魔力を操作し始めたようです
質問タイムは続く。
「〈スキル〉って何なんだ?」
そう質問すると、リアはこう返してきた。
『すきるトハ、アラユル生物ガ持ッテイル能力ヲ、分カリヤスク表示シタ物デス。』
能力?
「《神術》とか《六属性魔術》が有るけど、俺ってこれ使えるの?」
『ハイ、使エマスヨ。』
そうか‥‥
魔術が使えるのか!
子供の頃の夢だった魔術が!!
だが、俺の幸せな想像は、リアが言った一言で砕け散る。
『シカシ、魔術ヲ使ウタメニハ、アルすきるヲ取得シナケレバナリマセン。』
悲しげに言うリア。
俺は興奮し、つい叫んでしまう。
「何なんだそれは!早く教えろ!!」
俺の夢を邪魔する物は許さん!
『オ、落チ着イテクダサイますたー、少シ興奮サレスギデス。』
興奮状態の俺に、リアが声をかける。
フゥ‥フゥ、落ち着け、落ち着け俺‥‥
焦らなくても、魔術は逃げやしない。
取り敢えずスキルの事を聞かねば‥‥
『大丈夫デスカ、ますたー?』
リアが心配そうに言う。
「ああ、すまなかった。」
俺が落ち着いた所で、リアが説明を始める。
『ソレデハ、すきるノ取得方法ヲ説明サセテイタダキマス。
コノすきるノ取得方法ハ、ソウ難シクアリマセン、自分ノ中ニ有ル魔力ヲ、手ノヒラデ操作スルダケデス。』
魔力を手のひらで操作?そんな単純な事で良いのか?
不思議そうな俺の様子を感じたからか、リアが更にこんなことを言ってくる。
『タダ、ますたーノ元イタ世界ニハ存在シナイ物ナノデ、慣レルマデ、すきる取得ハ厳シイカモシレマセン。』
そうか?地球でも霊能力とか、魔術とか結構有るけどな‥‥
『厳密ニ言エバ、ホトンド存在シナイトイウコトデス、シカシ、才能ノ有ル人ハ、ホンノ少シダケ使エマス。』
なるほど、それであんなに中途半端だったのか、霊能力って。
『シカシ、コレカラますたーニ、シテモラウ事ハ、霊能力ノヨウナ中途半端ナ物デハアリマセン。』
そうか‥、なら早いとこ始めよう。
『ハイ、マズハ、魔力ヲ感ジル所カラ始メマショウ。」
魔力を感じる、か‥‥
魔力、魔力、魔力‥‥‥
‥‥ん?
体内に何か感じる。
この何とも言えない感覚が魔力なのか?
『イイ感ジデスヨ、ますたー。』
リアが少し嬉しそうに言ってくる。
ただ、俺の方は、初めての感覚に興奮していて、リアの話を聞いていなかった。
この感覚を操る‥
意外と簡単そうだな。
『ますたー、油断ハ禁物デスヨ。』
リアが釘を刺してくる。
分かってるって。
リアは心配性だなぁ。
それより、魔力を操る‥っと。
なんかドロッとしてるな、魔力って。
まずは、魔力を全身へ‥‥
おっ、意外と難しいな。
『ま、ますたー、大丈夫デスカ?』
リアの心配そうな声が聞こえる。
大丈夫、大丈夫。
あと少しで上手く出来‥そう。
クソッ、あと‥少しで‥
よし!上手く言ったぜ!
『流石デス!ますたー!マサカ一回デ成功サセルトハ‥‥。』
リアは驚きを隠せない様子でそう言う。
ただ俺は、疲れて倒れ込んでおり、リアがなんて言ったか良く聞こえていなかった。
まさかここまで疲れるとは‥‥
今にも意識を失いそうだ‥
そう思う俺の目に、突然文章が現れた。
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スキル《魔力操作Lv1》を取得しました!
既に取得しているスキルのため、《魔力操作Lv1》を《魔力操作LvMAX》に統合しました!
スキル《魔力探知Lv1》を取得しました!
既に取得しているスキルのため、《魔力探知Lv1》を《魔力探知LvMAX》に統合しました!
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‥‥‥ちょっと待て。
「なあ、リア。」
『ナ、何デショウカ、ますたー?』
何だか慌てている感じのリア。
そんなことはお構い無しに言葉を重ねる。
「魔術を使うために必要なスキルって、結局何だったんだ?」
『エ、エエト‥‥』
「リア?、結局何だったんだ?」
あくまで俺は優しく問い詰める。
『ソノ‥‥』
「リ~ア?」
『《魔力操作》デス‥』
やはりか‥
『ス、スミマセン!ますたー!』
リアが泣きそうな声で、謝ってくる。
「どうして黙ってたんだい?」
俺はそう問いかける。
何となく予想は付いているが‥
『実ハ‥‥先代様ニ口止メサレテイタノデス‥』
やはりか、あの野郎‥‥
『先代様ハ、〈頑張って取得したスキルが実は、既に取得されていた物だと知った時の顔を見てみたい!〉ト、言ッテマシタ。』
マジか‥あの性悪野郎‥‥
いつか必ずぶん殴ってやる!
‥‥‥もう無理だけどな