そう言って、我輩も詠唱を始めた。