表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

街中でナマケモノに出会うことはあるだろうかた

「昨日、東京都○□市内でゴキブリ型の魔物が600匹出るという事件が起こりました。

これは過去に類を見ない数で現在専門家による調査が行われております

被害は建物複数破損、体液による路上の汚染、死者は身元不明の学生が1名重症軽症は29名です。学生の遺体は見つかっておらず、目撃者によると数百匹に囲まれて助け出せなかったそうです。

現在この学生の身元を調査中です。」


(案の定俺がしたことは隠されてるな。ついでに死亡扱いまでされてる。多分あの逃げた奴らが口裏を合わせたんだろう。)


駆が学校に行く準備を終え、朝食を食ってテレビをつけるとどのチャンネルを付けても昨日のニュースがやっている。


昨日の置き去りにされたことを思い出し、すぐにチャンネルを消す。


昨日は散々な目にあった。

2度も死にかけて、何故か前世の記憶を見たら魔法が使えそうだから使ったら、あんなに怪我をして倒したゴキブリが300匹一斉にプチッと音を立てる暇もなく潰れた。

その時ほど自分の苦労を馬鹿らしく思ったことはなかった。

その後も見つかるとヤバイので前世の記憶から『ワープ』の魔法を使い、マンションの中に帰ってきた。それから寝るのを我慢して前世の記憶を記憶観覧で見続けて次のことが分かった。


・俺は元闇の勇者(中二病じゃないですよ〜)


・魔王を倒した後に仲間だと思っていた他の勇者達にリンチを受け三日三晩闘い続けて光の勇者と相打ちで死んだ


・使える魔法

(重力操作)

(空間操作)

(魔力吸収)

(バッドステータス付与)

(記憶操作)

(引力・斥力)


・前世でも同じ地球があり、地名も国も有名店の名前まで同じ

違う所はそれぞれの人の名前、歴史、髪の色が多彩、スキルがあることぐらいだ


・召喚させられた異世界では魔法があり、体内にある魔力によって使うことができる


・魔力量は人それぞれで少なくとも誰もが持っている。俺の魔力は勇者だったからかほとんど変わっておらず、前世で例えるなら国から雇われるようなエリート魔法使いの魔力量を10とするなら俺の魔力は500ぐらいだろう。(ちなみに他の勇者は100〜150ぐらいだった)


・魔力は体内に血液のように循環しており、使っても時間を置けば自然と回復する


・人にはそれぞれ適正魔法属性があり 火、水、風、土、光、闇、無にわかれている(適正魔法属性が複数ある人も稀だが存在する)


・今は前世の頃の10分の1も力を使いこなせていないが修業すれば無詠唱や威力を上げたり、体術や剣術も記憶と血の滲むような修業で魂に刻み込まれているので比較的簡単に覚えられると思う


・魔力を身体に纏うことによって身体能力を飛躍的に上昇することができる、さらに回復力も上昇し、体外に放出すると目を瞑っていても周りの物や人の位置が分かるようになる

(回復力の上昇により昨日な怪我も治した)


・スキルを使う時にも魔力が消費される

一般では『スキルを使いすぎると倦怠感を覚える』というのも魔力の使いすぎによるものである


・最後に手首に着いているSRDは魔力を検知してスキルを発動したかどうかとを判断しているということだ


魔力操作が曖昧な人はスキルを使う時に無駄に身体から出してしまうので一般の人々はスキルを発動するとSRDに引っかかってしまう。

しかし魔力操作が完璧にできるなら身体から無駄な魔力を消費することなくスキルを使うことができる


これなら街中でも好きに記憶観覧を使うことができる

(※俺は使うつもりはありません、ちょっとは美人な人に使って色々見ようとはしましたけどそんな犯罪に使うつもりはありません本当だから本当だから、大事なことなので2度言いました)


そしてSRDは着けている人の魔力を微量に吸収して動力源にしている



魔法が使えるだけでもこの世界からしたら一大事なのに、使える魔法がチート過ぎるわ、SRDの抜け道もわかって俺の脳のキャパシティーを超えている。


昨日の晩に悩みに悩んでこのことは黙っていることにした。


この知識が世界に流布されれば、俺の自由はほぼ確実になくなるだろう。

それにSRDによって抑えられた犯罪が増加することになるだろう。


だからこのことは墓場まで持っていく、そして俺は平穏に生きて普通に暮らして普通に結婚するんだ!!


あんな死ぬ思いは真っ平御免だ!


____________________________________


『電柱にナマケモノがしがみ付いている』


今俺の目の前の状況を簡単かつ的確に示した言葉はこれ以外にないだろう


____________________________________



ゴキブリ事件の次の日の朝、色々ヤバイ情報を胸に秘めて過ごすという決意して、昨日ボロボロにした制服の代わりは持っていたが鞄は1匹目のファーストゴキの体当たりの時に落としてしまってそのままなので、鞄は家にあったお古を下ろして使っている。


今日の放課後は昨日のゴキブリ事件でやられた鞄に入っていた教科書、スマートフォン、財布などを買わなければならない。


そんなことを考えていると目の前に電柱にしがみ付いたナマケモノがいた……。


全く意味がわからない


東京のど真ん中の電柱にナマケモノである


(取り敢えず落ち着こう

情報を整理しよう

・大きさは130〜140cm

・魔力探知により体内に魔力があることが分かる

・俺を襲わないので魔物という線も考えにくい

・通行人はいないので俺の幻覚かどうかわからない


結論:見なかったことにする)


俺はナマケモノをスルーして進もうとした


ズルズルズル スタスタ ガシッ!


「え!?」


ナマケモノが名前とは裏腹に電柱を素早く降りて俺の前まで人間のように歩き、俺の腰に手を回しホールドしてきた。


「……きて」


「え!?喋った?」


ナマケモノは顔を上げてナマケモノの顔を通り過ぎ、女の子と目があった


それは子供用の顔だけ出すタイプの動物の着ぐるみを着た女の子だった


くせ毛があるが綺麗な黒髪に肌白い赤子のような肌、すこし眠た気な目もどこか愛らしく顔のパーツも整っている。


思わず見惚れてしまったがそれも仕方ない。こんなにかわいい子は前世と異世界と現世を合わせても片手で数えるはどしか見たことがなく、将来は素敵な美人になると太鼓判を押せるほどの逸材だ。

その手の趣味の方に見つかれば間違いなく明日の朝刊に誘拐事件が報道されるだろう。


「…………?」


見惚れていた俺は意識を戻し、その女の子に聞いてみた


「どこに来て欲しいの?」


学園では嫌われるように振る舞っている駆もこんな女の子にまで冷たく接する必要はなく優しく聞いてみた


「…家」


「え!?どうして?」


「……昨日のこと知りたい」


「昨日のことって何かな?」


"昨日"と言われた駆は一瞬頭にあの体験が過る。

しかし女の子がゴキブリのことを聞いてくるはずがない。と考えた駆は続けて女の子に聞いてみた。


「…魔出のこと」


「テ、テレビのニュースを見ればすぐにわかるよ?だからお家に帰ろ?」


予想外の返答に戸惑いつつもなんとか返答し、嫌な予感がするため早くこの子から離れようと家に帰ることを勧める


女の子は首をフルフルと横に振り口を開けた


「……ゴキブリを倒し方法」


「ん!?」


「…とにかく家きて」


俺は考えが纏まらないまま女の子に引っ張られながら少し歩いたところにある家に連れてこられた。



____________________________________



なされるがままに女の子に家の前まで連れてこられてしまった……


(とにかく逃げよう。なんで俺が昨日ゴキブリを倒した方法を知っているのかは分からないが、朝にした決意が1時間もせずに崩壊してしまう。)


「お母さんやお父さんに迷惑だからお兄ちゃんは家に入れないかな」


(完璧な言い訳だ、この子ぐらいの年なら両親には逆らえないはず)


「……2人ともいない」


完璧な言い訳が5秒で崩壊した


「…ここ…むい1人だけ」


更に追い打ちまでかけてくる


なんでこんな立派な家に1人暮しなのか?とか色々疑問はあるがもう腹を決めよう


「わかった、お邪魔さしてもらうよ」


そう言うと女の子は後ろにいる駆には見えないが今まで表情を変えていなかった表情を少し赤らめて扉を開けて自分の家の敷居を跨いだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ