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僕とレオ兄さん

ご無沙汰です。

 うむ。この世界のイケメンは性格までイケメンという定義でもあったりするのだろうか。


 ただいま、僕はレオ兄さんの腕に乗っています。凄い。揺れを全く感じず安定がある。あの後、カクカクシカジカ言ったらさり気なく僕を腕に乗せて歩いてくれた。とてもいい人――いや、そもそも魔族って人って言うのか分からないけど――である。


 視点が変わると風景がだいぶ変わる。ちなみにレオ兄さんの事はパーパからは聞いていた。いわく『今、魔王をやっている。まぁ、色々わけあって魔王を継がなくちゃいけなくなった身だ。いい奴ではあるな。まぁ、運がないというか。お人よしだから押しに弱いというか……。いいか、とりあえず困ったら的確に急所抉る言葉を言って上目で瞳を潤ませて謝ればなんとかなる。お人よしの塊だ。利用しない手はない。ほら、遊戯室に映像を映し出すやつあったろ?それは見ておけばなんとかなる。』


 なので、さっそく実行してみようと思う。


 「わああああああああああああああああああああああはあああああああああああああああ、よく来たな勇者よ!我はどれほどっ、どれほどっ、この時を待っただろうか!実に退屈で不快な日々を壊してくれる君達を待ち望んでいたよ!さぁ、楽しいゲームを始めようかっ!!」


 このセリフの為に、一週間発声練習をした。さすがに、プロではないので棒読み程度は許して欲しい。


 「どうして、ソレ知ってるんだよ!まだ、お前産まれてないよな!?」


 イケメンは顔を真っ赤にしてもイケメンらしい。ずるい顔である。なので、ちょっといたずらしようと思う。別に、周りの人がやたらハイスペックで刺激されて八つ当たりをしているわけではない。


 「ふふふ、憂い奴じゃ。そなたをアレにやるのは勿体ないのお。どうしたのじゃ、恥ずかしがって。ふふ、いつもやっておるじゃろう。こちらにおいで」

 「待て、ソレは年齢制限かけてたやつだぞ。まだはやい。つーか、どこでソレ知った!?」


 たかが、娯楽に年齢制限されることまで……。仕方がないとはいえ、そのやる気に拍手喝采。もちろん笑いが多分に含まれている。


 「ほう、そうじゃ。御苦労さま、労いと共にご褒美をやろうかのお。…………ちなみに、これらの情報は遊戯室――映像とか資料とか、もろもろ保管されているところにありました。さすがに年齢制限のは見れない設定だったのでレオ兄さんの声だけ途中から流れてましたが」


 あれは、凄かった。何というか、とりあえず凄かったのだ。演技もそうだが、なんというか照明の角度とか色々計算されている気がする。言うなれば裏方の人、スゴっ!?である。


 マジで映画鑑賞しているみたいだった。見ていて飽きず楽しかった映像である。


 「あ……、あの人はっ…………」


 赤くなったり、青くなったりと忙しいレオ兄さん。僕は辺りを見回す。うん、慣れないくらい広いな。


 「はぁ、もういい」

 「んな!?希望を持ちましょう生きていれば必ずいい事がありますよ!!自ら命を投げ出すのはよくないです!!」

 「おい、勝手に自殺志願者に仕立て上げないでくれ」


 ちなみに、アレは手を出していないらしい。パーパいわく、『手を出しても誰も文句など言わないのに、わざわざご丁寧に幻覚を見せていたからな。さすがに、くだらないことにやるのはとか言って』


 紳士である。


 「はぁ、疲れる」

 「やっぱり王というのは面倒なのですか?下から頭でっかちの圧力。上から脳筋の物理攻撃。時には襲われて……。とても面倒な生物の相手をしなきゃいけないと聞きます」

 「ああ、そうそう。面倒な……って。それも、あの人に聞いたのか。子供に聞かせるには早いだろう」

 「下等生物の扱いが上手だと聞きました」

 「嫌でも慣れる。ソレが大人だよ。あ、着いたぞ」


 嫌な大人である。なりたくない。声と同時に扉を開けられ、僕は思わず


 「おい、気絶したふりしても無駄だと思うぞ」


 そうそうに見破られたので、腕から下ろしてもらい息を吸う。あああ、キラキラばっかだなぁ。絵になる光景に


 「おーい、戻って来いー。現実は変わらんぞー」


 現実逃避をしていた。


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